とある令嬢と吸血鬼の物語
「…嘘よ。まだまだ判断力が足りないわ。出直して来なさい。」
冷淡な目と声で少女は男を見下した。
男は恨みがましい目で少女を見ると少女の視線から外れるように去った。
──白金 美亜、それが少女の名である。
白金家の令嬢で非常に冷酷な性格であると噂されている。
そんなご令嬢は反社会的人格────つまり、サイコパスと呼ばれていた。
それを美亜自体十分理解していたし、そのような印象を快くすら思っていた。
そんな美亜は皆から「美人寄りの可愛さを持っている」と言われていた。
両方で結んだ銀髪が妖しく輝き、赤いレースのついた黒のドレスは銀髪の輝きをさらに強調していた。
いつもドレスと同じ色、柄の日傘を持っている。
そして誰もが目を止めるのが手首。
黒いレースの飾りをつけているが、その間から白い包帯が覗いている。
──察しの良い人なら分かるだろう。
美亜は良く手首の飾りを変える。だがしかし、包帯はいつもそのままだった。
決して人前では飾りを外すことは無いし、包帯を見せることもなかった。
───まぁ、これぐらいで良いだろう。
そんなサイコパスで死にたがりの令嬢は最近、吸血鬼に興味を持ち始めたようです。