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式典

 式典は進行役の国王挨拶で始まった。

 一国の王が率先して進行をかってでるのもレイオンならでは。短命種の血が濃いうえ、五国の潤滑油と称することに躊躇いのない姿勢ゆえだ。

 しかし決して立場や腰が低い訳ではなく、きちんと五国に認められた上での対応なのも付け加えておく。


 式典の主な内容はコニィアリンクの概要を説明し各国分六個の存在を確認させること。そして各国の代表が同行の元、各国大使館へ移送。その場で接続し効果を実証。

 ここの『移送から接続までの時間を稼ぐこと』がコニィアら紅蓮華騎士団の主な任務だった。

 魔術、魔法の類は安全を考慮して禁止されていたので、主な時間はレイニープロデュースの目新しい日常雑貨お披露目会となった。


 騎士団創設時、レイニーは前世の暮らしでの家電や家具も含めた日用品を魔術で再現出来ないかを試みた。発明王と呼ばれるようになった彼だが、実際は『電灯を作ろう』と言い放ち、鉱族職人が伝統とは何かを問い、魔晶石を用いた照明器具を形作る流れだ。


 システムキッチンが魔晶石を用いた竈門になり、空調設備が冷温どちらも可能な扇風機となった。

 冷蔵庫や冷凍庫の普及で傷みやすい食品も流通するようになった。水道設備や大衆浴場、建築方式や外観素材も爆発的に増えた。

 露出の高い服は全く広まらなかったが、ニーハイや萌え袖なんかは意外と高評価だったりする。モデルのコニィアやマインが着たがらなかったと言うのもあるが。


 それらは五年の間に改良を重ね、性能向上は勿論、大型化も小型化も進み、痒いとこにも手が届く、あったらいいながそこにある、そんな日常グッズが溢れるようになった。

 同様に魔術武具も魔法武具も量産化されるなど、大きな変化が見られた。だがそれは時に問題を起こす。


 一例として紋章術が簡素化され指輪レベルでの魔術武具が出来上がる。発動もよりスピーディになり触れただけで相手を昏睡させたり痺れさせる事が可能になった。護身用として開発したものだが悪用され、白昼堂々と昏睡強盗が多発。よって武具製作に規制と制約が取り決められ、入手場所も限られるようになり完全受注制となる。

 魔導武具は量より質へ、生活一般の魔導具は使い捨ての大量生産へと進んでいく。大量生産が進むにつれどんどんと簡素化、簡易化なされていく。そしていつしかそれらは魔を扱うことない道具と成り果てていった。


 鉱族の中には目まぐるしい変化の中、今までとは違う生き方を選ぶ者もいた。そういった者たちは主に道具を作り、売買をし、経済を回して人々の暮らしをより良いものへと変える推進力となった。もちろんレイニーは積極的に絡んでいき、甘い蜜を吸いにいくことになる。


 そんなレイニーにとってこの式典はさながら前世のテレビCMもどきであり絶好のチャンスとなり、コニィアとマインはアイドルさながらの広告塔となった。

 規制の緩い魔術防具ではファッション性を取り入れ始めた。一つのデザインに豊富なカラーリング、帽子や袖などパーツごとに着脱可能な外套、それこそアイデア次第で無限大のオシャレが実現する。その傾向は女子だけだが。男子には男子の楽しみ方(遠くで愛でる)というものがあるのだ。


 男であり父親であり、愛する娘が可愛い服を着て人前に出る事に葛藤するも、存分に嫌な顔をされず遠くから愛でられるという幸せに大興奮の国王(司会)は使い物にならなくなり、途中から王弟クレイブが進行を務めることになった。

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