11話、お互いにいろいろとやらかした
自分の文才のなさが憎い
村の外れにあるベリーピーチの樹木群に向かうが、兄さんたちは果実が取れてないみたいだな。
何回もチャレンジしたんだろうか兄さんが疲れたように実に向かい放つ風の魔術は身を落とせず樹があざ笑うように揺れていた
ベリーピーチの樹は実のなる箇所が高い、現実のマンションで言ったら3階くらいはあるから自然に落ちる完熟したのは落ちたら身が潰れる
そのため高所に取りに行くか風魔法で強風を出して落とすしかないが、前者は落ちたら大怪我するし後者は強風を出しすぎたら実が吹き飛ぶからさじ加減も難しい
堅実な兄さんは風魔法で落とす方法しかとらないんだよね。
俺たちを見て兄さんはやっと来たか、、みたいな反応をみせた。マリアも意気揚々として別れたのに今は疲労困憊みたいで座り込んでいる
元気なのはハミナちゃんとハルくんだけか、樹の上にいる鳥を2人で走って追いかけたりしてわらっているや
「やっと着いたなら早くベリーピーチを取って」
「マリア、いきなり扱いがおかしい!」
冒頭から扱いが雑だよね、ほんと
「おかしくない、私もキーフも風魔法使い過ぎて休憩してるの」
「まぁ、仕方ないか?」
二人は特殊魔法が得意でキーフ兄さんは調教と使役魔法のビーストテイマー、マリアは特殊属性である幻術魔法だから風を使うのは二人とも得意じゃないんだよな、、
元気な顔をした俺たちを見つけたハミナちゃんとハルくんは近寄ってきて俺たちにキラキラした目でお願いしてきた
「おにーちゃん、おねーちゃん、取って!」
「レン、取ってきて」
まて、リアは手伝わないのか気になった
「どうやって取るんだよ、俺もリアも遠距離を吹かす風魔法は苦手だぞ?」
「上に上がってもぎ取ってください」
「え、あの高さを?」
「はい」
満面の笑みだわ、畜生、、けど、、意趣返ししてやる
「、、リアも、手伝ってくれ?」
「え、あの高さを?」
「うん、あの高さを」
絶対にリアは今までの口調で馬鹿ですか、レディになんて事を言うのですか?とか言うかスカートだし高所は行きませんと断言できる
俺は預言者になれた!どうだ、リア
今俺は精神的に追い詰められてるとはいえリアを手玉に取れている!
「良いですよ?その代わり条件は出しますが?」
手玉が吹っ飛んだ、待って飲むのは予想外だ
もしかしたら、ハッタリかもしれない、、まず条件を聞いてみるか
「条件とは?」
「私ももぎたいからお姫様抱っこで登ってください」
あ、今のどうだ、飲めないだろ?って副音声が聞こえる余裕の表情をしていやがる、、、畜生負けるか
「良いぞ?」
「えっ?」
びっくりして少し動揺してるリアに引くに引けなくなった俺は追い打ちと言う名の挑発をしてしまった、これが後にお互いの顔が見れなくなる位の展開があるとも知らずに
「して欲しいんだろ、するぞ?それともお姫様抱っこでいけないとたかを括って無理難題をだして行かないようにしたのかなー?」
俺の発言にイラッとしたのだろうか、リアが笑顔だけど感情は激情な声色で応戦してきた
「良いでしょう、上等です。早くしなさい」
、、リアが近づいてきてわかった、お互いこんな展開は多分望んでない
対面に立ってるリアと俺は俯いてるけど表情はやらかしたみたいな顔してるもん
一応大人になって下がってみるか、兄さんたちがニヤニヤしながら見てるし、、、
「リア、嫌ならやめといても、、」
「なんですか?私が重たいとでも言うのですか?」
「まて!それはどう発言しても地雷にしかならない質問だぞ!?」
その発言も重たいんだよ!
前世を含め万人の女性に対するこの質問のベストアンサーを俺は知らない!これは答えれない
「つまり、いけるんですね?」
逃げ道が潰れた、リアのブレーキはぶっ壊れてたわ
ってかなんで背中におんぶって選択肢を出さなかったんだよ、、
「いけるけどさぁ、、」
「じゃあ問題ないですね」
問題しかないわ馬鹿!自分の顔がすました顔をして取り繕ってるが身体は引くに引けなくてプルプルしてるのに気づけ!
俺が風魔法で唯一使えるのはエアブロックって言う自分の歩く先に魔法陣をだしながら空中で歩く魔術しかないしこれは制御が大変なんだぞ!
