見つけたのは……
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049
「深鈴、この奥に何かいるみたいだ」
「魔物じゃないよね?」
「わからない」
ライルたちは、忍び足で奥へと向かった。
進むにつれ、土で出来ていた壁や天井が、石に変わっていった。
気温が下がり、暗さが更に増した。流れ落ちた水が、そこらじゅうで水溜まりになっている。
そろそろか? クロヒ、どう思う?
『あぁ、さっきの音からするに、この辺だろう』
「深鈴、光を奥に向けることは出来るか?」
「あ、うん。これでいっ──」
シュンッ
深鈴が、光を前方に向けた途端、何かが、暗闇から飛んできた。
「きゃっ!?」
「深鈴!」
すぐさま、よろけた深鈴の前に飛び出たライル。
何だ? 今の攻撃。風魔法か? それにしては、速すぎやしないか? 目には見えなかったぞ。
「誰だ! 誰がいる!!」
「かかっ、俺に立ち向かおうなんざ、1000年はえーってもんだ!」
声だけは聞こえてくるものの、姿は見当たらない。
1000年……俺、もう死んでるだろ。
「だ、誰っ!?」
「名乗るほどの者じゃねぇ。ま、俺の住みかに踏み入れたんだから、責任は取って帰れよ! 帰れたらだけどなあ!」
声の主は、ライルたちを煽っているようだった。帰れたら帰れ。タダで帰す気がないことだけは確かだ。
「……どうしたら、俺たちを帰してくれるんだ?」
「後ろを向いて、そのまま立ち去ればいい。俺が、攻撃するけど」
じゃあ、正面から戦えってことか。
ふと、深鈴の方を見た。深鈴も同じく、ライルを見ていて、どうやら同じことを考えているようだった。
「行くぞっ! 深鈴!」
「うん!」
深鈴はすぐに返事をして、走り出し、ライルも魔法陣を展開して、攻撃準備に移った。
えーと、とりあえず、シールドを……
「み、深鈴!? どこ行くんだ!?」
「あ、え、なに?」
深鈴は、ライルと逆方向に走っていたのだ。
「妹さんは、怖くて逃げたみたいだけど。攻撃していいってことかな?」
「そうは行かない。俺が相手だ、くそ野郎!」
「いい度胸じゃんか! 勝てるもんならな! 俺にはせん──」
「お前が1000年経って、生きてたらそう言うこといいな! 俺は、勝ちたい訳じゃないし」
ライルがそう言いきると、声の主は黙り込んでしまった。
まずい、いつ攻撃してくるか分からなくなってしまった。あのまま喋らせておけば……
「深鈴!! 戻ってこい!」
ライルは、出口へ向かう深鈴に声をかけた。
「え、なんで!」
「やられるぞ」
「ほら、よそ見厳禁だぜ」
シュンッ、シュンッ、シュンッシュンッ!
ライル目掛けて、風の刃が飛んできた。後ろにいる深鈴に当たらぬよう、シールドをひろげる。
……次の攻撃まで、このシールドもつか? 範囲を広くしてるから、大分薄くなってるんだよな。
「深鈴! 今のうちにこっちに来い‼」
すると、深鈴はようやく、足を止めた。ゆっくりと、ライルを向く。
「むむむ、無理だよ~そんな、姿が見えないやつと戦うなんてー!」
深鈴は、半べそでその場に立ち尽くした。
「な、なんでお前泣いてんだよ‼」
ライルが、そう言って気を反らした瞬間、シールドが割れ、一弾、深鈴に向かって飛んでいってしまった。
あ、あぶなっ!
「……あぁ! もう! こうなったら、突進!」
そう言って、深鈴は風を避け、ライルのもとまでやって来た。
「あいつ、倒せばいいんだね?」
「あ、ああ」
突進って、そういう使い方もあったのか……今度、他の魔法でも考えてみるか。
「ど、どうやら、二人ともやる気だね」
「そうだな。お陰さまで」




