だから言ったじゃないか
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038
夜だ。また夜になってしまった。自分の押し付けて考える前に、また夜になってしまった。
「ニト、だから言ったじゃないか。同じことになるって」
「そんなもの、考える必要もないとも俺は言った気がするが?」
昨日と同じように、地面に寝転がってニトはそう言った。
確かにそんなことも言っていたけど。言っていたけどさ、俺は、ここから出なきゃいけないんだよ。この世界から出て、ヒルムに帰らなきゃいけない。でもそれには、魔法陣が上級まであげないといけない。
「良いじゃんか。まずは、目の前のことを終わらせる。それから、新しいことに挑戦するんだ」
「目の前のことって何だよ」
「決まってんだろ? 俺に魔法を教えることだよ! そんで、出来るようになったら、今度は俺が、その上級だかに上がるように、協力をする」
魔法を教えることだよ。って、下手したら俺は一生この世界で生きることになるんだけど……
『お前の墓場になるだろう』
ふと、女神の言葉が頭を過った。
……そういう意味なのか? ニトは、女神が仕向けたってことなのか?
「なあ、ニト」
「ん?」
「お前って、神様とか信じてるか?」
「え? どうした、お前。頭おかしくなったか? さっき俺が言い過ぎたか? すまない、そう言うつもりで言った訳じゃないんだ。悪かった。だから、戻ってくれ!」
急な質問にニトは何か、勘違いをしてしまったらしい。確かに、いきなり神様とか信じてるか、と聞かれたら、こいつどうした? と思われても仕方がない。
「え、いや、俺は普通だけど」
「そうか、なら良かった。さっきの質問に答えると、俺は全く信じてないと言って良いだろうな。信じていても、何も起こらなかったんだから」
「ニト?」
ニトは、どこか思い詰めたような顔をしていた。
何も起こらなかった。過去形と言うことは、前は神を信じていたのか。何かあったのか?
「ニト……」
「何でもない。寝ようぜ。お前、人間を探すんだろ? 明日、早速行こうぜ」
そう言って、ニトは目を閉じた。
俺よりも、俺がしないといけないことを理解してる……こんな奴が、女神の仕向けた奴なんて考えられない。バカな勘違いをしていたってもんだ。
ここ1年、妹や女神に狙われて、自分でも感じないくらい無意識のうちに、疑心暗鬼になっていたようだ。
今、俺は9歳。
学校に入学してから、3年が経った。
あと1年、普通に暮らしていたかった。
知らない場所に送られて、ここが墓場。実感もわかなければ、俺を殺せるような天敵もいない。
3年前より、強くなったし、賢くなったし、体つきも良くなった。ただ、頭は固くなっている。実年齢、いや、精神年齢は20を越えている。固くなって当然か。
目先のことを考えず、その先の未来を考えて、いわゆるバカになってしまったらしい。
そうして、俺は、にわとりと世界を旅し、人間を探す。先がわからない道を手探りで進むと言うのが、こんなに怖いことなのかと、今更ながら思った。




