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ぬえむベあーる 12  一人称:一年前の思い出

 『こんにちは、こちらは【フィクションとノンフィクションの狭間で】です。』


 ふぅ、もう8月で暑い、真夏やな〜。クーラーも点けず、扇風機もなく、窓も開けず……、はぁ、汗が出てばっかりや。

 『』の文章を打つ私は夏の暑さに少々参っている。とはいえ、どこか建物の中に入る度に寒い思いをしてたからそこまで暑いのが嫌な訳じゃないけど。

 キーボードを打つ度に聞こえるカチャカチャという音がいいなぁ、この音が続くとさらに良い。だって、続けば続くほどにタイピングが巧くなってるってことやし、それに書くことがあるということやからな。

 という訳で、私はキーボードを叩く音を楽しみながら、しかも文章を書くことを楽しみながら書いている。もちろん、だからといって巧い文章が書けるわけじゃない。悲しいことに、下手の横好きでしかない。とはいえ人生は長いんやから、楽しんで書き続けてたらそのうち巧くなるやろう。と軽く考えてたりするねんけどな。


 おっとっと、一人称エッセイとはいえ、書いてるときの事だけでは動きといえばせいぜいキーボードを打つ手か、マウスを動かす手か、それとも痺れてくる足を崩すくらいしかないな。


 ……よし。では未だに忘れられない、調度去年の夏の出来事を書こう。



 その日は日差しの強い、とても暑い日やった。

高校に入って約5ヶ月、夏休みということもあって久しぶりに中学のときからの友達と遊ぶことになった。内容は『冒険』


 いやいや、フィクションの話ではなく、ただ自転車で「あ、この道行ってみた〜い」とか「この道いつも見るねんけど通ったことないねんな……、い、行ってみたい!」とか「この真っ直ぐな道をどこまでも行きたい!」とか「この先には何があんねんやろ〜? ワクワクするわ」などなど、高揚感を感じるようなところを自由気ままに行こうやないかっていう冒険やねん! 思い出すだけでも楽しかった♪

 思い出してる私の顔は、誰かに見られたときにニヤけてたら変やと思われるからあんまり動いてへんけど、内心めっちゃニヤけてますねん。


 とまぁ、楽しかった思い出なんやけど、その日は色々大変やった。否、申し訳なかった。

朝に弱い私は、1時にある自動販売機に集合という約束やったから、まぁ起きれるやろう、と安心して眠っていた。昨夜のうちに携帯の目覚ましを12:00にセットし、音のレベルは勿論最高の5、音の長さはおそらく1分、5分毎に5,6回? は鳴るように仕掛けておいた。

 だから私はめっちゃ安心して寝てたんや……。


 ***


 ……あぁ、何かめっちゃ気持ち良い……なんでやろ? 全部の疲れが取れてくようや〜。……なんやろ、この手触りの良いヤツは? ……ん、布団? って夢!?

 なんや〜夢か、今日は……中学のときからの友達のルイちゃん(偽名)と遊ぶねんな〜!

1時からの約束やし、まぁおそらく今は10時くらいかな? もう一回くらい寝れるやろう……。

 何となく今は10時くらいかな、と予測を立てた私は、一応と思いテレビの上に置いてある電子時計を見てみようと首を右へ向けた。時計の輪郭――楕円形は見えるけど、寝起きの目では数字が見えへん。う〜ん、目を擦ってもう一回見てみる。

 ……ん? あれ、まだ寝ぼけてんのかな? なんか時計の数字が12:58に見えるわ。ハッハッハ、そんな訳ないのにな〜。でも不安や、よし近づくか。

 というわけで、布団から出んのはすごく名残惜しかったけど、まぁすぐ入れるからいいや、と時計に近づいた。時計を見てみると……


 ――12:58 


 ん? あれ、目が悪くなったんかな?

 と何度も何度も目を擦っては時計を見てみる。何度見ても12:58。

現実を受け入れがたかった私の頭は、なんとかして10:00に見えへんかどうかを考えるだけやった。

 でも、そんな現実逃避もすぐに幕を閉じた。だって、時計がとうとう12:59分になってしまってんもん。1分進んでしまったことによって、私の頭は現実逃避から戻ってきて、その上ショートした。のも束の間、私は取り合えず思考を巡らせた。


 どうしよう、もう2分前!? 用意するのに頑張っても……15分、自転車に乗って集合場所に着くのが頑張っても3分くらい……、アカン、どうやっても間に合わへん……。

 いや、落ち着け! 冷静になるんや! 何かすることがあるやろう、メールや!

