~第6話~彼はまだあの子の寂しさにも気付かない
あれはもう8年以上も前の話。
あの時の私は習い事が多かったせいか、ろくに外で遊んだことがなかった。
私は一度でいいから外で遊んでみたかったから習い事をお父様やお母様には内緒でいわゆる〝サボリ〟をしたことがある。
それは、子供のワガママ。
分かってた。そんな理由でホントはサボっちゃいけないって頭のどこかでは分かってたのに…でも…。
遊びたい。
本当に一度でいいから外で思いっきり遊んでみたかった。
だから習い事には黙っていかず、出来るだけ遠い場所で遊ぶことにした。
お父様達に見つからないように。
でも、やっばり子供は子供。
遠くにいくっていってもたかが知れていた。
そんな時、とある小さな公園にたどり着いた。
そこは、遊具という遊具はほとんどなく、あるのは滑り台と鉄棒だけ。
他にはないのかな、と探してはみたもののやはり滑り台と鉄棒しか見当たらなかった。
でも、その時の私には遊具の数なんて関係はなかった。
遊びたい。ただそれだけの理由。
どんなことをして遊ぼうかな、と考えた私は小さい公園をぐるぐると歩きながらまずは一つ目を閃いた。
『そうだ♪オニごっこをしようっと♪』
ここの公園は少し小さいけれど、子供が遊ぶには丁度いい大きさだ。
『それじゃ♪オニごっこのオニさんをきめよー♪』
手を挙げてじゃんけんの準備をする。
『それじゃ、いっくよー♪さいしょはぐぅーじゃんけん……ポン…』
じゃんけんをしたのは私だけ。
当たり前か…私以外の人は誰もいない。
『…………』
どうしようか…。
このままなにもしないで家に帰っても習い事をサボった意味がない。
『…?……あれなんだろう?』
私は公園にあるちょっと他のとは変わった木を発見した。
『…きのしたにあながあいてる……』
そのちょっと変わった木は下にポッカリと大きな穴が空いていた。
『……!!』
それを見た私は何故かその木まで走っていき、大きくポッカリと空いている穴の中に座りこんだ。
『少しあったかい』
外の風が当たらない木の穴の中は少しだけ暖かかった。
『…これからなにをしてあそぼうかな…』
木の下の穴の中に入ったのはいいものの、いったいこの穴の中で何をして遊ぼう…私はそう考えていた。
『……!!そうだ♪かくれんぼをしようっと♪』
こんなところには誰も探しには来ないだろうと、私はかくれんぼを始めることにした。
『ふふーん♪ここならだれも…だれも…こない…』
言葉を口に出すたびに段々と寂しくなってきて、涙が自分の目から流れ出るのがわかる。
『……グスン…だれか…わたしとあそんでよ…』
夕焼けに照らされた私は涙を拭おうともせず、ただひたすらに泣き続けていた。
そんな私に一つの人影が映る。
『みーつけた!なきごえがするからどこだろうとおもったらこんなところにいたのか』
『…フエ…』
『ねぇ、きみ。こんなところでいったいなんでないてんだ?』
『……グスン…だって…あそびあいてがいないんだもん…グスン…』
『あそびあいて?』
そう…、と鼻声で答える私。
『それなら、おれがきみのあそびあいてになってあげるよ♪』
『…え…ほんと?…』
うん♪、と少年は言うなり私を穴の中から引っ張り出して、一緒に駆け出した。
『ねぇ、どこいくの?』
『ついてからのおたのしみだよ♪』
?、私は何だろうと考えながら、少年に引っ張られながら走り出す。
『…ついた♪ここだよ♪』
『……かわ?』
『そうだよ♪』
少年は履いていた長ズボンの裾を折って半ズボンの姿になると、川の中に入っていく。
『いったいなにするの?』
『いいからみてて…よし!!』
すると少年は水面に目をやるとなにかを探し始めた。
『……』
私はその子がなにをするのか分からずにただひたすらに見つめ続けた。
『……そこだ!!』
バチャッと勢いよく水面に手を伸ばした少年は水中でなにかを捕まえたのか、少年の手には何かがピチピチッと悶えるように跳ねていた。
『こら!!おとなしくしろって!!』
『……おさかなさん?』
『そ、そうだよ♪ほら…オ、オワッと、だからあばれるなって!!』
魚は逃げるようにピチピチと力一杯に跳ねていた。
『スゴーイ♪』
『へへ♪おれにかかればあさめしまえだぜ』
少年は少し調子にのったのか、魚を片手で空に掲げ始めた。
『どうだ!!おれはかい○くおうになる!!……おお、とっとっと…わわ!!…』
手を掲げた瞬間、今だ!!、と言わんばかりに魚はピチピチと跳ねだして手の中からスポッ、と飛び跳ねて水中に消えていった。
『……せっかくつかまえたのに…』
ガクッと、少年は膝に手をやり落胆する。
『おしかったね』
『…くそーあとすこしだったのになー…よし!!』
さっきのことは忘れて、また魚獲りを始める少年。
『こんどはしっぱいしないぞ!!』
