8話目。ランク昇格テスト
今誠はまたギルドに戻って来ている。
さっきと同じ受付の女性に闘技場に案内してもらうためである。
「闘技場に行きたんだが?」
「かしこまりました。ではこちらへどうぞ」
そう言って奥のとびらに入って受付が並んでいる一番端の左の扉から出てくる。
「では着いて来てください」
言われるがままついていく。
その間に色々な冒険者とすれ違うが皆防具は同じ・・・
やはり高くて装備が買えないのだろう。
「誠様はBランクモンスターを倒した方なので、Bランクからスタートさせて頂きます。お付きの方は、ここでお待ちになるか、上の階の観客席で、待つことが出来ます。一応ここでも戦闘は見えますが?」
「ここで構いません」
「では、誠様。ステージに入ってお待ちください」
外見は丸く、観客席があるが人はいない。
外壁は全てピラミッドの石を思わせるような物で出来ている。
多分、王が鉄などを流通させていないのだろう。
待っていると対戦相手が出てくる。
外見は、ゴリゴリのマッチョで、大剣を使っている、装備も幾分か初期装備より良い物である、一振りで、誠が即死しそうである。
「大丈夫か?兄ちゃん?弱そうだな」
「お前と違って俺の頭は筋肉で出来ていない」
「貴様、殺してやる‼︎」
「余り、調子に乗るのは良く無いぞ」
「ガキが生きがるんじゃねぇよ」
らちがあかないので、
受付の女性が叫ぶ
「ではランク階級昇格テストスタート‼︎」
マッチョが叫びながら、大剣を振りかざし走ってくる。
馬鹿の一つ覚えのような行動である。
誠は第一撃をよける。すると地面に剣が刺さる、かなり深く。
「よけんなよ、クソガキ」
避けなければ誠の剣が折れそうである。
「どうしたものかな・・・」
と誠は思いつつバックステップで距離を取る。
またマッチョは馬鹿の一つ覚えで突進して来る、今度は誠も反撃をする。
マッチョが振り上げた剣を下げる瞬間、誠は懐に入り、マッチョの腹部に剣を刺すが、硬い‼︎
予想を遥かに超えた硬さに誠は怯み、大剣の一撃を腕に食らう。
バキッ
左腕を持って行かれた。
千切れなかっただけマシである。
「全く、階級昇格テストとは名ばかりのものだな」
「ガハハッ当たり前だ‼︎雑魚はフィールドに出るなってこったろ?」
誠はマッチョの腹部の硬さを考える。
多分何か腹部に仕込んでいる。ならばアキレス腱を切り、動きを止めた上で肩の神経を切る。
誠の装備は、薄い皮であるのに対し、マッチョは、小さい鱗で出来た、装備である。
誠は使えなくなった左腕の痛みを我慢しつつ、バックステップをして距離取ると懐かしい電子音が響く。
ピコーン
SPを消費して自動的に怪我を治しますか?
特別スキル<自己修復>を会得しました。
「何だそのスキルは?」
ピコーン
「このスキルは、受けたダメージ+ダメージ(治癒)を合計したものをSPから引き、怪我や傷を治癒させます」
「スキル発動‼︎自己修復」
そう言うと怪我が治る。
視界の端にあるSPゲージが半分削れる
「ガキ‼︎貴様ユニークスキル持ちか⁉︎」
バレると厄介なので嘘をつく
「知らん、これ以外スキルは持ち合わせていない」
そう言い終わるとまたマッチョは、突っ込んでくる。
今度は振り上げた剣を下げずになぎ払ってくる。
もし誠の腹部を大剣がかすめれば、誠は臓器を闘技場に撒き散らす事になる
だからバックステップで下がるが、マッチョのほうがAGIは何十倍も高いため、すぐに追いつかれる。
だから今度はバックステップではなくスキルを使う。
「スキル発動、<チェンジ>」
小声でそう言い、走るマッチョの数本先の地面を柔らかくする。
「ぷよっ」
マッチョは見事に足を取られ、こける。
その瞬間、誠はマッチョの足をめがけ剣を振り上げ切りこむが・・・。
「バキィンッ」
甲高い音と共に剣が弾かれる。
そして体制を戻したマッチョが言う。
「危ない危ない、危うく足を切られる所だった、肉体強化スキルは便利だ」
因みにスキル=魔法。同義である
誠は勝ちの確信を持って、スキルを発動する勿論小声で。
「スキル発動、<フォルシフィケーション>」
効果範囲はアキレス腱と肩周辺だけを無効化する。全身をするとバレる可能性が出るからだ。
誠はバックステップをして距離を取り、またマッチョが突進をする。
今度は誠も突進をし、マッチョにぶつかる瞬間右半回転をし、マッチョの後ろ側に回り込み、右アキレス腱を剣で斬り込む。
鈍い音と共に返り血を浴びる。
さっき嘘を付いたのでスキルの事が第三者にバレると面倒なので、口止めのために喋らせる暇を与えない。
左アキレス腱を斬り込む、マッチョは混乱と共に倒れ気絶。
だが、演技の可能性も有るので、肩の神経を両肩切り。戦闘不可にして終了。
「おい!女階級テストはこれで勝利か?それとも殺すまで続けるのか?」
受付の女性は、驚きと混乱に包まれる何故なら、誠の対戦相手はランクBBB、ランクAの一個下なのである。
この世界はランクが一つ違うと天と地ほどの差があるが、誠は2つも、差が有るのに倒した。
前代未聞。以前の闘技場でもそんな記録は無い。
だからコールを忘れていた。
「おい‼︎女!!」
大きな誠の声で我に返り、こう発言する
「勝者誠様‼︎」
そう言うと受付の女性が案内のために何処からか出てくる。
「お見事な戦い方でした。このあと、ギルドカードの階級を変更させて頂きます。」
「これ以上は階級はあげられないのか?」
「Aランクの方はただいま、ギルドには居ないので、BBBランク以上のステージは制限無し入れるよう、解除させて頂きます。」
「わかった」
「誠様お体は大丈夫ですか?」
「もも、俺に強制的にスキルを習得させただろ?」
ビクッ
とももの体が跳ねる
「助かったありがとうな」
ももは無言でうつむく。
そして、ギルドに戻る前にマッチョを治癒し、記憶を少し弄る。
ギルド
受付の女がカードを返してくる。
「これで全フールド全て入れます。」
そしてギルドを後にする。
誠たちが居なくなった後、受付の女性は、奥の扉に入り、例の男に話をするのであった。
読んで頂きありがとうございます。
戦闘シーン難しいです・・・。