寮生活の始まり。
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018
「王国魔道師と言うのは、世界に20といない、魔法陣を使って、魔法を発動させる人々の集まりです」
「それが……」
まじか、俺はその中の一人に値する力を持っていると……!
「まあ、まだ5歳の子供ですから、無理矢理魔道師になれなんて、言われないと思いますよ」
「はあ。そうですか」
「あまり嬉しそうじゃありませんね。いまや、魔法と言うものが滅びようとしているのに。使えるだけでも、国宝級ですよ」
嬉しいとか嬉しくないとかじゃなくて……何て言うんだろう。その情報は知っていたし、ホントは喜べるのだろうけれど、俺はそれよりも嬉しいことを知っているような気がする。だから、心から喜べないと言うか……
「……俺は、このあと魔力を測るんですか?」
「その必要はないでしょう。もう充分、我々は分かっているので」
そうだよな……国宝級の魔法陣が使えるんだから、測る必要はないよな。
「それでは、今日はここまでとして、寮の方でゆっくり休息を取ってください。夕飯や入浴等は、アナウンスにて、指示がありますので」
「「は、はい!」」
実感がわかない。今日から、学校生活が始まって、寮や勉強、色々が始まると言うのに。
何だか、胸の中がざわつくと言うか……
……まあ、いきなり国宝級とか言われたらそうなるか!
「ねえ、ライル! 凄いね! 魔法陣、使えるんでしょ!」
「え、うん」
「私の魔法、一瞬で消えちゃったしね」
嫌みったらしく、レミスが言った。
え、あぁ、水の事か。あれは別に悪気があった訳じゃ……
「うそうそ、ジョーダンよ! 本当にすごかったんだから!」
「え、あ、うん。ありがとう」
「何よ、ノリが悪いわね。もっと、元気なはずでしょ! ライルは!」
あなたが、俺のペースを崩しているんですよ……しかももう呼び捨て……
「さ、さっさと、寮に行くよ!」
「……ああ!」
「調子出てきたじゃない!」
……これが、陽キャの良い所、か。
複雑な校舎をさ迷い、ようやく寮の入口までやって来た。
「やけに複雑だったわね……慣れるのに相当かかりそうだわ……」
「もう、体力切れ?」
「ち、違うわよ!」
いや、どう見ても体力切れだよな。と言うか、魔力がちょっと減ったよな。
「新入生様」
いきなり、後ろから声がかかった。
「うわぁ! ……ビックリした! なんだ、人かぁ」
え、レミス。そんなに驚くか?
「あの、あなたは誰ですか?」
「あぁ、あなたはライル様ですね。わたくしは、この寮の管理人、ウォルと申します。今後ともよろしくお願いします」
ウォル。この寮の管理人か。でも、管理人が何の用だろう?
「この度は、ご入学おめでとうございます。この学校で使う、制服と日用品、文具その他もろもろです。お使いください」
「ありがとう! ウォルさん!」
けっこうな大きさの紙袋を渡された。
この制服……大分、良い素材なんだろうな。手触りが心地良い。
「ありがとうございます。ウォルさん」
「はい。では、それぞれのお部屋に案内します」
それぞれの部屋……と言うことは、一人一部屋! どんな部屋なんだろう?
そのあと、ウォルに連れられ、それぞれの部屋に入った。新入生こと、1年生は1階の部屋を使うのだと言う。だが、今年の1年生は、2人。広い寮はとても寂しく感じられる。
「ここが、僕の部屋……!」
「そうです。ロビーはご自由にお使いください。飲み物も自由にどうぞ。2、3、4階は上級生の階になっています。知り合いがいらっしゃいましたら、直接会いに行く。まぁ、上級生たちが降りてくるでしょう」
知合い? ……あぁ! 学校案内を持ってきた人が一応知り合いになるかな?
「分かりました。ありがとうございます!」
「どうぞ、ごゆっくり」
読んでいただきありがとうございました‼




