第9話 女神様からの手紙
手紙の封を切ると、一枚の紙が出てきた。恐る恐る開くと手紙にはビッッシリと文字が羅列されていた………………なんてことはなく、謎の絵が書いてあった。
「これは……まさか魔法陣?」
そう。魔法陣だ。真琴は調べるために恐る恐るその魔法陣に手を触れた。
「……うわッッ!!!」
すると突然、魔法陣が輝きだし、とある人物を投射する。
『やっほー!真琴くーん!元気〜?』
「やっぱり、セラか……」
そう、真琴が死んだ直後に何も無い空間で出会った女神様、セラが目の前に映し出された。
『いやー頼み事の詳細を伝え忘れてたからね……。何をやればいいのか迷ってると思って』
「当たり前だよ。肝心な事が分からなかったから何を目標にすればいいのか分からなかったんだよ……」
『ごめんごめん~。まぁだから僕がこうして魔法陣を通して君に会いに来たんだからいいでしょ?』
ほれほれ~と言わんばかりに自分の存在を主張する。まぁ、真琴自身も顔見知りであるセラに会えたことは素直に嬉しい。
『まぁ冗談はさておき、これから君のしなければいけないことを伝えるよ』
ここに来てようやくセラの雰囲気に緊張感が増し、今後の話に移る。
『君にやってもらいたいのはこの世界に存在する、イレギュラーの殺害だ。』
「イレギュラー……?」
どんな奴らだろう。真琴が想像するのは、魔物の姿。
この世界の敵といえば、基本的に魔物のため、真っ先に思い浮かべたのだ。
『例えば……魔を統べる王とか、神とか?』
「元人間の俺に神殺しをしろとっ!?」
『あくまでも例えばさ。実際にイレギュラーに関しては僕もそこまで情報を持っていないんだ。』
「ではまず何をすればいいんだ?」
『君にやってもらいたいのはとりあえずレベリングと冒険者ランクの昇給だ。』
「レベリングは分かるけど……何故冒険者ランクを上げる必要が……?銀以上の上位冒険者になったら国に縛られるんじゃないのか?」
先程、受付嬢のアリスから聞いたことをしっかりと覚えていた真琴はそのようにセラに問う。
『まぁ確かにそうだね。だけど冒険者ランクの最高峰には、国に縛られずに自由に行動することが許されているんだ。』
「そんなの初耳だぞ?」
『多分そこまで上がれないだろうと思って、説明を省いたんじゃないかな?実際、そこまでの人数いなかったでしょ?』
確かにそうだ。最高峰の冒険者の数は1桁しかいない。
「それを目指せとセラは言っているのか……」
『そだよー!クエストを受けてレベリングすれば自然とランクは上がるだろうし、君の能力的にはぜんぜんもんだいないでしょ?』
「俺は目立ちたくはないんだよ……」
そう言ったもののセラの言うことには従わなくてはならない。
今の真琴は、神の使いだ。もし、セラの言うことに背いたらどうなることか……。
「とりあえずはレベリングをすることにするよ。他に詳しい話はないの?」
『さっきも言ったけど、イレギュラーに関しては、情報が少ないんだ。だから、新しい情報が見つかったら、ストレージボックスにまた同じ手紙を入れておくよ。』
セラは真面目な表情でこちらを見る。
『じゃあ今回はそのくらいかな?君は頑張ってレベリングしてくれよ?まず目標はLv50だっ!』
セラはそう言って消えていった。投射が終わった魔法陣は消え、紙だけが残っていた。
これもなにかに使うかもしれないと、ストレージボックスに戻しておく。
明日からは少しづつ依頼を受けて、お金を貯めつつ、冒険者ランクとレベリングを行う必要がある。
真琴は装備をまとめると、布団の中に入って眠りについた。この日はあまりにも色々ありすぎて、すぐに深い眠りについた。