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~第15話~彼女はまだ紙袋の中身には気付かない

「……あら? なにかしら今の声?」

「声?」

「えぇ、今誰かの悲鳴みたいな声が聞こえたんだけど」

声のした方に少し耳を傾けてみる。

「気のせいじゃない? 僕は何も聞こえなかったけど」

「……そうね。 レイジが聞こえていないのなら、きっと気のせいよね」

グラスに入ったメロンソーダをストローで吸いあげる。

僕もそれをみてさっき貰ったオレンジジュースをストローで吸い上げた。

今2人で飲んでいる飲み物は、ここ『ミート&ボール』のウエイトレスさんが、さっきのギャル男達を追い払ってくれたおかげと言って、ただで貰った飲み物だ。

あのギャル男達は、度々ミートランドに来ては、悪さをするやかららしく、「ミート&ボール』も被害を受けていたらしい。

「お待たせいたしました〜♪」

料理をのせたお盆を持ったウエイトレスさんがやってきた。

「御注文されましたミートinハンバーグのライスとウーロン茶付きとミートinチャーハンとコーヒーでございます〜♪」

ウエイトレスさんはお盆にのってある料理を、綺麗な純白のテーブルクロスの上にのせていく。

「ありがとうございます、ウエイトレスさん」

「あ、ありがとうございます」

「いえいえ〜♪ 」

丁寧に料理を並べ終えたウエイトレスさんが申し訳そうにこちらをみた。

「それにしてもお2人ともよろしかったのですか? 店長も代金の方はいらないとおっしゃっていますのに」

「別に気にしないでください。 ただでさえ飲み物をご馳走して貰ってるんですから、料理ぐらいは払わないと、他のお客さんに悪いですから……それに」

「せっかくミートランドに遊びに来たんですから、他のお客さんと同じようにしたいですから」

アリシアは、ウエイトレスさんににっこりと微笑みかけた。

・・・・・・

「……やっと見つけた」

『ミート&ボール』付近の茂みの中。

「……見つけましたね。 恋士れいじさんったら、あんなににこにこにこにこしちゃって、もう」

「私とご飯食べる時より、嬉しそうに食べてるじゃない。 なによ、なんなのよっ! 恋士君のバカッ!」

茂みに落ちていた枝を片手でへし折りながらみやびはプンスカと怒っていた。

「…………」

……はぁ、私もあんな風に恋士さんと一緒にご飯食べたり遊びに行ったりしたいなぁ……。

今更なことだけど、私って恋士さんと何処かにご飯食べに行ったりだとか遊びに行ったりとか、まだ1度もしたことがない。

……よし、今度頑張って恋士さんを誘って何処かに遊びに行こっと。

「美咲ちゃん」

「は、はいっ!?」

「今、何か言ったかしら?」

「い、いえっ!? な、何も言ってないですよ、ハハハハ……」

雅さんの耳って地獄耳なの!? でも、地獄耳でも心の声も聴こえるなんて……雅さんはすでに、読心術を習得してるとでも言うのだろうか。

なにより雅さん。 目が笑ってないです。 ものすごく怖いです。

「……まぁ良いわ。 それより今は……」

雅さんは、今もなお食事を楽しんでいる恋士さんと堺先輩を見つめる。

「この状況をどうするかよね……」

「……」

どうするか考えている雅さんをみて、私はふと思った事を口にした。

「……その、雅さん」

「なにかしら? 美咲ちゃん?」

「今ふと思ったんですけど……私達、あの2人を尾行して、どうするつもりなんですか?」

「…………」

「……あの、雅さん?」

「……どうしよう」

「え?」

「この後どうすればいいのか、全然考えてなかった……」

「……」

やっぱり思った通りだった。 雅さん、追い掛けるだけ追いかけといて、先の事を全く考えていなかった。

「……と、とにかく、これから私達どうするんですか?」

「……もうここまできたら、続行するしかないじゃない」

