優しさに惑わされる。なよ?
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002
ライル・リ・トリーユ……か……
いや、かっこいいな。うん。何より、棒読みにして、らいる"りと"りーゆ。吏音が入っている。何か嬉しい! ……!? 自分の名前を嬉しいなんて、どうかしてるぞ俺……大丈夫か!?
……このさっきからの平和な空気が、俺を包み込んで……しあわせ……じゃない!!
「どうしたの? さっきから、表情には出ていないけれど、何か、考え事をしているようにしか思えないわ」
何を言っているのか分からないです。母さん。
「いやね、その、何て言うのかしら? あれよ! あれ!」
どれですか。って言うか、何気に会話が成り立ってるんだが!? 俺の心の声が聞こえてるんじゃないよな?
「……そうね、ライル。私はあなたが、いろいろ考えているように見える。と言いたかったわ」
そりゃ考えるでしょう? だって、なにも言われずに勝手にくそ女神に転生させられたんですよ? 状況把握しないと、今後に影響が出るんですよ?
・・・俺は、なぜそこまで焦っているんだ? それに、何でそんなに考えられているんだ? この状況下で?
「あのね。まだ、母親としては未熟だとは思うけど、自分の子の事が分からないほど、バカじゃないわ。それに、生まれたばっかの赤ちゃんが、いろいろ考えていたって、行動なんて、出来ないのよ? 歩けないんだから。ね?」
これは、母親様様だ。何て綺麗な正論をかますんだろう。なんも言えない俺が悲しい…そうだな。まだ焦らなくても大丈夫か……でも、そのうち考えないといけないな……俺は、、、
「そうだ! 今日は早めに寝ましょう!! 明日の帰りが楽しみだわ‼ 久しぶりに帰れるのがこんなに嬉しいのね!」
……俺の思考を遮るのがお上手なことで……ってか、喋り方変わっちゃってんじゃん!? 俺は、これで大丈夫なのか!?
「ライル、明日帰れるのよ。明日は、初帰宅記念日ね。おやすみ」
颯爽と、布団に潜り母親は寝てしまった。
もうそんな時間なのか? いや、まだどう見ても、夕方だよな? まぁ、俺も寝た方がいいか。今日は、色々あって疲れているだろうし。きっと、この小さい体じゃあ、数時間起きてるのが限界だろうし。赤ちゃんなんだから寝てもいいよな。
『ーーなんか、知らないわ! そんな顔でうちに堂々と居ないで!! 出ていってちょうだい!!』
『そんな!? 何で、いきなり僕を嫌いになられたのですか?』
『ーーのことなんて、聞きたくないわ‼ ーーの顔は、この家の子供の顔じゃないわ! あなたの、兄さんたちが言ってたのよ! 一人だけ綺麗な顔で! 自慢でもしてるつもり!?』
『どうして? 何で? 顔なんて、人それぞれじゃないか!』
『……』
『無視しないで! 答えてよ! ……もういい!
出てく!!』
……は!?
今のは、夢……? 誰だ、今の? なんだ、今のは? ただの夢とは思えない……
……あの子、──結構可愛い子だったけどな。男だけど。──アイドルにいそうな、イケメンだと思ったんだけどな……
だからか…あれは、母親の嫌味? いわゆる、いじめに値するのか? かわいそうに。……かわいそうに? 俺が言えたことじゃないだろ?
人の心配より、自分の事を考えろ。自分の事を。
「う~ん! おはよう、ライル。早起きなのね……まだ、5時よ? そんなに、家に帰るにが楽しみになっちゃった?」
あくびをしつつ、母親はそう言った。
別にそうじゃないけど……俺だって、へんな夢に起こされて……ってか、母さんも十分早いだろうよ。
「ついつい、楽しみなことがあると早起きしちゃうんだよね~。昨日は早く寝たし、スッキリするなぁ」
チュンチュン、チュンチュン
スッキリか……確かに、朝日に鳥の囀ずりは、合っているかもな。こんな朝を迎えたのは、何年ぶりだろう……? 早起きは、良いことが起こる、予兆だったりしてな。なんつって。
ありがとうございました!( ^∀^)