5. 王宮図書室
両親と別れたエリティナは城にある図書室に向かっていた。
ここの図書室は国一の広さを誇り、色んな本が置いてある。例えば、隣国の歴史についてや政治のことなどが書いてある本やこの国の古くから伝えられている絵本、小説など様々な分野の本がおいてあるのだ。
その中でも、エリティナは恋愛の本等を探して読むのが好きで第三王子と婚約をしているときも王宮図書室にやってきて本を読むほどであった。エリティナの家族は公爵というのもあり出入りは簡単にできるしこの国の王宮での出入りが平民でも出来るのが図書室に他ならない。
図書室以外は王族はもちろんの事で公爵、侯爵、伯爵以外の人は出入り禁止になっているのである。
だが、例外が一つあって、例えば国王陛下の謁見や商人が荷物を持ってきたりなどはここで発行されるブレスレットをつけていれば門番も怪しむことなく出入りができるようになっている。
「今日は何にしましょうか…。」
「ん、こんなのはどうかな。」
いきなり、エリティナは話しかけられ後ろを振り向くとそこにはロンディアがいた。
ロンディアがいる理由は分からないが、エリティナは本を受け取る。
「ロンディア殿下、なぜここに?私には婚約を破談された時から話していなかったのに。」
「いいだろ、元婚約者にいつだって話しかけても。どうせ、ヴォーディ兄さんが隣についているんだし。」
そういわれ、エリティナはロンディアの隣を見るとヴォーディが静かに立っていた。
「私の気配が分かるとはさすがですね。ロン」
「あぁ、兄さんの気配なんてすぐに分かるよ。消していたとしてもな。」
「ふん、エリティナと話をしているので静かに歩み寄ったのですが、気が付かれたらしょうがないですね。こんにちは、エリティナ。さっきも会いましたが、さっきよりかは顔色がいいですね。」
朝から調子が悪いのをヴォーディに気がつかれ、エリティナは少し吃驚した。
でも、あれはただ緊張で調子が悪くなっていただけでそこまで心配されるほどでもないので頭を横に振った。
「いいえ、あれは緊張でなっていたので大丈夫ですよ。」
エリティナとヴォーディの話についていけていないのか、ロンディアは頭を傾げた。
「ん、あー、兄上の婚約の話か。俺と婚約破棄して3年で兄上と婚約したのだったな。」
「なにをおしゃっる。あの婚約破棄はロンが悪いんですから気になさらず、エリティナ。」
「えぇ、大丈夫ですわ。もう3年前の話ですから気にしていませんし、ロンディア殿下もヴォーディ殿下も私はこれから少し用がありますので失礼いたしますわ。」
では、と言いながらエリティナはお淑やかに一礼し、二人の王子の元を離れた。
ロンディア殿下が薦めてきた本と違う本を探していると違う方向からエリティナの友人であるローマリがこちらへやってきた。
「マリ、おはよう。」
「おはよう、エリ。これからお茶会はどうですか?お昼頃にお茶会を開こうかと考えていまして、エリがいいのでしたら私の家であるガーディ家に来てくださりませんか。」
「いいですね、お昼はあいていますしお邪魔させていただきますわ。」
そうして、本一冊を借りてエリティナはローマリと一緒に図書室を出たのだった。
次話は少し遅くなります。
これからは少しずつ更新します。