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失踪

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 040




  そんなに離れていないはずの、場所にまだつかない。ニトがいたはずの場所にまだつかない。あれから、数分走った。周りは、木と木、森の先も見えなければ、上は霧に覆われている。

 全く検討違いの場所を探しているのではないか。ますます霧は濃くなり、視界が狭まった。

 何でこんなときに限って……!


「くそっ! くそがっ! ニト! どこにいるんだ!」


 流石に、体力の限界がだ。

 膝に手をつき、肩で息をする。

 空は見えないし、どっちから来たのかもわからなくなった。俺が、俺が迷子なのか?


「ライルくーん? どこかにいる?」


 突然、どこからか声が聞こえてきた。


「誰だっ!」


「まーまー、そう熱くならないで! 相棒さんは、私の手の中よ! 助けたければ、海沿いの洞窟に来ることね!」


「……」


 罠か? 罠なのか? でも、今ここには、言葉が話せる奴はニトくらいしかいない。じゃあ、ニトの言っていた、人間か? 声からして、女。一体何が狙いなんだ。……まさか、深鈴なのか?


「海沿いの洞窟に……? 海って、どこにあるんだ」


 ライルは、海がどこにあるかも知らずに、歩き始めた。

 体が勝手に動く。疲れきって動く状態じゃなかったのに、不思議と体が動く。

 少し開けて、日射しが当たっていた道を進んだ。直感に頼るしかない。


 5分後。


 今気がついたけど、魔法を使えば良いじゃないか。浮遊魔法で、上昇して、辺りを見回して、海を見つければ良かったんだ。無駄に歩き回ることもなかったのに。


 浮遊!


 その瞬間、辺りの空気が一斉に、ライルに集まり渦ができた。そのまま、ライルを宙に浮かす。


 生い茂った木々の間を抜け、青空が見える位置までのぼってきた。


「うわぁ」


 今まで、閉ざされていた空間から、一気に放たれた解放感と、世界の絶景に息を飲んだ。

 雲を突き抜ける山、あっちの山には桜の木、こっちの木には、紅葉の木がなっている。その山々に囲まれる、湖。その湖が、山を写し出していて、美しい。


「やっぱり四季は、関係無いんだな」


 いや、そんなことを言っている場合じゃない。ニトを助けにいかなければならないのだ。とにかく、海を探して!


「海、海、海を!」


  湖があると言うことは、どこかしらに、その元となるところがある。どっちに流れて、どっちから流れているか。

  案の定、水が出入りする場所は二つあり、山側から流れ、今、ライルがいる方向に向かって流れてきている。


「じゃあ、このまま後ろの方に進めば良い!」


 浮遊魔法を使い、川に沿って飛ぶ。進むにつれて、川が広がってきた。


「下流? もう少しだ」


 少し進むと、空の色が反射した水溜まりが見えてきた。水溜まりは、水平線の向こうまで続いている。それを囲うように白い砂が、クリーム色の砂が見えた。


「海だ。海……! この、どこかの洞窟にニトがいる……!!」


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