魔物退治2
???
西の町は、とても広く自然豊かな場所だったと言う。それが今じゃ、火のなか。深鈴はそのなかを突き進み、少し開けた広場に出た。
……石畳? そうか! だから、被害がそれ以上大きくならなかったのか!
それよりも、まずは安全の確保だよね‼
「逃げ遅れたものはいないか! 報告は!?」
「今、全員が町の外の広場に集まったところです!」
これなら、暴れても大丈夫かな。敵はざっと数十匹。狼って、速くて凶暴だよね。刀で耐えられるかな。
「皆は、まわりから! 町の外に、魔物を出さないで!」
全員がその指示にしたがって動く。
司令官って、重大な役割を担ってるんだよね。ちょっと不思議な感じ。
よそ見は禁物、相手の隙を見つけるんだ。
「私の相手は、狼の長かな?」
「グルルルゥゥ!!」
「さあ! かかっておいでっ!」
狼はそれを合図に、深鈴に突進してきた。が、すかさず避ける。砂埃と共に、再び姿を見せた狼の長は目を紅に光らせていた。
「様子が、、おかしい……」
「ガウゥゥッ!」
何も考えていないかのような勢いでかかってきた狼の攻撃は、先程よりも重かった。
いきなり、強くなった……!? でも、そんなはずは……
「深鈴さーん!! 狼の様子がおかしいです!
どうしましょう!?」
あぁ、もう。こうなったら……あれを使ってやる!
『名前は、好きに決めて』
好きに決めるって……じゃあ、あれで。私が好きなアニメのやつ……!
「皆、さがって!!」
「み、深鈴さん!?」
「狼さんたち、あなたたちの敵は、私よ!!」
地面を蹴った勢いで、空中に飛び、狼たちの注意を引き付けた。
そして、一撃。
「ライト・バースト」
シュンッ!!
一瞬にして、辺りの魔物は消え去った。
あちゃー、これ強すぎない? 仲間だと認識している者には当たらない。とは言われたけどさ、無理があるよね……
「深鈴さん、さっきのはなんですか! 私、あのようなものは見たことがありません!」
「あ、あれね……自分でもよくわからないのよっ、あは、あははは!」
よくわからないで、適当にごまかしその場をやり過ごした。
火も消し止められ、ようやく町の全貌を見ることかできた。
石を積み重ねて造られた家の壁に、木で造られた窓。石畳の道。そして、この香りは……! ピザ!!
紛れもない、ここは、あのヨーロッパ!
「確かに異世界転生と言えば、中世ヨーロッパ。やっぱり、ヨーロッパだ!」
「どうされたのですか?」
「い、いや、なんでも」
深鈴が、転生してきた場所は、本で見た数百年前の日本のような建物が多かった。
個人的に、あの町は好きだ。何となく、歴史を感じる。
「そう言えば、深鈴さん。さっきの魔物たち、様子がおかしかったんですよ」
「そんなこと言ってたな」
「魔物は普通、意味もなく突っ込んできたりしないんです。自分が完璧に勝つ方法を探ってから、かかってくるんです」
だから最初はいきなりかかってこなかったのかな。あの紅に光る目も気になるしなぁ……
「ま、でもその事は、ギルドに帰ってからにしようよ」
「はい、そうですね」
事が大きくならなければ良いけど……




