電話
正直、後で読み返すとつまらないなぁ。
プルルルルル♪
「あ、俺だけどさ、今日もサービス残業で遅くなるから先に食べといて」
「あなた!
今日は哲生の誕生日なのよ!
子供の誕生日の日くらい残業くらい断りなさいよ!」
「ごめん!澄子」
「あなた最近仕事ばっかりで帰って来るのも何時も0時過ぎじゃない!
家庭を何だと思ってるのよ!」
「ホントにゴメン。
でも工場長が定時で帰ったからその分の仕事まで済ませないといけないんだ!
取引先からの無茶な発注もまだ――」
「もうあなたなんて知らない!
そんなに言い訳してまで仕事したいなら私と子供を捨てて仕事と結婚しなさいよ!
私もう知らないから!」
ガチャン!
ツー・ツー・ツー
「バカ、
この前の結婚記念日にも約束してくれた癖に仕事だったじゃない……」
澄子は辛い言葉を放ったまま電話を切った事を後悔していた
今日こそは早く帰ってきてくれると信じ、夫が昔に買ってくれた高額なワンピースまでタンスから出した
最近はやらない化粧も念入りにやった
苦手な料理も結婚する前の夫に教わったことを楽しくも懐かしい思い出しながら無茶してご飯を作った
ケーキもレシピを見ながら形は悪いながらもおいしいものが焼けた
全て夫と子供を喜ばせる為だった
澄子は自分の努力が徒労に終わった事よりも、久しぶりに家族揃って我が子の誕生日が祝えない事を嘆き、うなだれた
「おかあさん。どうしたの?」
いつの間にか近くに寄っていた哲生を抱き締め澄子は涙を流した
ジリリリリリリリ♪
カシャン
「あ、はい。
もしもし、キムちゃん
え、何?
少し金と食糧の援助をくれって?
あ、ゴメンそれちょっと無……
え、援助やんないとテポドン落とすって?
やだなぁ、冗談だよ
え、何?
今度はアメリカに口添えしてテロ指定を解除させろ?
いやぁ、、それは流石に無………解った!解った!
だからテポドンだけは勘弁してよキムちゃん
ホラ、昔からの仲だろ?
いいって、いいってマジ気にすんなって!
困った事があれば何でも言ってよキムちゃん
んじゃ会議あるからそろそろ切るね。」
ガチャン!
「キムちゃん……
今度援助したらもう脅さないって約束してくれたのに、、、」
首相はあんな約束をしたことを後悔していた
北〇鮮が世界平和に共感してくれると信じ、持病の痔が悪化する思いで十億円の援助金を送った
最近はやらない根回しも念入りに行った
苦手な接待も前の首相が行った事を参考に、プライドをかみ殺しつつ行った
会談も相手を起こらせないよう、慎重に言葉を選んだ
全て世界平和の為だった
首相は自分の苦労が徒労に終わった事よりも、ストレスで久しぶりに血便が出たことを嘆き、うなだれた
「首相。どうしたのですか」
いつの間にか部屋に入ってきた秘書とは目を合わせずに自分の尻を抑え、首相は涙を流した
〔完〕