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Prologue:犯行声明
書きたいものを書くのが信条。
したいことをするのが信条。
どちらも同じ、キチガイです
「この社会には、どれだけの人間がいると思う」
ティム・バートンの描くような髑髏のマスクを被ったトップハットの男はそう問い掛ける。椅子に座り、手を合わせている髑髏の表情は見えないものの、真っ直ぐにこちらを見据えていることは何故か分かる。
髑髏は黒いスーツを着ているのだが、奇妙な格好をしているにも関わらず、スーツは似合っていた。椅子に腰かける髑髏の背後には本棚が並んでいる。書斎のようだ。
「答えは、ゼロだ」
髑髏は続ける。
「この社会では人間と呼べる人間は一人もいない。人間は全て、半世紀も前に途絶えた」
そういうと髑髏はおもむろに立ち上がり、後ろの本棚にある本を手に取った。本は黒一色で、文字すら書いていない。
「一つ。君等、忙しくなるぞ」
髑髏はこちらに本を突きつけ、嘲笑うかのように言った。