今夜は海が綺麗ですね?
今夜は海が綺麗ですね?
静寂の中に響く潮鳴の音に、
どうしてこう、私は理由も無く安らぎを感じてしまうのでしょうか。
もしかすると、それは優しく私を包み込んでしまっているからかもしれません。
私はつい、その優しさに甘えて、溺れてしまって。
貴方の優しさにぷかぷかと揺蕩っているのでしょう。
……だけど私は怖がりだから。
海という広いものを掴み切ることが出来ないことが怖いのです。
どこまで行っても貴方を理解し切ることはできないのではないかと。
どうしようもなく、そう感じてしまうのです。
だけど。
だからこそ。
海というものはやっぱり美しくて。
私の知らない貴方が、きっと明日も。
両手を広げて待っているのでしょう。
そのことが何よりも楽しみで。
ちょっぴり怖いけれども、それでも楽しみで。
だからやっぱり――。
――明日の夜も、明後日の夜も。
きっと海は綺麗なのでしょう。
……後から思ったことが一つあったりなかったりしたのですが……。
これ、場面を夜にする必要があったんでしょうか――。