屋上
嫌なことがあった。
鬱々とする。
イライラする。
ほんと、憎しみの塊って感じ。
辛い辛い。
そんな心を抑え込んで、飛び起きる。
勢い余ってベッドから落ちた。
「いったーい!」
自分の声が朝のせいでしゃがれていて、思わず笑ってしまった。
最近ついていないけれど、今日は無理やりつかせてやる!
私は朝の支度を終えると、景気づけに駅までダッシュした。
でも、電車に乗り遅れた。
他にも教科書忘れたり、お弁当の中身が腐っていたり、クラスメイトに睨まれたり、最悪。
今日こそはって頑張ったのに……。
死にたい……。
でも、死ぬのって痛いのかな?
醤油一升一気飲みしたら死ねるらしい。それなら痛みもなく死ねるよな……。
いやー、無理だろ。
そんなもん一気飲みできるガッツがあれば、百歳まで生きていけるわ!
生きることも死ぬことも結局は簡単じゃないんだ。
だから、真っ直ぐ生きるだけなんだ。
あなたを信じるだけなんだ。
ああ、そうだ。
ストーカーとかそういう意味じゃなくて、本当に純粋に私はあなたに笑って欲しかっただけなんだ。
幸せを遠くから願うから。
私、あなたに期待しすぎちゃったのかな?
目に見えないけど確かなものが欲しかったんだと思う。
私があなたにあげたかったものも見えてないよね。
バカみたいだね、今もちゃんと持っているんだ。
家であるマンションに着いた。私は八階に住んでいる。
でも今日は最上階の十階に行った。
更に脇の階段を通って、屋上に行く。
屋上の鍵は開いていないので、階段のところで後ろを振り返る。
自分の住んでいる町だけど、綺麗だった。
自分がまるで、空を飛んでいるような錯覚に陥る。
自由だ……。
「たはは……」
私のもうしゃがれていない声は、空にかき消されていった。