お友達宣言
マインの腕に絡みつきながらシュテルンを睨み吠えるコニィアとは真逆に、先程の意図せぬ発言のせいで赤い顔となり恥じらうマインはシュテルンを横目で窺う。
「瑠璃部隊長殿、少しお時間を頂きたく。中身の濃い話し合いを行いたく存じます」
「あそこまで愛されて何が不満だぁぁ! 責任を取れ!」
そのいじらしいハニカミに義兄二人はシュテルンに対して静かな怒りと憤怒を起こし、シュテルンを左右から羽交い締めにして拉致する。
「俺に何の責任がある?! アービー気配を消してねぇで助けろ!」
狼狽えるシュテルンの救いを求める声を無視して、アマビスカは白状にも剣を捧げる騎士団流の見送りをする。
「さてーー陛下への上奏は父からして頂くか?」
「父上には私から話すよ。でも先に叔父様と相談したいかな。色々と苦労かけちゃってるし」
「待て待て勝手に話を進めるな」
マインが親指を立ててシュテルンを連行していく義兄達を止めるべきか悩んでいる隙に話がまとまりかけたため急いで遮る。
「まどろっこしい話はイヤ。私と居たくないの? 私が嫌いなの?」
「ニアは大切な人で嫌いなわけない。だけどそこに恋愛感情はーー」
「なら良いじゃん。私はマインが好き。マインも私が好き。どこに不都合があるの?」
「だーかーら」
「あーもうめんどくせぇ! お互いに好意がある。つまり相思相愛。もういっそ二人とも結婚しちゃえ。そしてニアはテリーとも結婚しちゃえ。配偶者の配偶者は配偶者だ。マインもテリーと結婚したことになる。万事解決。おめでとう。ぱちぱちぱち」
アマビスカは投げやりな態度で拍手を送る。
コニィアはウンウンと頷いている。
「テリーの気持ちは無視ですか」
「無視です。アイツに拒否権はありません」
「ヒドッ。とにかく。 私はテリーが好きなので、ニアとは結婚どころかお付き合いも出来ません。ごめんなさい。お友達でいましょ」
マインはキッパリとお断りをしお友達宣言をした。そんなやりとりを、後ろ手に組んで身体を揺らしながら眺めるアルテミスとティターニア。
「人間って相変わらず面白いの」
「んー自分にはよく分からないっす。でも楽しそうで何よりっす」
「あの子、太陽になれるの?」
「モンモンは期待してたっすよ。自分も期待したいっす。今度こそこの籠から飛び出して、みんなの所に帰りたいっす」
「その為にはアルちゃんも成長しないとなの。頑張ってなの」
「ニア姉と一緒に頑張るっすよ! なので一緒に練習に付き合ってくれると嬉しいっす」
「もちのろんなの。精霊女王の力をとくと見ろなの〜」




