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魔法陣を使え

 032





 2年前、急に見学がなくなったと聞いたときは驚いた。理由こそ言われなかったが、俺の何かが言っていた。嫌な感じがする、と。


 妹が俺に命を狙っている限り、いつ何が起こっても俺がそれに対応できないといけない。そう、クロヒに言われた気がする。


 正直、死ぬなんて言う実感はわかないし、遊び感覚で対応していた。クロヒは、そんな俺でもどうにかできるように、対策を練っていたに違いなかった。



 クロヒが言うには、魔法陣を使えば、本人のイメージ次第で最強なものにもなれば、最弱なものにもなる。そして、魔法陣で一度作り出した魔法は、スキルとして残る。だから、それをうまく使え。


 浮かれていた、俺にも理解はできたし、今の俺なら、容易いことだろう。全く、守神様様だ。



 俺の嫌な予感は的中していた。属性屋の見学が中止になったのは、属性屋の店長が魔物退治に駆り出されたからだそうだ。北の町で大量の魔物が出現していたらしい。

 あの頃の、魔物の動きは活発で、一日に一回現れるなら少ない方だった。

 今となっては、一ヶ月に一回出ればいい方。昔より、格段と減ってしまった。原因は解明されていない。減るに越したことはないが、魔物退治を専門としていた、冒険者たちの仕事がなくなってしまうと言うことが起こった。


 それが、必ず俺の夢に出てきたあいつのせいだとは限らないけど、関わっていないようには思えない。

 タイミングから、何から何まで。



 授業に、イメージトレーニングを追加してもらい、放課後は夕食まで魔法陣でのスキル習得に専念した。

 一ヶ月に、一個のスキルを習得できればいい方だった。


 何ヵ月も、何ヵ月も頭のなかで自問自答しては、魔法陣で作り出した。失敗の方が多くて、挫けそうにもなった。でも、もし妹と戦わなければならないなら。そう考えると、気が気でいられなかった。

 クロヒにも手伝ってもらって、ようやく出来た。


 この二年の成果が、ステータスを見れば一目瞭然だった。俺は、覚悟を決めた。この日、俺は、あの女神を、妹をころした女神を、俺をもてあそぶ女神に、


 復讐してやると決めた。



 ―ステータス―


 名前 ライル・リ・トリーユ


 称号 守神遣い 貴族の長男 魔法科学校3年生


 レベル 56


 魔力 120000


 体力 魔力に比例


 属性 闇 炎 風


 スキル 魔法陣 浮遊 聞き耳 観察 言語理解 転移 鎌鼬(闇、炎、風) シールド 竜巻(闇、炎、風)


 魔法 属性のなかで、自由に作成可能。

 つまり、『∞』



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