情景、都市をゆく
情景、都市をゆく
この辺じゃ都会気取りの田園風景
それをバックグラウンドに、夕暮れが夕立として泣いた
今日も影のカラスが鳴いているのを見た
情景、都市をゆく
誰かを失った部屋のがらんどう
結露に曇った窓と、そこを通して見る街灯の光から
なんだか、寂しさと優しさを感じる、そんな気がした
情景、都市をゆく
雨粒が、ブールバールを走る車にぶつかった
街路樹はそれを、ただただ揺れながら見ていた
傘の下の水たまりは、私の小さな一歩に揺れた
情景、都市をゆく
ライブ帰りの電車は、誰も知らない歌で乗り過ごした
外にあった暗闇に足を踏み入れた時、小さな夜風が吹いて
意味もなく見上げた空に、名前のない星が
ぽつり、ぽつり、と