第16話 これから俺たちは……
何となくかけたので投稿します。予定がずれるのは多々あると思いますがよろしくお願いします。
「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……」
なんとか逃げきれたか……。ついさっきまで野営をしていたのだが、そこに森に入ってすぐに出会った、雷光を纏う大狼が現れたのだ。
一緒に行動していたレイの協力もあって、逃げることが出来たが、よくわからないところに出たためなんとか街に戻らないといけない。
「さて……なんとか逃げられたみたいだけど……これからどうするか……」
俺一人だったらきっとすぐに街へ戻っているだろう。ただ、今はレイがいる。
彼女の素性は未だによくわからないが、あの大狼から逃げられたのは彼女がいたからだ。命の恩人と言っても過言はない。
(だからこそこんな所に置いていくわけにも行かない。どうにかしないと……。せめて住んでる場所さえ分かればな……)
「なぁ。本当に自分がどこに住んでたか分からないのか?」
レイは無言で頷く。
ほんとにどうするか。考え込んでいるとレイは袖を引っ張ってくる。
「私。真琴に着いていく。」
…………は?
「ごめんもう一度言ってくれると助かるかも。お願いしてもいい?」
「私。真琴に着いていく。」
うーん。どうやら夢とかの類ではないらしい。
だけど、レイが俺についてくるものはメリットがないように感じる。
「どうして俺に着いてきたいの?」
「私。あなたに助けられた。あなた。私に助けられた。これからもお互い必要。だと思ったから?」
なぜ疑問形……。ただ、レイが言っていることも事実だった。
(俺一人だと大型……さっきみたいな大狼何かと遭遇した時に対処しきれるかわからない……。ただ、レイがいれば対処できる可能性は伸びてくる。)
こちらとしてはありがたい申し出だったが、本当にいいのであろうか。
「俺はまだこっちに出てきたばっかりで無知なのにいいの?」
コクリ
「家どころか宿すら用意出来てないけど……」
コクリ
「戦闘だって……」
「真琴は、私がついていくと、迷惑?」
そんなわけあるか!
真琴は頭を下げる。
「ぜひお願いします!!」
コクリ
無表情なレイが少し微笑んだ気がした。
と、まぁ。レイがこれからも一緒に行動することが決まった。
しかし、ここからどうするか。
「まずは街に戻ってギルドに向かおう。クエスト完了報告をして、そのお金で取り敢えず宿をとる。いい?」
「うん。それでいい。」
レイにもしっかり確認をとる。これから一緒に行動するんだ。俺の独断というわけにも行かないだろう。
金にも余裕があるが、万が一のために余分に持っておかなければならない。なんせ武器召喚には大量の金がかかるからな……。
あまり泣き言は言わずに次にとる行動に備える。
早速マップを開いて現在地の確認と、街がどっちにあるのかを確認する。
どうやらここからさほど離れていないようだった。
これだったら2時間も歩けば着けるだろう。ただ慢心はしない。
この先ももしかすると魔物などに遭遇するかもしれないのだ。大狼との戦いで消耗したスタングレネードやスモークグレネードは2つずつ手元に置こう。
カタログを取り出し、召喚する。ステータスプレートから確認すると、金貨が減っていた。
(よし。)
確認を終えると、真琴はレイを呼び、街へ向かうことを伝える。納得してくれたようで、レイはコクリと頷くと立ち上がりこちらに走ってくる。
身元不明の女の子だが可愛いものは可愛いのだ。真琴は緊張してしまったが、なんとかポーカーフェイス。バレないようにしなくては。
愛でたい思いを必死に我慢しながら行動する真琴と、安定の無表情のレイの2人は街への帰路についた。
やっと街に戻れるぞー