「……そうなりますよね、ハハ……ハァ……」

まぁ、私も個人的に尾行しているわけだし、ここまできたら最後まで尾行するしかない。

「というわけで、美咲ちゃん。 尾行もとい監視、続けるわよ」

「は、はいっ!」

尾行も監視もいい意味じゃないんだから、言い換える必要ないんじゃないのかな?っと思いつつも、雅さんと一緒に尾行もとい監視を続ける美咲なのであった。

・・・・・・

「ごちそうさまでした」

綺麗に完食したミートinハンバーグがのっていた皿に向かって手を合わせる。

「凄く美味しかったね」

「凄く美味しかったわ〜♪ ワタシ、じつを言うとミートボールよりハンバーグ派だったんだけど、ここのミートボールはハンバーグよりも美味しかったから、今日からワタシ、ハンバーグ派じゃなくてミートボール派になるわっ♪」

「はは、それは良かったね」

堺さんがミートボールの話で生き生きとしてる。 とてもここのミートボールが気に入ったようだ。

「確かにここのミートボールは今まで食べたミートボールの中でもずば抜けて美味しかったよ」

「ワタシもそれ思ったわっ! ずば抜けてここのミートボールは美味しかったわっ! どうしたらこんな美味しいミートボールがつくれるのかしら?」

「どうやったら作れるんだろうね? こういう美味しい食べ物のレシピはだいたい非公開にするのが当たり前だから教えてはくれないだろうし」

「そうよねぇ〜こんな美味しいミートボールのレシピをそうやすやすと教えてくれるわけないわよねぇ〜……ハァ……」

「まぁ、食べれただけでも良かったじゃない」

「……よしっ! ワタシ決めたわ!」

メロンソーダをストローで最後のひと口を飲み干し、拳を握りしめて席を立った。

「何を?」

僕は不思議そうに堺さんを見つめる。

「ワタシ、頑張ってここのミートボールを作る……いや、ここよりももっと美味しいミートボールを作るわっ!」

「そ、そうなんだ……それは食べられるのが楽しみだね」

まさかここよりも美味しいミートボールを作るときたか。

……まあでも、こんな事言い出すのは堺さんらしいかな。

「……ねぇ、レイジ」

「どうしたの?」

あんなにミートボールを作る事に燃えていた堺さんが、いきなり端切れ悪そうにする。

「そ、その……さっき、さ……食べれるのが嬉しいって……つまり、ワタシが作ったミートボールを毎日食べてくれるってことよね?」

「う、うん?」

確かに食べれるのが楽しみとは言ったけど、毎日とは言ってない気が。

「ど、どうなのっ! た、食べたくないのっ! ワタシの作るミートボールッ!」

「そ、そりゃまあ、堺さんの料理は美味しいから、食べてみたいけど……」

「……ほ、ほんとにっ!?」

「う、うん」

堺さんの勢いに押されながらも、本当の事(毎日とは言ってないけど)だから素直に頷いた。

「じゃ、じゃあ、今度作ってくるわね」

「ありがとう、堺さん」

「べ、別に、ワタシが作ったのを味見して貰うんだから、お、お礼なんていいわよっ」

堺さんは照れながら顔を逸らした。

「そ、そう?」

僕は頬をポリポリと掻きながら微笑を浮かべた。

「そうよ。 それじゃあ、そろそろ出ましょうか」

堺さんはそのまま椅子をテーブルの下にしまい込み、バッグを肩にかけた。

「……ねぇ、レイジ」

「うん? どうしたの堺さん?」

堺さんは僕をみやると、テーブルの上に置いてある、僕がずっと手に持っていた小包を見つめた。

「……ずっと気になってたんだけど、その紙袋何?」

「え、いや、これは……その」

ああ、この中にはね、タヌキの何かが入ってるんだよ…………そんな事絶対に言えるわけがない。

どう考えても恥ずかしすぎるだろ。 堺さんの事だ。 もしこの小包の中身がタヌキの何かって事が分かったら、きっとバカにしてくるだろう。 僕も中身はタヌキって事は分かるけど、タヌキの何かって事は分からない。 だからこれは、堺さんには知られるわけにはいかない。

