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1st day MONDAY
とある
月曜日の終わりと現実の間に見た夢のような出来事
または 黒い貴婦人
◆ ◆ ◆
土砂降りの雨が降り注ぐ月曜日
雷鳴が轟く真夜中のアトリエにて
私のアトリエに一人の女性が訪れた
漆黒のドレスを身にまとう白い肌
興奮の赤が関節の節々を染めている
濡れた真紅の唇がクスリと笑い
「私の絵を描いていただけませんか?」
と囁いた
私は夢中で彼女を描いた
「今日は特別な日なの」と彼女は言う
私も今までにないほどに筆が乗り
描いている途中でありながらも
最高傑作ができると自負した
気付くと私は眠っていた
外はすっかり明るくなっており
青い空が晴れ晴れと澄み渡っている
彼女は音もなく部屋から居なくなっていた
私は描きかけの
名も知らない無邪気に笑う彼女の肖像画を
一人うっとりと頬に熱を感じながら見とれていた
その日の朝
街では殺人事件の話題で持ちきりになっていた
被害者は飲み屋の娘
加害者は漆黒のドレスを身にまとった女
私は
殺人鬼の彼女に恋をした