 急いで携帯でメールを打つ。その時には勿論、鳴らなかった? 否、起こしてくれなかった携帯に恨みを覚えざるにはいられへんかった。もうホンマに何のために大音量でしかも5分毎にセットしたと思ってんねん。私の恨みは長いと思うで? というような感じで。


 とはいえ、今となっては携帯を通して色んな面白い話が読めるから、汚名返上されてるけどな。


 メールでは、ホンマにゴメン、ということと、今起きたばっかりやねん、めっちゃホンマにごめんやで、ということを伝え、取り合えず布団をしまった。

 すぐにメールは返ってきて読んでみると、じゃぁ、出れる時にメールして、という内容やった。わかったと返して歯を磨いたり服を着替えたり色々して約8分、思ったよりは早くてよかった、と思って行こうとしたけど、あ、しまった昼ごはん忘れてた!

 あぁ、もう抜いてしまいたいけど、でもそれで倒れるのはすごくアカンし迷惑や!

焦りながらも冷蔵庫を開けるとカップに入った水羊羹があった。

とりあえず、何か食べたらいいか、と思い、急いで水羊羹を食べ、家を出発、何分くらい遅れたかは忘れたけど、ホンマに申し訳ない。この場でもう一度言いたい。ホンマにあの時はごめんやで! 


 自転車に乗り急いでこいでいる間に、私の偽名を考えよう。う〜ん……適当に、よし、この遊びの内容を提案をしたんは私。つまり色んな道がすき、という訳で偽名はミチでいこう!


 と、決まったところで到着。暑い日差しの中でルイちゃんは自転車に乗って待ってた。多分外で待ち続けてたんやろうな……、ホンマに、マジでごめん!

 心の中で謝りつつ、叫ぶ。


「ホンマにごめんやで、もうごめん……、あぁ、もうごめんとしか言いようないわ!」


 それに対し、おはよう、と言い、しかも笑い飛ばしながら自転車をこぎ始めた。つくづく思う、心広いなぁ、と。マジで尊敬するわ。

 そして一瞬現在に戻り、思う。こんなに小っ恥ずかしいこと書いてたら、絶対本人には読ませれへんやろうな、と。それに「ルイちゃんって誰やねん」と笑いながら言う確立は80%をも超えてしまうんやろうな〜。絶対に見せれへん!


 過去に戻り、自転車に乗り、目的地もなく進む私とルイちゃん。真っ直ぐ進んでいく中で、どこに行こうかを迷う。だからジャンケンをすることにする。とはいえ勝ったほうが決めるとしても、決められないからジャンケンしてんねんから意味ないやん、という訳で私が勝ったらこっちの道、ルイちゃんが勝ったらそっちの道と決めてからジャンケンする。


 そんな感じで探検――冒険は始まった。果たしてどんなとこに行けるのか、知らないところに行けるのかを思いワクワクしていた。


 行った事がない道はあり、進んで行っても出る所は見知った場。それでも、いつもは比較的楽に行ける道を通るのに、その時はある時は延々と続く坂道を上り、その後の下り坂を爽快感を味わいながら滑り降りたりと、やっぱり楽しかった。


 それからも、行ったことのないところまで行ったり、いつもは車でしか行ったことのないところへ行ったりと、身の回りに探検や冒険を出来るような森などがあまりない平成っ子やけど、それなりにワクワクできるように考えて考えた結果、結構楽しい冒険が出来た。


 そして時は一気に夕方に飛び、この1年どうしても忘れられへんある事件が起こる。

いや、皆さんからしたら普通なことかもしれへん、そんなに事件っていうものでもないかもしれへん。でも、私からしたら一年間も悩まされた大事件やったんや。


 帰り道、今日行った中で一番遠く、それに達成感のあるところまで行った時に買った500mlのジュース、透明やった。これは、暑い日差しの中で頑張って自転車をこぎ続け、それでついたある百貨店で買ったもので、頑張った自分達へのご褒美みたいな感じで美味しかった。

