第10話 魔霧の大森林へ①
今回は文字数が少ないです…。次回はもうちょっと長めで作ります。
窓から零れる光に眩しさを覚え、ベッドから降りていく。
桶に水を貯め、顔を洗う。頭が冴えてくると、次は喉に乾きを覚える。
食事場に降りていき、とりあえずモーニングセットと水を頼んだ。
今日のメニューは何なのか……それが朝のささやかな楽しみだ。朝食を取り終わると、真琴は装備を身につけ、ギルドへと向かう。
ギィィィ……
昨日来た時とおなじ音を扉が上げる。
それに気がついたのか視線が次々に集まってくる。
真琴は、気にしないようにして担当受付嬢のアリスのところへ向かっていく。
「おはようございます。マコトさん。これからクエストですか?」
「そうなんだ。俺に合うクエストを適当に見繕ってくれないか?」
「分かりました。少々お待ちください。」
そう言うとパタパタと音を立てなが奥へ向かって行った。
少しすると何枚かの紙を持ってこちらに戻ってきた。
「こちらはいかがですか?薬草の収集で報酬は銅貨5枚ですけど」
(採集系はレベリングには向かないか…)
「んー討伐系はないか?」
「討伐系でしたら、オーク5匹の討伐なんていかがですか?報酬は銀貨1枚ですし」
(オークがどんな魔物かよくわからないけど、まあいいか)
「了解、オークの方を受けるよ」
「分かりました。手続きをしますのでギルドカードをお預かりします。」
依頼書の上にギルドカードを置くと、発光し、気がつくと依頼書の文字が消えていた。
「どういう事だ?」
「これは、ギルドカードに情報を移すことで、誰がどのクエストを受けているのかわかりやすくするための魔法です。」
そう言うとアリスは俺のギルドカードを見せてくる。そこには
(オーク5匹の討伐 クエスト進行中)の文字が追加されている。
さらに依頼書にも(オーク5匹の討伐 アンドウ マコト が受注中)と浮かび上がっている。
(魔法ってホントになんでもありなんだ……)
自分が今後戦う相手にも、厄介な魔法を使う奴らがいるかもしれないと、不安になりながらも
関心していた真琴であった。
その後は特に何も無く、スムーズに手続きを終えて、真琴はギルドをあとにした。
今回のクエスト対象であるオークの生息域は事前にアリスから聞いておいた。
どうも、魔霧の大森林と呼ばれている場所の比較的浅い所らしい。
とりあえず弁当用にベンの店で肉を買っていこうと考えた真琴は早速店に向かう。
その道のりで改めてこれからすることについて考えた。
(今日、魔物を倒すのも、銃を撃つのも、今までやったことがないのに急にできるのか?)
しかし、ここを乗り越えなければ先に進むことは出来ない。
覚悟を決め、門を出る。魔霧の大森林は街から東に向かって5〜6kmほど先にあり、方向感覚を鈍らせる霧が常時発生している地域だ。
奥に進めば進むほど強力な魔物がいると言われているが実際には分かっていない。
(今回は浅い場所にしか入るつもりは無いが気をつけないとな……)
もしも迷い込んだりしたら生きて戻ってくることはほぼ不可能だろう。
なんせまだLv1なのだ。今回のクエストもレベリングを兼ねている。
強力な魔物と単身でぶつかったりしたら、ひとたまりもない。
(ある程度まではレベリングをしてから依頼を進めた方が効率はいいのか……兎にも角にも大森林を目で見てから判断するか……)
この日、ようやくこの世界にきて初めて仕事に取り掛かる。
簡単に終わり、日帰りで終わると思われていた仕事だったが、この日真琴は町に帰宅することはできなかった。