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愛像偏愛―bloody lovers―  作者: 赤井家鴨
第一幕 一週間
1/11

1st day MONDAY

挿絵(By みてみん)

イラスト元:オブリ―・ビアズリー「孔雀の裳裾」


とある

月曜日の終わりと現実の間に見た夢のような出来事

または 黒い貴婦人




◆ ◆ ◆




土砂降りの雨が降り注ぐ月曜日

雷鳴が(とどろ)く真夜中のアトリエにて


私のアトリエに一人の女性が訪れた

漆黒のドレスを身にまとう白い肌

興奮の赤が関節の節々を染めている

濡れた真紅の唇がクスリと笑い

「私の絵を描いていただけませんか?」

と囁いた


私は夢中で彼女を描いた

「今日は特別な日なの」と彼女は言う

私も今までにないほどに筆が乗り

描いている途中でありながらも

最高傑作ができると自負した



気付くと私は眠っていた

外はすっかり明るくなっており

青い空が晴れ晴れと澄み渡っている

彼女は音もなく部屋から居なくなっていた

私は描きかけの

名も知らない無邪気に笑う彼女の肖像画を

一人うっとりと頬に熱を感じながら見とれていた


その日の朝

街では殺人事件の話題で持ちきりになっていた

被害者は飲み屋の娘

加害者は漆黒のドレスを身にまとった女


私は

殺人鬼の彼女に恋をした

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