4.5 エディーラの考え
ある時、ロンの婚約者であるエリティナの話が出た時に父上が少し愚痴を零していたの事を思い出していた。
「ロンディアの婚約者としてはもったいない、エディーラの婚約者にするべきだったのかもしれないな。」
小さく呟いた言葉は私と傍にいた側近には聞えていて、側近は納得するかの様に頷いて父上を見ていた。
その言葉に私はなんでなのか、さっぱり分からなくて不思議に思っていたのだったがある日ふと、ロンと話す機会があり内緒で会話をするとその婚約者に対する思いがどこかに消えて言ったように愚痴を溢す。
「兄上、どうしましたか。」
「いいや、最近エリティナは来ないんだな。」
「えぇ、そうですね。アイツにはあんまり城には来るなと云っていますし、いつもの様に来られるとこちらも困りますから。可愛げのない女ですし。」
…、あんなに最初は溺愛していた婚約者をどうもこうして愚痴を言えるのだろうか。
本当に、婚約者が可愛そうになっていた。その婚約者・エリティナとは小さい頃庭で話したことがあったがとても美しく可愛い少女で誰もが羨む容姿を持ち性格だって嫌われるような心を持っていなかった。
しかも可愛げのないと、ロンは云っていたが多分それは我が侭も一切いわない女と言うことだろう。
だが、それは当たり前でもありながら婚約者に言って欲しい我が侭もあるのも間違いではない。王室に毎日は来ないように云うのは正しいとは思うが殆ど、城にきていないと婚約を破棄したかと思われるだろう。
それがロンの目的だった。
ロンは昔から城下に行く癖が直らず、執務をほっといてでも行く様な人で説教をしてくるエリティナを毛嫌いする様になっていたのだった。それが嫌で城に呼ばなくなったのが気持ちにはあるみたいだった。
それを見かけた、王である父上は自分の娘のように可愛がっていたエリティナをロンの婚約者にしたのを悔やみきれずにいたのだろう。それは私にも伝わってきていつも父上の傍にいた事でエリティナの良さが沢山見つけることができた。そうして、私は自分の婚約者にして欲しいと父上に頼んだ際、‘‘必ず、お前の婚約者にしてみせる‘‘と云って下さった。それの思惑にも気がつかず好きな人ができたと言いエリティナの婚約破棄を申し出たのであった。
だが、少し気になったことがありロンに聞いてみることにした。
「ロン、本当にいいのか。婚約破棄して、お前から縁談を申し上げといて」
「えぇ、いいんですよ。エリティナは元々俺のことが好きだったようですがそこまで想われていなかったと思います。」
多分、すれ違いが生んだ婚約破棄だった。それをいい事に私はエリティナと婚約できた。
それが、私が考えていた事だった。
そうして、婚約の儀の日私は王の隣に立ち静かに見守っていた。
気づかれることもなく、静かにその儀は終わる。
でも、まだエリティナに姿を見せる時ではない。私がたった一人の婚約者であるエリティナを守れるくらいに強くなってからだ。王となる前には強くなって見せよう。
そう心に誓った。
婚約の儀の日までのエディーラ殿下の気持ちです。
次の話をお楽しみに!!