守神と人間の決意
023
授業中、レミスは先生と会話を弾ませている。一方、ライルは妹こと深鈴についてクロヒと話していた。
で、深鈴はどうしてこの異世界に?
『女神が、転生させたんだと。神の規約を破ってまでやることか、って思った』
女神……俺を転生させた奴だよな。転生特典ってやつも渡さなかった。家族にはなにもするなって言ったのに……!! あのくそ女神。
『まあ、そういうのもわかるけどよ。もう一度、家族に会えるんだぜ?』
そういう問題じゃねぇだろ? だって、一度は死んじまったんだ。なのに、もう一回人生を経験しろなんて、おかしいだろ! そう言うのは、会っても嬉しくないんだよ……もう、お別れを言った奴に、また、会っても……
『……』
何だよ。俺の言葉に感動でもしたのか?
『いや、久しぶりに人間の本性を感じ取っただけだ』
つまり、俺は普通の人間。で、その人間が怒ったときに何をするか知ってるか?
『いや、しらん』
「復讐だよ」
つい、勢い余ってそう口にしてしまった。多分いつもより声もデカイ。
「ライルさん? お勉強の復習ですか? 頑張って下さいね!」
不思議と、先生は気にすることもなく、なぜか応援をしてくれた。
……あの先生、大丈夫だよな。普通そういう理解に至るか?
『ま、良いじゃろ。変な風に見られたわけでもなかったんだし』
そうだな。
で、それで、復讐と言ったけど、俺の目標がようやく出来たよ。
『復讐だろ?』
いや、女神をギャフンと言わせてやるのさ。人間を、人間で遊んだことを後悔させてやる。これでも、前世じゃ、嫌われものだったんでねぇ!
『(そこの盛り上がりは良くわからないが……)やはり、復讐ってことだな。ま、言うまでもないと思うが、お前の妹も一応今は敵だから気を付けろよ』
……そうだな。いや、そうだよな。そうじゃん! 今、俺は狙われてるじゃん! いや、すっかり忘れてた。あははは~
『(……ダメだ。こいつ空回りしてやがる。全部話は聞いていたが、ここまでライルがおかしくなるとは……ここは俺がどうにかしないとじゃな)』
俺は、これでも怒ってるんだ。昔、深鈴に言われた、短気を直そうとして、自分を押さえつけているはずなんだ。この5年間、そうしてきたんだ。ここで、俺がキレたら俺が俺でなくなる。ここは、いつも通りやり過ごさなきゃいけない。
「はーい、それじゃあ、探索に行きましょう!
まずは、レミスさんのお家から。そのあと、順番に、装備屋、属性屋、等々、商店街にも行きますよー!」
「はい!」
装備屋か。どんなもの売ってるんだろうな。まぁ、後はあんまり興味ないし、流しで聞くか。
「ライルさん? 返事!」
「あ、はい」
ライルの返事を聞くと、ニコニコと玄関から外へ出た。
あの先生、俺、合わないな。レミスはまだ話せるから良いんだけど。あの先生は……俺、合わない。
『はあ。(まぁ、頑張って。自分のためにも、妹のためにも)』
竜のぬいぐるみになったクロヒはため息をついた。




