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だから言ったじゃないか

ブックマークありがとうございます!(’-’*)♪

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 夜だ。また夜になってしまった。自分の押し付けて考える前に、また夜になってしまった。


「ニト、だから言ったじゃないか。同じことになるって」


「そんなもの、考える必要もないとも俺は言った気がするが?」


  昨日と同じように、地面に寝転がってニトはそう言った。

 確かにそんなことも言っていたけど。言っていたけどさ、俺は、ここから出なきゃいけないんだよ。この世界から出て、ヒルムに帰らなきゃいけない。でもそれには、魔法陣が上級まであげないといけない。


「良いじゃんか。まずは、目の前のことを終わらせる。それから、新しいことに挑戦するんだ」


「目の前のことって何だよ」


「決まってんだろ? 俺に魔法を教えることだよ! そんで、出来るようになったら、今度は俺が、その上級だかに上がるように、協力をする」


 魔法を教えることだよ。って、下手したら俺は一生この世界で生きることになるんだけど……


『お前の墓場になるだろう』


  ふと、女神の言葉が頭を過った。

 ……そういう意味なのか? ニトは、女神が仕向けたってことなのか?


「なあ、ニト」


「ん?」


「お前って、神様とか信じてるか?」


「え? どうした、お前。頭おかしくなったか? さっき俺が言い過ぎたか? すまない、そう言うつもりで言った訳じゃないんだ。悪かった。だから、戻ってくれ!」


  急な質問にニトは何か、勘違いをしてしまったらしい。確かに、いきなり神様とか信じてるか、と聞かれたら、こいつどうした? と思われても仕方がない。


「え、いや、俺は普通だけど」


「そうか、なら良かった。さっきの質問に答えると、俺は全く信じてないと言って良いだろうな。信じていても、何も起こらなかったんだから」


「ニト?」


  ニトは、どこか思い詰めたような顔をしていた。

 何も起こらなかった。過去形と言うことは、前は神を信じていたのか。何かあったのか?


「ニト……」


「何でもない。寝ようぜ。お前、人間を探すんだろ? 明日、早速行こうぜ」


 そう言って、ニトは目を閉じた。

 俺よりも、俺がしないといけないことを理解してる……こんな奴が、女神の仕向けた奴なんて考えられない。バカな勘違いをしていたってもんだ。

 ここ1年、妹や女神に狙われて、自分でも感じないくらい無意識のうちに、疑心暗鬼になっていたようだ。



 今、俺は9歳。

 学校に入学してから、3年が経った。

 あと1年、普通に暮らしていたかった。

 知らない場所に送られて、ここが墓場。実感もわかなければ、俺を殺せるような天敵もいない。

 3年前より、強くなったし、賢くなったし、体つきも良くなった。ただ、頭は固くなっている。実年齢、いや、精神年齢は20を越えている。固くなって当然か。

 目先のことを考えず、その先の未来を考えて、いわゆるバカになってしまったらしい。

 そうして、俺は、にわとりと世界を旅し、人間を探す。先がわからない道を手探りで進むと言うのが、こんなに怖いことなのかと、今更ながら思った。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  時間ができて、やっと追いつきました。  地の文が多いときでも、読みやすさは変わりませんね。スラスラ気持ち良く読める。確実に美点です!
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