「エアブロックを出しながら行くから乗り心地は期待できないし落ちても知らないぞ!?」
「期待してないから大丈夫です、レンを通して私が補助します」
「わかった、するぞ!」
やけくそに近い感情でリアを優しく姫様抱っこしたらやっぱわかった
リアは顔は余裕ですみたいにすました顔を見せているが身体はガッチガチに固まってる、しかも少し暑い、しかもなんかいい匂いするし、、
もしかしたら今までもこんな風に必死に余裕に見せたのかと思うとなんか見惚れてしまった
「エアブロックをだして?」
「あ、ああ、わかった」
「見とれました?」
「、、、ノーコメント」
見とれてました
「正直でよろしい」
どこが正直だ、まったく、、確かに可愛く見えたけどさ
「どうしました?」
「なんでもない、いくぞ」
なんかニコニコ、、と言うか勝ち誇ったような顔をしてるリアを置いといて右足に魔力を流しながら階段を上るように上げ、足に重心をかける
足は空中で留まり、全体重をかけて次は右足の魔力を残しながら左足も同じようにする
それを繰り返しながら一歩一歩確実に、実に向かう。
集中しながらわかる、リアは俺の魔力に合わせてエアブロックの魔力を上乗せして強度を上げてくれている
「魔力制御がうまくなりましたね」
リアも集中してるのだろう、真面目な顔になっていた。俺も真面目に返そう
「当たり前だ、遊んでたわけじゃないしな。しかしリアもよく下を見ないで魔力制御をよくできるな」
「今私はレンの体を通してどこに足を持っていくのかわかるようにしてますから」
「簡単に言ってるが俺にはできないぞ?
「不器用ですものね」
真面目な時にそんなこと言うか、仕方ない
なら俺も不真面目に返してやる
「落とすぞ?」
「じゃあしがみつきます」
両腕を首に回してきた、治った熱がまた再熱する!思わず前を向いて誤魔化すことにした
「おま、ちょいま、、顔近い」
「嫌なのですか?」
「嫌じゃないけどさ、、」
ダメだ発言がしどろもどろになってるけど余裕の表情でこっちを見るリアはリアで首に回した手を冷たいと俺が感じないぐらいにまた無理をしてるのがわかる気がする。ってかなんで嫌じゃないと言ったんだ俺は
「私は無理はしてませんからね?」
ぐ、、心の声をまた読まれたのか、、千里眼か?普段体温高く無いだろうが!
なんて会話をしながら歩くと実に近づいて来た
リアは驚嘆しながら枝や葉っぱや実ををまじまじと見てる
「あと少しで取れそうです」
「だな、取れそうか?」
リアが必死に手を伸ばし掴んだ、薄い青の皮をした実を取れたら凄く嬉しい顔をしながら報告してきたよ
「あと少し、、取れました」
、、、リアは待ち切れないのか食べたそうに実を見ている、どうしますか?なんて台詞が浮かんでしまうくらいリアは表情は変えないが実を一点に見つめてお預けをされた犬の様な雰囲気をだしている
「先にかじってみたらどうだ?」
「はしたないですからしません」
まぁ、普通女性はしないもんな。けどすぐに食べさせてあげたい
「見られてはないよ?」
「それでも、、、です」
、、、あまりしたくなかったがこの手で行くか
「、、、、仕方ないな、俺がかじりたいから食わせてくれよ?」
「はい?」
リアは何言ってるの?って当たり前の反応をするが俺は言葉を続ける
「俺がかじった箇所は誰にかじられてたとかもわからんよね?」
「あ、貴方何を言い出したのですか!?」
理解したリアはなんてことを言い出したのこの人は!って感情と食べれるの?って言う嬉しさが混じったのだろう、見たことない顔をしてる
リアからしたら間接キスなんだろうが俺が食いたいと言ったら関係ない、素直にリアが食べたいなら食べさせてやりたい
「言いたい意味がわかった?」
「それ、恥ずかしいですよ」
ちょっと恥ずかしがったリアをからかってみるか
「じゃあ降りるまでお預けかな?」
リアは少しどもりながら怒ってるが悪い怒り方ではないから気にしなくて良いか
「う、、、ずるいです、後で覚えててください」
「大丈夫、忘れるから」
大丈夫、不安になってるだろうが絶対にそばにいるから何も怖がらなくていいんだよ。なんて考えながらリアを優しく見守ってるとリアはベリーピーチにかぶりついた
「、、、んんん、、美味しい、、」
幸せと嬉しさが混ざったような顔をして味わってる、食べただけだよな?
何かあるのかな?そんな美味しいなら俺も食べたくなる
「はい、俺に食わせて」
「両手が塞がってますものね。うう、口を開けなさい」
リアが食べた後にかぶり付いた
「うん、うまいな、、、」
口の中で白桃の甘さとブルーベリーの酸味が程よいアクセントとして、口の中を幸せにしてくれた
顔が綻んでしまう。満足したしみんなの分も取ろうかな
「さて、みんなの分もとりますか」
「だな、しっかり取ってくれよ?
