見学?いや、情報網の拡大です。その3
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「あのー」
『ヒル、お前、喧嘩でも売ってんのか!?』
『そういう訳じゃないんだよ、クロヒ』
「あのー」
「ヒル、お前は関係ない。どっか行ってろ。俺は、この闇の守神に用があるんだ!」
「あ・の・で・す・ねぇ!!!」
「「「……」」」
ライルが、思いっきり叫ぶと、ようやく喋り声がおさまった。皆、ライルを凝視する。
「すみません。大きな声を出してしまって。ですが、僕抜きで話をするのをやめていただけないでしょうか」
「お、おぉ。そうだな、あんちゃん。悪かった」
はあ。そうやって、話がわかる人はいいんだけど。
『おい、ライル! 良いだろ別に! 久しぶりの再会なんだぞ!』
ほら、これが面倒くさい。さっきの、会話からしたら、全然嬉しそうじゃなかったけど? あれのどこが? ただの言い合いだよな?
『違う。ヒルとは仲が良いんだ』
『クロヒと仲良くしたつもりはこれっぽっちも無いのですが』
「と、言っておりますが?」
『うぅ、そいですね。黙っておきます』
はあ。何度目のため息だよ……
「それで、ラルギルさん。どう言うことなんですか?」
「あぁ、俺はヒルの主人? なんだそうだ。こいつが言うには」
「こいつが言うには?」
「ま、要するに、勝手に主人にされた」
……へぇー。まるでどっかの誰かさんのようで……
ちらりと、クロヒに目を向ける。
『俺? 俺か? いや、違うからな?』
何が違うんだよ。今日から、お前の守り神だ! とか言ってたやつがよく言うわ。
「それで、このヒルが仲間を探して欲しいと。で、昨日お前を見かけたと、それで声をかけたわけだ」
「へぇー。そうなんですね。でも、何故、ヒルさんはクロヒを?」
「それがなぁ……」
ラルギルが言うには、ヒルは何か嫌な予感がしていたらしい。守神がそう言うのだから、信じることにしたそうだ。それで、その何かに対応できるように、全属性6匹を集めたい、とのこと。
『他の竜たちを見かけたら、知らせてほしい。頼む』
でも、ヒルがそう感じるのなら、他の竜たちも感じ取っているんじゃ無いのか?
『それが、そうじゃないんだ。時によって、あるいは場所によって、それぞれなんじゃ』
「ふーん。なんかよく分からないけど、見かけたら知らせれば良いんだね」
「おう、そうしてくれるか! さっすが、俺が見込んだだけあるぜ!」
うん、何の話か良く分からないなー。
その後、しっかりと見学を済ませ、レミスたちと寮に帰った。
「それじゃあ、また明日ね、ライル!」
「うん! じゃあね!」
そう挨拶をすると、ライルは部屋に戻り、ベットに寝転がった。
「何か、案外近くにいるもんなんだな。守神って」
『そういう訳じゃないぞ。ただの偶然だ』
残りの、4匹の守神を探す代わりに、情報の提供、か……でも、こんな歳の子供にそんなこと頼むか? それに情報って、何だよ……
『さ、また明日も授業があるんだ。早く寝ろよ』
お前に言われずとも、寝るさ。
……明日は、属性屋かぁ。早速、パーカーを着ていってみるか。