 帰りも勿論自転車、途中ある店の駐車場の前で、車が入る時やったから少し自転車を待って停まった。その時に喉が渇いてたから、よし、ジュースを飲もうと思い、鞄から500mlのペットボトルを取り出し、キャップを開けて思いっきり飲んだ。


 その時悲劇は起こった。


 ペンネームからしてわかるやろうけど、私の笑い声はアッハッハ。しかもペンネームにするほど頻繁に笑う、つまり笑い上戸。俗に言うとゲラやねん。

 もうわかったかもしれんけど、思いっきり炭酸の清涼水を口に含んでよし、飲み込もうという時、ルイちゃんから今は笑うところや、というような雰囲気が漂ってきた。

 ホンマやで? 私は笑うことがあまりにも好きやから、漫才、コント、新喜劇にバラエティを見て、さらにコメディの漫画やアニメや小説、あとドラマを見ているうちに、笑う雰囲気、または、今ここでボケるやろうな、という勘が養われてしまってん。


 どうなったかはわかってるかもしれへん、でももう一回確認しよう。

私は透明の炭酸ジュースを思いっきり口に含んでた、しかも飲み込む瞬間やった。

その時、ルイちゃんから笑う雰囲気が漂ってきた。私は笑い上戸――


 次の瞬間、私の目の前には霧があった。勿論、比喩表現ではない。ホンマにビックリするくらい力強い霧やった。その霧――透明の炭酸ジュースは、ブーッという私の口が作り出した音と共に前へ真っ直ぐ飛んでいった。不幸中の幸いか、前には何も無いし誰もいない。文字通り噴き出した私の炭酸ジュースの餌食になる人はいなかった。それはホンマに救いやった。

 ただ、噴いた後に不安になって周りを見回したとき、偶然通りすがってたママチャリに乗った50代ぐらいのおじさんに、じーっと見られたり、車の中から偶然見てた人たちに注目されてたのは、人見知りの私にとって精神的に辛かった。


 とはいえ、ルイちゃんは見てへんかったやろうと思い、何もなかったふりしてまぎらわそうと、ルイちゃんの方を見てみると、驚いたルイちゃんの顔がこっちを見てた。ビックリしたはった。私の予想は見事に外れて、ルイちゃんにはしっかりと目撃されてたわ。

 だから開き直って、取り合えず自分の服を見てみると、噴いたジュースが着てたジーパンやTシャツにかかってた。それを見つけた瞬間、ついさっきの噴いたジュースを思い出して爆笑してしまった。

 いやだって、漫画やアニメや小説ではよくある光景やけど、ドラマや映画や、現実のお笑い番組ではそんなに見いひん光景やん? 噴き出す事によって私の喉の渇きは全然潤わされへんかったけど、絵とか文字でしか見たことのない、飲み物を噴き出すという行為をできて、内心実はめっちゃ嬉かってん!


 喜び+笑い+恥ずかしさ×笑い上戸で私は大爆笑してしまったわ。

笑いながらこぐ自転車は不安定に右へ左へとフラフラしながら進んでいく。ホンマにボロボロになった気分やで。

 落ち着いた頃に改めて聞いた話では、ルイちゃんが笑ってたのは、駐車場の前で車を誘導してた警備員さんが、足を引っ掛けてこけそうになってたのを見たから、らしい。

 ジュースを飲んでいなかったら、ルイちゃんと一緒に笑ってたかもしれない。でも、私はジュースを飲んでいた。しかも噴き出した。おかげで貴重な経験をしたけど、その代わりすごく恥ずかしかった。


 何はともあれ、楽しかったことには変わりない。本当に貴重やった。何よりも、現実でもあんなに勢いよく飲み物を噴く事ができるんやなぁ、というのが一番の驚きやった。


 でも、それからというもの、ペットボトルの飲み物を飲むたびに思い出し笑いをしそうになって、私は思いっきり飲めなくなってしまった。これは中々きつい。私の1年分の悩みになってしまったとさ。おしまい! 


 

つい、2週間ほど前、その悩みは克服しました!

一年間、つらかった……。

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