見学?いや、情報網の拡大です。その2
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タダ……パーカー、防御力72、耐性なんちゃら……受けるべきか。受けるべきだよな! だって、タダ!!
「わかった。タダでもらうから、話ってどう言うこと?」
「おぉ! 良いね。じゃあ、少し奥で話そう。これ、パーカーね」
装備屋のおっちゃんは壁にかけてあったパーカーを取って、ライルに渡した。
「あ、はい! ありがとうございます!」
いい買い物をした~! 俺、天才。
『警戒心無さすぎ。お前って、元貧乏だけあるのな』
お前に何がわかる? 5%引きの日は必ずスーパーへ。商品が安くなる夜8時から9時の間に。商品券が、広告に入っていたらすかさず切り取る。電気も節約、水もせつや――
『もういいっ! それ以上聞いていたら、貧乏神が取り憑く……!』
守神にも、神は取り憑くのか……恐ろしいな。
『お前が言うか! そうしようとした、張本人じゃろ!』
「あんちゃん? 来ないのか」
声がする方を見ると、奥に繋がる扉の前で、ライルを待っている装備屋のおっちゃんの姿が見えた。
「すいません。今行きます!」
ライルは、装備屋のおっちゃんの後についていった。
「俺は、ラルギル。よろしくな!」
「ら、ライルです。お願いします」
そう言って、ライルは深々と頭を下げた。
ラルギル、か。人の名前を意識したことはあまりなかったよな。
「歳のわりには、礼儀正しいと言うか、落ち着いていると言うか。不思議だと思っていたけど、よく見るとさらに不思議だな」
「それはどういう」
「あぁな、お前の連れているそいつ、守神だろ?」
ま、守神!? おい、クロヒ!ラルギルにはお前が見えてるのか!?
『あぁ、らしいな。そして、ライル、お前はあいつの肩をよく見ろ』
肩? 一体何を言っているんだ。今はそれどころじゃ……肩……
クロヒの言う通りに目を凝らしてみた。
赤い、竜? って、クロヒにそっくりだぞ? どう言うことだ!?
『つまり、あいつも守神の主人、または守神が、主人か』
後者はどういう意味だ、クロヒ!
「おぉ、こいつが見えたか。やっぱりな。居るんだろ、闇の守神様」
『なんじゃ。居ないと言ったらどうする?』
「声が聞こえてるんだから、いるに決まってるだろ!」
い、一体何が。やけに喧嘩口調だし。もしかして、知り合い!? じゃあ、口を出さない方が……
『クロヒ! 止めろ! 主人よ、そこまで神経質にならなくても良いではないか!』
『おいおい、変わらんのう。その口調』
「ヒル! お前は出てこなくてもいいだろ」
『お前も、変わっていないようだな。いや、ちょっと喋り方に違和感があるような気もするが』
待て待て待て、どうなっている!? ん? 俺は完全にいないもの扱いか!? ヒルって誰だよ、ヒルって! ラルギル、お前は一体何者なんだ、お前ら一体、
何なんだあぁぁぁぁあぁぁ!!!