○属性屋の姉ちゃん。
読んでいただきありがとうございます!
011
「ライル、はい。サンドイッチよ。少しずつちぎってあげるからね」
「うん!」
おぉ! 最近、離乳食が形を成してきたと思ったら! 今日は離乳食みたいなやつじゃない! 久しぶりのサンドイッチだ! 離乳食みたいなのは、正直あまり味がなかったから……
ふわっふわのパンに、みずみずしいレタス! 柔らかいハムに、甘いタマゴ! 最高のコンビネーションだ!
「うまい……」
「ふふ。美味しそうに食べるものね。もう離乳食じゃなくてもいけるのかしらね。今度からは、こういう食べやすいのに変えるね!ライル」
マジで! 離乳食じゃなくなるのか! じゃあ、ついでにベビーベットも卒業で……
『そんなことを考えられるんなら、もう体力は回復したようだな。ついでに、魔力も』
……魔力って、ご飯を食べることで回復するのか?
『いや、時間経過で回復はする。けど、腹を満腹にした方が速いようだな』
へー。何か不思議。
いや、真っ黒い竜をつれている俺の方が不思議なやつか。
そう言えば、クロヒは俺以外に見えてるのか?
『普通の奴には、到底見えないな。神とやらも、俺を感知出来ないと言われているくらいだからな』
……はあ!? じゃあ俺は一体何なんだよ! 何で見えてんだ!?
『さぁな』
さぁな。って、お前なぁ!
「ライル。そろそろ行くよ!」
「う、うん!」
ここから、あまり遠くないといいんだけど。
『そんなに遠くねぇよ』
……信用ならん。
数百メートル行き森のなかを進んでいた。
うわっ! 蜘蛛の巣沢山……気色悪い。
木々が生い茂り、昼間だと言うのに薄暗く、どことなく不気味だ。
あ! あの先、少し明るい?
あれは、街? だよな? それなりに大きいけど。あそこに属性を調べに行くのか?
「足元気を付けてね。滑りやすいから」
石に苔、木々にも苔。日当たりが悪いから、湿っている。
これが滑る原因だよな? 気を付けて歩こう……
周りの注意しながら、少しずつ進む。すると、辺りがひらけた。少し先には、賑やかな広場が見えた。
やっぱり! この先は、街だ!
「ここを降りたところに、属性屋があるの。そして、驚きなさい! ライル! ここは、王都の中心よ!!」
「おうと?」
「まぁ、この国の中心と言えばいいのかしらね」
中心って言われても……
王都かぁ。王様がいたりするんだろう?
『王都 だかからな。いるだろうよ』
ま、早く属性を見てもらいに行こうぜ!
ライルは、今までにないものに出会う期待を膨らませ、両親の手を取り走り出した。
チャランチャラン……
「いらっしゃい! あら、かわいいお子さんね!」
かわいいお子さん……俺は、かわいいのか?
『可愛くないぞー』
あ?
「あ! 久しぶり! 元気だった?」
「あぁ! ルーラーじゃない! すっかり変わって!」
母さんと、そこのお姉さんは知り合いなのか?
「変わってないわよ! あ、今日はね。息子の、属性を調べてほしいのよ」
「おっけー! お安いご用!」
お安いのか……それなら、お願いしようかな。あ、つい、お金のことを……
『お金なんて気にすること無いだろ? しかも、そういう意味じゃないぞ』
え、あそうなの? 知らなかった。前世で散々勉強したと思ったのにな。
「じゃあ、お母さんたちは後ろの椅子に。ライル君だったかしら。ライル君は、ここに座って、この水晶に手をおいてくれる?」
水晶……何か偽物感が漂っているような……
不信感を抱きながら、そっと手を置いた。
「ちょっと待っててね!」
どのくらいじっとしていればいいんだ……手がつる。感覚がもう無いぞ……
「はい、良いよ。」
「……」
本当に良いのか? こんなんで、分かるのか?
「安心して、ちゃんと分かったから! 属性は……闇と炎と風よ!」
闇と炎と風! 凄い! 三種類もある! これは、、あの水晶本物だ。
『おぉ! 闇か! 俺と同じだな』
どう言うことだ?
『俺の専属は、闇なんだよ。つまり、こんな姿なのもそのせいさ』
俺は、クロヒみたいになるのか……うっわ、絶対無理。
『いや、違うから。俺は、あの家の守神、兼、闇の守神なんだぞ!』
えー、なにその設定。何で、属性の守神が家の守神やってんだよ。
ありがとうございました(*^▽^)/★*☆♪




