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第11話

ルナと友達になった俺は彼女の悩みを解決すべく滞在期間である三か月を使って臨時教師である彼女を鍛えることにした。


目指せ学年一位!目標は高くなきゃね!


それにルナの水魔法縛りというのはなんだか燃えてくるものがある。ルナも俺の話を聞いたらやる気を出してくれたみたいだしお互い頑張ろうと熱い友情の握手を交わした。


意外とごつごつしていてまるで苦労人のような手だったけれどこの世界ではこれが普通なのかも。と失礼なことを考えたが男としてそこは気になったのだ。やわらかいぷにぷにの手という幻想を打ち砕かれながらも早速特訓に取り掛かる。


かといってやみくもに思いついたことを試していては効率が悪い。いくつか目標を立ててそれに沿って特訓することにした。


まずは、今何ができるか確認するためにいろいろ測定させてもらった。この世界では魔力量とは数値化されておらず漠然と多いとか少ないとか普通とか決めている。例えば普通の人は初級魔法5回分の魔力とかそんな感じで初級魔法でもいろいろと違ってくるのだがいろいろとアバウトなのだ。


そのため一応スペックについて調べておくことにした。一応鑑定で知ることも出来たのだがとても多いといった感じで基準がないのでよくわからんとまだ使いこなせてないなと感じた。


結果魔力量は詠唱込みのアクアボールで100発ほど、詠唱を破棄すれば70発ほど放てることが分かった。


え、多くない?本には優秀な人で10発ほどと書いてあったし簡易化して必要魔力を減らしたわけでもない。大きさも込めた魔力も均一だ。自分を除けばこの場で一番魔力量が多いと思う。魔力のコントロールも100発もの魔法を全て均一にこなしたことから相当高いと思えるし初級で基本的なアクアボールといえど詠唱破棄で使えるなら集中力も高い。スペックだけで言えばめちゃくちゃ優秀だということが分かる。


なのにどうして学年で最下位などになってしまうのかそれは単純に彼女の水魔法の可能性を彼女が呪いという言葉で縛り付けているからだろう。魔法とはイメージが強く反映されるのに自分自身を弱いと思い続けては強くなれるものもなれないだろう。


とりあえず最初の目標が定まった。基礎は十分にあるし強いので必要なのは自信をつけることと固定観念をぶち壊すことだ。


そのためにすべきことは新魔法の会得だと考えた。


「よし、新しい魔法を会得しよう。」


「えっと、新しい水魔法ってこと?でも水魔法なら難しい中級と上級以外ほとんど使えるんだけれど?」


「ふふん、会得するのはルナにしか使えないオリジナルだよ!」


ドヤァっと胸を張って答えるとルナは困ったように首を傾げ


「オリジナル…?えっとなんで私のオリジナル魔法をシローが教えられるとか他にもいろいろと疑問があるのだけれど…大丈夫なの?というか私にできるのかな。」


ここで多分とか自信なさげなことは言ってはいけない。勢いで押し込もう。


「大丈夫!ルナが信じる僕を信じて!僕が信じるルナを信じろ!」




「・・・そう、だね。最初からあきらめたら駄目だよね。うん、わかった!私やってみるよ!」


ルナはさっきとは打って変わって瞳に炎を燃やしやる気になってくれたようだ。


  計  画  通  り  !


ルナがこの魔法を使えたなら魔法への理解がまた一歩深まるもしかしたら僕にもこの魔法を扱えるようになるかもしれない。彼女を実験体にするのは友達として申し訳ないがこの魔法の理論が興味深いのもまた事実なのだ。それに危険はほとんど無いしね。


というわけで次の日から早速特訓をしてもらう。まずは水の温度をとにかく下げること。


前回の実験では彼女の冷やした水魔法で普通の水に触れると3分ほどで普通の水が凍っていった。このことから彼女の水魔法はすでにマイナスの温度を持ってると思う。彼女の話ではこの世界の温度については熱い冷たい程度で何度とか言っても伝わらない医者や学者の中には温度計を持ってるものも居るかもしれないが一般常識としてはその程度ということだ。


なのでマイナス何度を目指すとかではなくこの水が数秒で凍るようにしたいと伝えた。


彼女はそれならイメージがしやすいとなぜ冷やす必要があるとか何も聞かずにひたすら水の入った桶を凍らせていった。彼女も少しは俺のことを信用してくれているのだろうか、ちょっと嬉しくてにやけた。



元から三分ほどで凍らせていたのもあり3週間ほどで水の入った桶はルナの水魔法が触れたとこからパキパキと凍りつくようになり試しに僕が放った土魔法を受け止めさせてみたら当たった瞬間に凍りそのまま土魔法は地面に落下するとパリンと砕けて霧散してしまった。


実験は成功だ。


俺はルナに新魔法を会得したことを伝える。だけどルナはあまり理解が追い付いて無いようでこの魔法が何なのか分かってないようだ。なので俺はこの魔法の種を明かすことにした。


今回の魔法はルナの水魔法で絶対零度を再現出来るかという実験だった。俺の怪しい知識では絶対零度というのは全ての物質が運動を停止する冷たさである。もちろん理論なんて知らないし勉強したわけではないがこの世界ではイメージが大切だ。そしてルナの水魔法は絶対零度という特性を持ちながら水であり続けた。ここからは推測でしかなかったが通常の魔法ではちゃんと物理の法則に従っていたのにルナの水魔法はそれを無視していた、俺はそこでルナが特別なのではなくて魔法という力が特別なんだと定義してこの魔法で作り上げた土や水は普通と違い魔力という不思議物質で構成された水や魔法でしかないと仮定した。


そしてルナは俺の土魔法を凍らせ受け止めた。土魔法という物質のエネルギーをゼロにし凍らせ停止させたということだ。


まだあまりよくわかってなさそうなルナに簡単に言ってあげた。


「つまりはルナの新魔法、絶対零度『アブソリュートゼロ』は恐らくすべての魔法を停止させ凍らし無効化することが出来るってことさ!」


「すべての魔法を、無効化・・・」


驚きに目を開きごくりと息をのむ音がした。先ほどの土魔法を見る限り彼女もそれが実現したであろうことを理解したのだろう。そしてぷるぷると震えだしたかと思えばがばっと僕を抱きしめてうれし泣きし始めた。


「やった!やりましたよ、私!シローすごいです!理論の半分も理解できなかったけどとても凄い魔法を教えてくれたことは分かりました!シロー本当にありがとう!」


彼女はしばらく僕を離してくれず僕は彼女のささやかな胸の柔らかさを感じながらなすが儘にされるのだった。


この後にもう一つ新魔法を考えてあるなんて言ったらどういう反応するのかなと思いながら今はこの喜びを二人で分かち合うのだった。



そして、この後にもう一度熱い抱擁をくらった僕たちはしばらく他の生徒たちにからかわれてしまうのだった。




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