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ライルの過去

読者様が、読みやすい時間って、何時くらいなのでしょう……?

 026



  あの後、ライルは一言もしゃべらずに自室に戻った。そんなライルを見て、レミスは少し心配になったのだった。


「ライル、大丈夫かな……なんか、様子がおかしいような……」


 ライルは自室に戻り、ベッドにうつ伏せになった。


『なあ、ライル』


「なんだよ」


『ちょっと確かめたいんだが良いか?』


「好きにすれば」


『お前、前世は4人家族だったんだよな。妹がいて―――』


  前世じゃ、貧乏だった。親は日曜日にいるかいないかで、平日は夜、俺と妹が寝た後にしか帰ってこなかった。両親が、子供のことよりも、仕事の方が大事なんだと、思った。だから、別にそれに対して怒るわけでもなく、妹と協力して日々を過ごしていた。

  どうやら、家でのそういう生活が、学校での態 度に出たらしい。少しからかわれれば、すぐにやり返し、喧嘩を売られればすぐに買う。周りからは、短気と言われていた。別に、相手がやってこなければ、やり返すつもりはなかった。

  親を呼ばれるには至らなかったが、そう言うことは何度もあった。

  部活には、入らなかったし、したいこともなかった。家の家事やら何やらやらなきゃいけなかったから、そんなことを言っていられなかった。本当は、何かやりたいことがあったのかもしれない。強いて言えば、家族で揃って、ご飯を食べたかった。小6の妹と二人きりは少し寂しい。

  妹は、オタク。厨二病で、いっつもゲームやアニメばかりを見ていた。アパートだったから、そんなに大きい声は出していなかったが、場面が盛り上がってくると、『いけー! やっちまえー!』等と言っていた。アニメの影響もあり、中学になったら剣道部に入ると言っていたが、本当に入ったのだろうか。

  ある時、妹と二人で商店街に買い物に行った。その帰り道、俺は計算されていたかのように車に引かれたのだ。簡単に。

  別に、今までの人生後悔しているわけでもなかったし、やりたいこともあるわけではなかった。

  ただ、今までのように、遊ばれて人と話すのではなく、お互いを信頼して話したかった。それに、貧乏や親がいないのも嫌だ。だから、皆に親しまれていると妹が言っていた、勇者になりたかった。もう一度、人生が歩めるのなら、勇者として生きたかった。

  結局なれなかったが、別に今はなんとも思っていない。案外、楽しいから。

  だから、前世とはスッパリ縁を切りたいわけだし、接触しようとも思わない。けど、同じ世界にいるとなると、そうは行かないだろう。


『それで、まんまと女神の思惑にはまったわけだ』


 お前の勝手な想像だろ。別にはまりたくてはまった訳じゃないし。


『勝手な想像じゃないさ。神様に聞いてきた。あと、お前を助けるようにと言われた。だから、まぁ、元からそのつもりなんだが、俺の力を貸してやるよ』


 ……そ、勝手にすれば。


『あぁ、勝手にするさ。俺がいなくても、魔法陣が使えれば、強いもんな? お前が助けを求めてくるまで、力は貸さないからなー』


 ……

 あぁ、いざとなったら、お願いするよ。


「……あーあ、何かスッキリした。なんでだろー」


『じゃあ、これで明日から普通に戻るよな。いつものライルに』


「どうかな」


 クロヒは俺を心配していた……? なかなか、良い奴なんだ。前から知ってたけど、、、ちゃんと俺でいよう。例え、妹に会ってしまって、命を狙われたとしても……

10時投稿は読みにくいですかね……

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