幽霊がでだ!?
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004
「ニヒル! この子、ライルにしたのよ。カッコいいでしょう!」
カッコいいか? 俺は、名前に吏音って入っているところが気に入っているけれど。
「ライルかぁー! ライル・リ・トリーユ……!
あぁ、カッコいいぞ! パパに顔を見せておくれ」
そんなに俺の顔が見たいの? 今更だけれど、この両親は、大分親バカかもしれない。でも、赤ちゃんが生まれたら皆そんなもんか?俺の親とは取って違うな。
「おぉ、ライル! うん。ライルって言う顔をしている。良い名前だ」
え、どこに突っ込みをいれて良いのかわかんないよ? ライルって顔がどういう顔だって? 取り敢えず、俺は家の中に入りたいんだけど、、、
「ねぇ、ニヒル。ライル寒いみたい。そろそろ家に入りましょう?」
え、寒くはないけど……体が無意識に震えているらしい。流石、赤ちゃん。肌が敏感なんだな。
「あぁ、そうだな。そろそろ日が暮れるしな。俺は、馬小屋に馬車を置いてくるよ」
父親は、庭の方に行った。どうやらそちらに、馬小屋があるらしい。ライルは母親に抱かれ、家に正門を通って家の玄関へ向かった。
この家、やけにデカくね?
木を上手く使った造りの家は、どっかの別荘のよう。当然、ライルは見たことがない。ライルにとっては、お城といって良いだろう。外見を除けば。
遠くから見たときと同じだけれど、遠くから見たときよりも、不気味さが増している……気が付かなかったが、家の後ろは、森になっている……これは、まさに幽霊が出る、幽霊屋敷じゃないか……? これ、絶対出る、、
ライルの言う通り、見た目はホラー感漂う幽霊屋敷だ。けれども、この家は立派な貴族の孫の家であり、もとは、その貴族の別荘である。夏は森で涼しく、冬は森のお陰で暖かく。なんとも言えない良い場所にそびえ立つ、お家様だ。そんなことも知らず、ライルは怯える一方。
出たらどうしよう。俺、こういうのだけは苦手なんだよな。人付き合いとかは、苦手だけど、自分で何とかしてきたけど……この世の奴じゃない奴との付き合いは、御免だ。出てきたら、どうしようもない。この体だし。
「ライル? 大丈夫? ……これが、今日からのあなたのお家よ! 中は広いから、たっくさん遊びましょうね‼」
そんなに広いか? この家。
辺りを見回した。ぐるっと一周。
無駄に広いな。確かに。……余計に幽霊の存在を認知してしまった……もう、外見たくない!!
「ライル? そんなに顔を隠して……やっぱり寒いのね? 早く入りましょうか」
ガチャン
「ライル。大丈夫、もうあったかいよ。顔を上げて」
上げてって、あげたくないんだよ! なにもみたくない! 恐い! でも、ちょっとだけ見たい。
いつでも、子供の好奇心は勝る。
うわぁ! 凄い。ほんのりと暖かい。暖炉か。蝋燭の光が更に暖かさを出している。この感じ、好きだ……気に入ってしまった……!
「ね? あたたかいでしょう? それに外見と取って違って、綺麗でしょう?」
本当に、外見とは比べもにならないくらい、内装は綺麗だ……みとれるぞこれは。
……ガサゴソガサゴソガサゴソ……
!?
なんだ、今の音?部屋の奥の方から聞こえてきたようだが…も、もしかして…幽霊…!? で、出た。幽霊が出たァーーー!!!
「ウワァーーーーーン!!」
「ライル!? ど、どうしたの!? もしかして、さっきの音? 怖かった? ゴメンね。よしよし」
恐いっての! 恐怖だよ恐怖! ビックリして、泣いちゃったじゃないか!
「ライル、今のはね。パパだよパパ。裏口から入ってきたの」
「すまん。何か、泣かせてしまったようだな。すまなかったライル」
……え? パパ? 父さんだったの? 確かに、裏口の方から聞こえたけど、、本当に!? 父さんなら、怖がることなかったじゃないか! ……恥ずかしい……本当に恥ずかしい。
俺はもう、幽霊なんかで恐がらないからな! 覚えてろ、幽霊! この借りは返すからな!
「ライル、疲れたでしょう? 寝ましょうかね?」
……別に疲れて無いんだけど。寝る以外無いみたい……
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