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それぞれの道

 紅蓮華騎士団創設から五年。魔導の集大成という意識の下、コニィアは全ての連合機関に顔を出すようになり、要請があれば各国独自機関にも足を運ぶこととした。


 コニィアは実験や調査の対象とされることが以前よりも多くなった。時には他国の研究機関においてお飾り扱いされたりモノ扱いされることもあり、その度にコニィアの心は深く傷つき自分の境遇(血筋)に対して憎悪を抱く。そんな心境の変化に気づいたマインは過去の自分をコニィアに重ね、コニィアに寄り添いながらも自己満足に浸る自分に対して嫌気がさしてくる。


 そんな連合機関でトップレベルのデエンキ連合研究所では今までの常識を覆す機器、五行連合間通信機器が誕生しようとしていた。この機器は五行世界で一つしか確認されていない魔晶壁から採れた類まれのない高品質の魔晶石を利用している。


 魔晶石とは文字通り自然界の魔力が結晶化した物質で魔力密度と大きさによってランク付けされる。ランクが高い魔晶石は武具や道具に加工され、ランクの低い魔晶石は使い捨ての消耗品に加工される。自然界にしか存在しない魔晶石だが、この魔晶壁から採り出された魔晶石は魔晶壁を()()()()()人物の名を用いてコニィア石と呼ばれている。そのためコニィア石を利用している五行連合間通信機器はコニィアリンクと呼ばれるようになる。


 デエンキ連合研究所の機密格納庫には何層にも及ぶセキュリティーに守られて各国に納めるコニィアリンクが鎮座している。フードを被った男が六個の大きなコニィアリンクを眺めながら感慨にふけっている。


「これで闇の深淵が垣間見れる。六国を収める者はこの俺だ」


 男は呟きながら己の描いた都合の良い未来に浸っていた。


 ※     ※


 柘榴メンバーと遊ぶ傍でキチンと調査と研究を繰り返す日々の中、コニィアは次第に魔導の知識に関しては他者の追随を許さない程になった。しかし魔法も魔術も扱えるかというとそれはまた別の話なのだが。回復魔法もモーナとの考察もあり幅広く扱えるようになった。


 シュテルンはというと、コニィア程ではないが魔法に関して一線を画す存在となった。五行連合各国の得意とする魔法を一通り扱え、自分で術式を組み込み独自の魔術を数多く創り出した。魔導に関わる者の大抵は魔術士が基本で魔法士は少数であり、その中で複数の属性を扱える者となると数えられるぐらい少ない。五行の全属性を扱えるシュテルンはその希少性から建国の祖の再来と称えられ闇魔法士と呼称される。


 一方アマビスカは常人では考えられないほどのオドを保有しており、複数の魔道具を同時に扱える戦闘狂と化していた。愛用している魔道具は悪ガキ三人衆が最初の冒険で服にしまった(くすねた)オリジナルのコニィア石を用いた三種類。魔耐性を組み込んだ鎧で魔導を無効化し、オドを五行属性に変化し切れ味を増す魔剣を用い、オドを砲弾に変えて遠くの敵を狙い撃ちする銃を同時に使っても数時間は戦える。模擬戦で一大隊およそ五百人と乱戦しても最後まで立っていられるほどに。戦闘に関しては非常に頼りになるが、剣と鎧を外すと覇気も強気も感じられない()()()好青年へと姿を変える。


 余談だが、レイオンを支える重要な人物へと成長した幼馴染三人が連れ立って城下をお忍び散策したとしてもアマビスカだけは気づかれないこともシバシバ。他の幼馴染二人が美男美女過ぎるということもあるのだが。


 王位継承権第一位の王女かつ魔導研究の第一人者にして回復魔法の使い手であるコニィア。


 次世代の宰相候補であり五行世界でトップクラスの魔法士であるシュテルン。


 戦闘能力だけで考慮すると軍部の最高司令官を狙えるであろうアマビスカ。



 二十歳になったこの三人を中心にして数奇な運命は複雑に絡み合う。

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