「もちろん、しっかり向かってくださいね?」
俺たちは更に人数分の実を取り降りようとしたのだが下を見たらかなり高いよここ、、若干屁っ放り腰になりながらもなんとか降りたら兄さんたちが出迎えてくれた
マリアがふと、俺がかじった果実が気になったみたいで注視してから疑問を投げかけてきた
「ねね、なんで一個だけかじってあるの?」
「俺が我慢できないでかじった」
表向きはそう、だ
「そうなのね、てっきり2人でかじりあったのかと思ったわよ?」
「え、なんでそう思った?」
「え、レンは知らないんだ?ペリーピーチは縁結び果物なのよ?」
、、、は?まてまてまて!?話しがおかしな方向に行くぞ!?
「、、、ソウナンダネー、ドウタベタラソウナルノ」
片言になった、自分でもびっくりしたが止まらない
「え、ペリーピーチはお互いにかじり合うと家族なら絆が深まり、、、好きだけど言い出せない子が恋人になりたい、家族になりたい人に渡して渡してもらった側が先に食べてからかじった跡を食べあって恋を成熟させるよ?」
「、、、ソウナンダネ」
「もしかして食べあったの?」
リアは、家族、、でも家族なのか、、?自分の感情すらまだわからんのに親愛か恋人か吐き間違えたらリアに失礼すぎる
「ソンナコトシテナイヨ」
嘘付くしかなかった
「そう、とくに女の子が先に食べた後にあーんなんてしたら、、その男性の全てが好きって意味になるわよ?」
「それ、、知りませんでしたよ」
あ、リアもびっくりしてる。知らなかったのか
「そう、知らなかったら余計にタチ悪いことになるけどね?
「え、そうなのですか?」
「知った瞬間から意識しだすからね、恋愛果実ってそんなものよ?」
あ、明らかにこちらになにをしてくれたんだって顔してる、、
マリアはそれを見逃す筈もなく、リアに抱きついた
「隠すの下手くそね、そこも可愛いね」
「お姉様、、」
2人は小言でゴニョゴニョ言ってるが俺の位置からは聞こえない、嫌な事じゃないみたいだな
まるで2人は芸術の絵みたいに綺麗だった
けど、少しして兄さんが二人の世界をこちらに戻すようにマリアに話しかけた
「マリア、俺がこのペリーピーチを渡したら食べるかな?」
「なっ、えっ、、そ、、そりゃあ、、、」
あ、不意打ちにテンパってる。
マリアはふとした時に押されたら焦るのをリアも知ってるから腕の中でニヤニヤしてるのがわかる
「食べるのですか?」
単語って力が強いよな、文を並べるより強い気がする
マリアはリアをぎゅーっとしながらさけびだした
「うぅ、、、食べるわよ!兄弟揃って馬鹿なんだからー!」
こんな久しぶりに照れるマリアを見れたが新鮮でいいな、マリアはリアを優しくよしよし解放して兄さんにもらったピーチにかぶりついた、、ってハミナちゃんとサンくんはお互いにいつの間にか食べあってるし、、
「サン、あーん!」
「美味しい!おねーちゃんもあーん!」
まずい、微笑ましくみてたらこっちと視線があった。二人で近づいてきた
嫌な予感がする、矛先が向けられる前に、、逃げ、、
「ねー、おにーちゃんとおねーちゃんは食べないの?
純真無垢な目でそんな事を言うな、マリアから解放されたリアが迷惑するだろ、、
って笑顔でリアが2人を優しく包み込んだ
「私たちはもう食べたから、気にしないで」
「なんで身体が熱いのー?」
「魔力を使ったので体が熱いのです」
「本当にー?大丈夫ー?」
「本当です、大丈夫ですよ」
チャンス、ハミナちゃんとサン君に乗っかるか
「ほんと「今変なこと言ったら魔力が暴走しますよ?」
企みが失敗した!2人を抱きしめながらも俺にしかわからない圧をかけてきた、まずい逆鱗に触れたかもしれない
「まず、聞く前に被せて発言は良くないと思うんだ」
「今レンに発言されたらドツボにハマる気がしてならないのです」
「なんでだよ!」
「わからないから馬鹿なんですよ?」
「ぐ、、、」
リアはいつものように笑うと、そこには影がなかった。いつもの焦る前のリアに戻っていた
よかった、少しは気持ちが晴れたみたいだ、、
笑いながら幸せな時間が進む、まだ旅立つなんてしないでずっとスローライフを楽しんだら良いのになんて勝手な願いを出してしまった
「あはは、、もう食べたなんて、やっちゃってるじゃない」
マリアは遠目に笑いながらキーフに話しかけて同意を求めたがあぁ、、と答えるだけだった
「あの魔法、、渡した本には書いてなかった失われた魔法なのになぜレンが使えるんだ、まさか自分で発見したのか?もしそうなら、、くそっ、、何であいつは、、」
マリアに聞こえないような小言だった、けど確かにそこにあったのは尊敬や頑張ったのを褒めているとは違う
嫉妬、本人も気付いてない黒いモヤが内側が満たされ出した