「あー……えーと……そ、そうだっ。 これはあれだよっ。 そう、ハンカチが入っているんだっ」

「ハンカチ? なんでハンカチなんか入っているの?」

「そ、それは、あ、あれだよっ、ちょうど今日ハンカチを切らしちゃってさっ」

「ハンカチを切らすって……ハンカチは切らすものじゃないでしょ?」

「……あ……」


やってしまった。 どういう事したら、ハンカチを切らすんだよ。 バカじゃないのか僕。

「……レイジ?」

……これは、もう正直に言うしかないのか。

そんなわけのわからない事を考えている僕を見てか、堺さんの表情が変わる。

「……あ。 なるほど、そ、そういう事ね。 だ、だからワタシには言わないのね」

急に頬を赤らめさせ、両手で林檎のように赤くなった頬を抑える堺さん。

「……え?」

「だ、だからその紙袋の中身ってワタ──」

そこまで口にした堺さんは、言葉を止めた。

「綿?」

綿なんて入って無いんだけど。

「……ごほん。 な、なんでもないわ。 い、今のは忘れて」

「うん? わかった」

ふぅ、堺さんが引いてくれて助かった。

「……ふふ。 楽しみだわ」

……なんで堺さんが喜んでいるのがよく分からないけど、とりあえずこれでこのタヌキの何かは無事開封せずに済んだ。

「レイジ」

「うん?」

「楽しみにしてるからねっ」

「…………はい?」

なんの事ですか堺さん。

「ほらっ、グズグズしてないで行くわよレイジっ」

堺さんは自分の分の会計を済ませて、外に出て行った。

「ちょ、ちょっと待ってよっ……もう」

僕まだ会計終わってないんだから。

まあ、何だか楽しそうだからいっか。

僕も会計を済ませて『ミート&ボール』を後にするのだった。

・・・・・・

「──こちらデルタ-2。 目標は喫茶店から出たもよう。 オーバー」

「──こちらデルタ-1。 そのまま追跡を続行しろ。 いいか? もし奴が不審な動きをみせたらすぐさま排除しろ。 オーバー」

「──こちらデルタ-2。 了解した」

ピッと無線を切った大男は無線をポケットにしまい、動き出した。

馬場恋士ばばれいじよ。 貴様は我が・・・にとって、排除すべきターゲットだ。 悪く思うなよ? 全てはアリシア・・・・・のためにっ」


to.be.continued……












お久し振りです、または初めまして、今やっと落ち着いて投稿できて嬉しい勇者王です!!。(IDが分からなくなったなんて言えない)

〝彼はまだ彼女の想いに気付かない〟略して〝彼鈍〟第15話を投稿させていただきました!。

皆さん待ってくれましたでしょうか?

僕は凄く投稿するのが待ち遠しかったです。いつも2ヶ月はかかっていた執筆でしたが、今回は2日で書き上げました。

量は少ないですが、急かす友達がいるので今回はこのぐらいで勘弁してくださいませ。

この次は〝デビルズ・リバース〟を書き上げたいと思います。

今なぜか燃え上がっているので、投稿するのは多分早いと思います(震え声)


それでは早いですが、長々なってもあれなんでここで謝辞を。

初めてお読みになってくれた読者の皆様、またはここまでお付き合いくださってくれている読者の皆様、誠に読んでくださってくれてありがとうございました。

こんなはたからみたらただの駄作にしか思われない彼鈍ではありますが、これからもこの作品とデビルズ・リバースをどうか暖かい目で見守っていてくれると私目も幸せでございます。

それではまた次回の掲載で。

か、感想をだ、誰か書いてくだしゃいませ。。。


平成25年4月22日掲載

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