プロローグ
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ん? ここは何処だ? 暗い、いや、何も見えないのか。それと、ちょっと寒い? 誰かの声は聞こえるけど、誰の声かはわからないな。夢でも見ているのか? 夢だったら、寂しすぎだろ。夢ならもっと楽しくあって欲しいところなんだが。
「はぁ。何で、人間ってそこまでヤワなのかしらね? 弱っちーってのよ」
「はぁ? 誰だよお前。俺の夢の中で、意味わかんないこと言うな」
「そ。その口調も気に入らないわ」
「人の口調にどうこう言うな。人の勝手だろ」
なんなんだよ。この女の人は。突然現れて、突然喋りだして、あげくの果てに俺への悪口ですか…俺は、夢の中でまで嫌われないといけないのかよ。
「ううん…そうなんじゃないの? ま、夢じゃないんだけど」
は? そりゃどういうことだよ?
「ふーん、自分の現状を理解していない……はぁ、本当に人間は……」
「勝手に話を進めないでくれ。なんの事かさっぱりだ」
「あんたは、死んだのよ。吏音」
は。俺は、死んだ? いやいや、どこも痛みを感じないんだけど。ほんとに死んだの? 俺は、妹と歩いていて、商店街から家に帰る途中で…じゃあ、寝てるわけないじゃんな? 帰る途中で…俺は…
…車に引かれた…?
「いでっ!?」
痛い。体のそこらじゅうが、張り裂けるくらい。やっぱり、引かれたのか? 本当に……
「今更体に痛みなんか感じないでしょうよ? やっぱりヤワね。そして、ここは、夢の中じゃないわ。それに、あなたは死んだ。以上」
「は? 夢の中じゃなかったら、何処だよ」
「そうね。強いて言うなら、神の世界。神界ね」
紙の世界? え? 紙界? 何処だよそれ。え、本気でそれ言ってんの? 顔真面目じゃん。
「あんたねぇ!! 紙界何て言うわけないじゃない!? 神界よ!し、ん、か、い!! この生意気なやつ!」
あぁ、神界ね。しんかい。了解。じゃあ、俺は死んだんだ。そうか。それはそれでいっか。それなら、よくあるやつじゃ、転生して、世界を救いましょう的な展開になるのか。死ぬんなら、勇者に転生の方が、いや、それじゃないと駄目だ。それじゃないと、俺は転生してまで生きる意味がない。
「ほほう。理解できるじゃん。そう。ここは、この優しい私が、でき損ないの人間たちを転生させるための場所。そして、何をそんなに焦っているの? 何で、勇者じゃないとダメなの?」
「は? 何を言ってんだ? そうじゃないと駄目に決まってんだろ!? そうじゃなきゃ、俺はまた同じ道を辿っちまうんだよ! あんなの、もう嫌さ!!」
「そう。私より、十分幸せそうだったように見えたんだけれどねぇ?」
「何か言ったかよ?」
「あんたが、どんな道を辿るのか。見てみるのも面白いかもなぁ。ケケケ」
な、何だよ、今の笑い方……俺は、こんなやつに転生させられるのか!? 嫌な予感しかしない……俺で、遊ぶ気だろあいつ。
「最後に聞こう。今までの人生。もういいのか?」
「フンッ。あんな人生要らねーよ」
「そうか。じゃあ、行ってらっしゃい。1から全部やり直す屈辱から味わって来なさい。私、飽きるまで遊ぶ方だから、よろしくね。吏音くん?」
飽きるまで遊ぶ……? なんのことだ? 本当に俺で遊ぶ気なんじゃないだろうな?
「魔法陣展開」
魔法陣!? うわぁ!? 体が、宙に浮いてる……信じられないけど、本当にこんなことがあるのか……まさに今、体験しているから、そんなこと言うまでもないんだけど。
……あっ! ちょっと待って!
「どうしたの? 吏音くん?」
「俺の、家族にはなにもするなよ?」
「どうしてそんな考えに至るのかな?」
「お前が遊ぶって言うからだよ!」
「どうだろうね。今後の吏音くんの行動次第かなぁ?」
それはどういうことだよ‼ 待てよ……1から全部やり直す……? それって、どういう!? おい! この! 女神! 答えやがれ!
「……さぁ?」
あ、視界が……!? もう、俺が立っていたところが見えない。くそ。最後まで答えなかったな。くそ女神。身長低くて、小学生並みの体つきだったくせに。偉そうな!
くそ女神がぁぁぁぁ!!
俺を、俺を、どうしてくれるって言うんだ!
……俺は、あんな自分にもう会いたくないってのに!!
ありがとうございました‼
これかも順次投稿していきます!( ̄∇ ̄*)ゞ