『……がんばれ』
私は小声で彼に気付かれないように応援する。
『よし、よし……そこだ!!』
バシャッ、と水面に手をつき出す。
『…あ…』
ガシッ、と少年が川の中で何かを掴んでいるのに気付いた。
『……ちいさいね』
少年が捕まえた魚は少年の手には小さすぎる程の小魚だった。
『…お、おおきさはどうあれ、つかまえたことにはかわりないさ!!』
少年は小さな小魚を掌にのせて私に見せてくる。
『……でも…このおさかなさんかわいそう』
私はこの少年の掌にのっている小魚をみていると胸が苦しくなるのがひしひしと伝わってきた。
『……』
少年は一時の間、何か考えながら首を傾げて悩んでいた。
『ごめんね』
悩んでいた少年は何かを決意すると掌にのせていた小魚を川に逃がしていた。
『……いいの?』
せっかくこざかなさんをつかまえてうれしそうにしてたのになぜにがしたのだろう。
『いいんだよ…これで』
それに…、と少年が私の方に顔を向けて言葉を続けようとしたとき。
少年と少女の目が見つめ会うように重なりあった。
『……』
『……』
少年と少女はお互いに目と目を重ねたまま動こうとはしない。
『……やっぱり…カワイイ…』
『え…いまなんて…』
聞こえなかったので少年に確認しようとしたら、恥ずかしいのか”な、なんでもない!!“と顔を背けてしまった。
少年の顔を横見でみると、少しだけ顔が真っ赤になっていた。
少しだけその少年が可愛くみえた。
『そ、それはそうと!じかんだいじょうぶなの?』
『え?』
私は時計をもってなかったので公園にあった大きな時計に目をやると、もうすでに午後4時を回っていた。
『いけない!もうこんなじかんだわ』
早く帰らないとお父様とお母様が心配してしてしまう。
『じゃ、きょうはこれにておひらきかな?』
『……うん』
少しだけさみしい感じる。
せっかく私なんかと遊んでくれたのに…。
少しだけさみしくなっている私に少年は唐突に口を開いた。
『…あの、さ……あしたもいるから』
『え?』
『だからあしたもいるからこのこうえんに!!』
だから、と少年は少女に言葉を続けた。
『あしたもあそぼうよ』
『……いいの?』
『いいもなにもこっちがあそぼっていってるんだから……それで、さ…その……あそべる?』
少年は照れ臭くなったのか。顔を横に背けながら聞いてきた。
『……うん』
私も少し恥ずかしかったので少年と同じく顔を横に背けながら返事をした。
『……そ、それじゃ!!じかんだしもうかえるね』
タタタ、ッと少年は駆け出していった。
その時少年は一度私の方を振り返りこういった。
『じゃ、またあしたな!』
『うん、またあした!』
それに答えるように私も今出せる精一杯の言葉で返事をした。
そうして私は少年と明日また遊ぶ約束をした。
公園で一人になった私はあることに気づいた。
『……あ、なまえきいてない…』
・・・・・・
『…あ、そういえばなまえをきくのわすれてた…』
俺は公園を出てすぐにその事に気づいた。
『でも、あしたあそぶやくそくをしたんだし、あしたきけばいいや』
俺は公園には戻らずにそのままかえることにした。
〝あしたまた、少女と遊べると信じて〟。
to.be.continued……
いやーお久しぶりまたは、始めまして勇者王です。
やっと投稿できました。他の人はどのぐらいのスピードで書いてるのかな、と今日この頃考えたりします。皆さんはどのぐらいが普通と思いますか?友達は月1じゃね?、といってたのですが、私は月2じゃね?、と思いました。こう自分で言いつつ月1になってるんですけどね(笑)。さて、前にも書きましたス○ロボZ再世編が出ました♪。とても面白いので、これを読んだかたは是非とも買ってプレイしてみてください。(ps.10周断念して4週まどプレイして再世編始めました)
まあ、こういう話はこのぐらいにして…〝彼はまだ彼女の想いに気付かない〟について少しだけ。皆さんはハーレムは好きですか?。
私は好き…いや、大好きです♪。私はラブコメ小説が好きなのですが、私は思うのです…自分の好きなキャラはほとんどフラグだけたてて攻略されない、という現実には逃れられないと…。やっぱりどの作品も、フラグはたてても最後の最後はほとんどの確率でメインヒロインに主人公を奪われて終わり、という流れが定番です、悲しいですね…私はいつもラブコメ小説を読みふけりながらいつも思います。なのでこの小説を書きました。
私は全くの素人なので、誤字脱字が多いこと多いこと。いつも確認してはため息をつくばかりです。そんな私の書いている〝彼はまだ彼女の想いに気付かない〟略して彼鈍は勇気と愛と夢と希望と欲望(?)がつまったこの作品をどうかこれからも読んでくださることを切に願います。
それではまた次の掲載で!
平成24年4月19日掲載