第三話 閻魔城での争い
あれから何時間が経っただろうか。
未だ閻魔城とやらの先っぽすら見えていない。
「あ〜、ダリィ…。ミーナ、ここで休憩しよーぜ」
「また休憩ですか?も〜…」
座り込む邪道。ミーナも疲れを取ろうと座る。
辺りを見ると、今まで邪道とミーナ意外誰も居なかった、
この、“あの世”の大地にたくさんの人がいた。
「皆、死んだってことか」
「そうね。死んだ理由は色々あるけど」
二人一組になって歩く者がたくさん居る。
当然だが、案内人と死人のペアである。
「さぁ、行くか!」
「そうね。」
それから、歩くこと4時間。
「到着だああああああああああ!!!!!」
「大げさね…」
大声を出して喜ぶ邪道と、飽きれるミーナ。
「ささ、早く閻魔様に会いに行きましょう」
城の中に入る二人。
城に入ってすぐ右に階段があり、そこから閻魔に会えるのだが、
階段が無くなっていた。壊されたような傷跡も残っていた。
「あれま、どういうコト?」
「ちょ…これじゃあ閻魔とやらに会えねーじゃねぇか!!」
怒る邪道と、慌てるミーナ。
「くっくっくっく…」
「だ…誰!?」
妙な笑い声のする方に振り返ると、そこには悪魔のような男がいた。
いや、悪魔の“ような”…ではない。
悪魔そのものなのだ。
「俺は悪魔界A小隊のジエー!キキッ!」
ジエーという悪魔は悪魔の巣窟、『悪魔界』から来たのだが、
その悪魔界というものは、4000年前に滅びたはずだったのだ。
「なんで悪魔界の者が、この世界にいるのさ!?」
「キッキッキ…。知らないのか?悪魔王が復活したんだスよ」
「あ…悪魔王!?」
ミーナが驚きのけぞった。
「何ソレ?」
邪道が聞くと、ミーナは答えた。
「悪魔王ってのは、悪魔界で一番の権力者なのよ。4000年前に封印されたハズなんだけど…」
「封印しないで、殺せばよかったんじゃね?」
「悪魔界も、あの世も、死人の集まりなのよ。殺せるわけないじゃない…」
「あ、そっか」
邪道の発想は却下される。
「アンタは何しに来たの!?」
ミーナが叫ぶ。ジエーは「キッキッキ」と笑いながら答えた。
「俺等は悪魔王様の命令で“あの世”をグチャグチャにして来いって言われたんだ
悪魔王様は閻魔の野郎に封印されたんだ!4000年間も!そりゃ同情しちゃうよね。」
「と…いうことは!マズい!!」
ミーナは階段があった跡の上を見上げる。
閻魔が居るところを心配しているのだ。
「残念でスた!今頃、閻魔は悪魔王様にボコボコにされてるよ〜」
「な……」
もう閻魔大王は助からないのか?