第15話 VSでっかい狼②
大変お待たせしました。こちらも投稿再開です。
保護した少女レイと行動
夜になって野営を始める
前に見た雷光を纏う大狼が野営地に出現
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「な、なんで奴がこんなところに…」
逃げる時には逆方向へ逃げたはずだったのになぜこんなところに現れたのか。真琴は理解が出来なかった。
実は真琴たち二人が歩いていた方角は知らないうちに最初に大狼に遭遇した近くまで戻ってしまっていたのだ。そんなことを全く知らなかった真琴は混乱状態に陥る。
(こんな相手に今の自分じゃかないっこない!逃げないと…逃げないと殺されるッッ!)
取り合えずテントの中に戻りレイを起こす。
「レイ!起きろ!魔獣が攻めてきたッ!早くここから離れないと2人とも死ぬぞッッ」
「ん…。待って。荷物、どうする?」
「必要最低限でいい!最悪武器だけでも…。他のものだったら後で買いなおせばいい!今は生き延びることが最優先だ!」
「ん…。」
倒す必要はない。何とか時間を稼いで、離脱できれば何ら問題もない。とりあえずマップを広域にして表示する。
ここから北に2㎞程のところで森は終わっていたのでここから走ってどうにか道まで出れれば大狼も追っては来ないだろう。
「どうにか足止めができれば…」
「足止め、できればいい?」
どうやら考え込んで気づかなかったが口から声が漏れていたらしい。そんなことにも気づかないとは、相当参ってるな。
そんなことを考えつつもレイに問う。
「本当に足止めできるのか?」
「うん。」
「時間は?」
「分かんない。だけど2分くらいなら、たぶん、できる。」
十分だ。それだけあれば何とかなるかもしれない。
「端的に作戦を説明してくれ。」
「分かった。まず…」
作戦の概要はこうだった。まず、例が氷結系の魔法で足を止める。この時に魔法のうち何発かは設置型にしておく。こうすることで1つ目が破れても2つ目というように時間を稼げるらしい。
さらに自分たちには身体強化魔法を使用してスピードを上げる。そのまま一気に森を駆け抜けて脱出する。
こんなことで離脱できるのか不安な部分は多々あるがそこは運任せだろう。
「覚悟はいい?」
「うん、大丈夫だ」
一言会話するとレイが魔法を放つ。が、それは…
「無詠唱魔法!?」
無詠唱魔法といえばなかなか扱える人がいないという結構な高等技能だとギルドで耳に挟んだ。
(それをどうしてレイが…)
「真琴、もう行く。」
「あ、あぁ…」
レイからの指摘で我に返る。
(いろいろ気になる部分はあるけどそれはここを抜け出してからだな…)
真琴は覚悟を決めテントの外へ出る。と、そこには先ほどよりも近づいてきた大狼が。
しかしビビっている場合ではない。
「レイッ!やれ!!」
合図を送るとレイがすかさず魔法を発動。どうやら足元周辺を凍らせているようだ。しかし、そこまで単純ではなかった大狼。自分の纏う雷で氷結を砕き、脱出を試みている。
(これじゃあ…いや待てよ。足止めだったら視界を奪って俺たちがどこに行ったのかわからなくすれば…)
ならばすぐに実行しないと。レイの魔力にも底はある。
「レイ!魔法はそこまででいい!今は目を閉じて、耳をふさげ!」
するとレイは一度頷くといわれた通り行動する。
「よしッ!」
真琴は手持ちにあったスモークグレネードを全方向へ投げ、フラッシュグレネードを大狼の目の前に投げる。
自分も目を閉じ耳をふさぐと、耳をふさいでもなお大きな音が響いてきた。
目を開いて確認すると大狼は悶えるように苦しんでいた。
「よし!レイこっちに!」
「うん。」
真琴はすぐさまレイの手を取るとマップで確認しながら道のある北に足を向ける。
身体強化のおかげか体が軽い。それよりもいつもの2倍くらいのスピードが出ている感じがする。
「これなら何とか…!」
こうして何とか新しい世界で最初のピンチを乗り切って見せたのだった。
なかなか続きが思い浮かばず、また忙しかったのもあり書けなかったのですが、時間もでき、新作も始めたので再開しました。こちらは週1回、日曜日の投稿を目標としています。これからもどうぞよろしくお願いします。新作「前世が兵士の男は今世も戦いから逃げられないようです」もよろしくお願いします。