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短編集<そこから物語は生まれる>

愚者はかく語りき

作者: papiko

 急に飲みに誘ってきた友人は、酒がすすむにつれ、自分が不倫していることを告白してきた。あたしは、あっそうとそっけなく返す。

「怒らないの?」

「なんで?不倫だろうがなんだろうが、好きになったんならしかたないじゃない?人の恋路に口出すほど野暮じゃないわよ。それとも、あんた寂しいからそいつと付き合ってんの?」

彼女は少し考えこんでから、そうかもしれないとつぶやいた。

「だったら、適当なところで手を引きなさい。リターンよりリスクが大きいのは女のほうよ」

彼女はうんとうなずいた。


 それから三日後、職場の同僚が相談したいと喫煙室に誘ってきた。

「友達が不倫してるのよ。どうしたらいいと思う?」

 あたしは、またかと思う。

「そんなものほっとけばいいんですよ。へたにやめなさい!なんて言ったら、火に油を注ぐようなものです」

「止めなくていいの?」

「止める必要はないでしょ。人の恋路ですよ。ただ、リスクが大きいことだけはしっかり自覚させておくことですね」

 彼女はたとえばと聞いてくる。そんなこと、わかるだろうにと思いつつあたしは答えた。

「相手の家族にばれれば、慰謝料をとられるか訴えられるでしょうね。不倫相手に年頃の子供がいれば、逆恨みされて刺されるかもしれません。相手がすべてを捨ててその人のところへやってきたとして、生活していければいいでしょうが、いいところだけしかお互いを知らないのだから、破局はすぐに来るでしょう。たとえ結婚したとしても、相手が裏切らない保証はどこにもありません。だから、不倫はすべて自己責任ということです」

 彼女は感心したようにすごいね、確かにそうだわと納得したように言った。


 一か月後、あたしの友人は男と切れて、お見合いをすることにしたと報告してきた。同僚の方は、かなりこじれていたらしいが、相手の煮え切らない態度に友達の方が見切りをつけて、奥さんから手切れ金を受け取ったそうだ。


 所詮、恋は盲目。誰を好きになろうと自由だ。だからこそ、愛する人以外いらないと言える強さがあればなんの問題もないのだ。腹をくくれず、リスクを負う覚悟もなく、自分を幸せにできない恋は、恋としては失格だよとあたしは思う。


 それにしても、もう少し考えるってことを覚えてほしいものだ。なぜ、恋愛経験値のないあたしにそんな相談してくるのか、むしろその神経が信じられないよ。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 頭ではわかってるんでしょうけどね。 気がついたら、好きで好きで仕方がなくなっていた。 それが恋かな。
[良い点] いいオチでした。 [一言] これって結構あるあるですよ。俺も、既婚者と浮気したけど誰にも迷惑かけてないのにいけないことなのかと相談され、「貞操義務あるから配偶者という被害者がちゃんといて、…
2014/11/01 11:19 退会済み
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