~第14話~彼はまだ大男にも気付かない
『も、もう……はぁ、はぁ……二人とも、どこに行ったのかしら』
途中で恋士とアリシアを見失った雅はミートブースターの近くまでやって来ていた。
『……はぁ、はぁ……ま、待って下さいよ~雅さ~ん……』
息を切らせている雅についてきた三咲も息を切らせながら走ってきた。
『……も、もう……はぁ、はぁ……だめ』
バタッと力尽きてしまった三咲はその場にへたりこんでしまった。
『今日の三咲ちゃんは珍しく体力に欠けているわね。どうしたの?』
その場にへたりこんでしまった三咲に近づいた雅は心配そうに見つめる。すると、三咲ちゃんのお腹から今からでも暴れてしまいそうな猛獣の鳴き声がミートブースター周辺に響き渡った。
『……』
『……エヘヘ。お腹空いちゃいました』
三咲は軽く自分の頭を拳で小突く。
『……もぅ、仕方ないな~。もうお昼だし何か食べよっか』
『すみません雅さん。実は朝から何も食べてなかったので、つい』
『そうなの?じゃあ、早く腹拵えしましょう』
へたりこんでしまった三咲の手を取り、両足で立たせる。
『ありがとうございます』
『どういたしまして。それじゃ、ミートランドのパンフレットに載ってた喫茶店に行きましょうか』
『はい♪』
三咲は元気よく頷き、喫茶店のある方へ走っていく。
『三咲ちゃん。そんなに走ったら人にぶつかるわよ』
いきなり走っていく三咲を追いかける雅だったが、三咲がこちらに話しかけている途中にある大きな人影が三咲の前に現れた。
『三咲ちゃんっ!危ないっ!』
『え?──うわっ!?』
ゴツンッと三咲は大きな人影の胸板にぶつかり、尻餅をついた。
『イテテテ……す、すみませんっ!急にぶつかってしまって』
『……』
三咲は尻餅をつきながらも頭を下げたのだが、返答がない。
『あ、あの……』
と、三咲が改めて謝罪をしようとしたら、そそくさと走って行ってしまった。
『三咲ちゃん!?怪我はない!?大丈夫!?』
『は、はい。おかげさまで無事です。でも、ぶつかっちゃった人にちゃんと謝ったんですけど……何も言わずに何処かに行っちゃいました』
不思議そうに三咲が首を傾げる。
『謝ったのなら、いいじゃない。向こうも許してくれたんでしょう』
『……そうだといいんですけど』
三咲が謝っているにも関わらず、あの大きな人は三咲を一切見ていなかった……というかぶつかってしまったのにも気付いているのかすら謎だ。
『それじゃ、気を取り直して行きましょうか』
『……は、はい』
雅が歩き出したので三咲も続いて歩き出す。
『次は走らないように、ね♪』
『も、もう~~わかってますよそんなこと~~』
三咲は苦笑しつつも雅に付いていくのだった。
・・・・・・
『──こちらデルタ-2。目標を確認、オーバー』
『──こちらデルタ-1。デルタ-2はそのまま目標を監視しろ、オーバー』
『──こちらデルタ2-。了解した。このまま目標の監視を続ける』
ピッと無線を切って、ズボンのポケットにしまい、二人の姿を遠くから監視する大男。
服装は、上下共に迷彩色で、上はピッチピチのタンクトップ。そして下は体格には似合わないジーンズをはいている。
今は真冬ではないけれど、それなりに風は冷たい。なので、目立たないように通路に生えている木々に身を隠してはいるが、まわりの人からはバレバレ……というか、ただの不審者にしか見えない。
『ねぇママー。あの人何してるの?』
不審者にしか見えない大男を通りかかった子供が指を指す。
こら!!指なんか指したらダメでしょ!!、と指を指した子供の母親らしき人が子供の手を取り、そそくさと離れていった。
それほど不審者にしか見えないのだ。
だが、その大男は気にした様子もみせず、二人の様子を窺っていた。
『おォォのぉぉれぇぇ馬場恋士ぃぃッ!?』
大男は隠れ蓑にしていた木々を掴み、握力で指を木にめり込ませる。
『今まで多目に観てきたが、今日という今日は許さん!!』
大男は馬場恋士を睨み付けながら様子を窺い続けるのだった。
・・・・・・
『……め、目が回って……おかしくなりそう』
『……もう、レイジしっかりしなさいよ。まだ遊んでない乗り物いっぱいあるんだから』
恋士とアリシアはミートブースターを体感した後、もうお昼時だったのでミートランド内にあるおしゃれな喫茶店にやって来た。
喫茶店はオープンカフェ仕様になっていて、とても雰囲気がいい。
『いらっしゃいませ。「ミート&ボール」へようこそ~♪』
二人がどこに座るか探していると喫茶店のウエイトレスさんがお店の中から出てきた。
ここの店の名前は「ミート&ボール」というのか。実にそのままの名前だ。
『お客様二名様でよろしいでしょうか~?』
『はい』
『……』
恋士ではなくアリシアが答える。
『わかりました。では、こちらの空いているお席へどうぞ~♪』
間延びしたウエイトレスさんから勧められた席はちょうど二人用の白い丸テーブルだった。
早速、空いている席に二人とも腰を下ろす。
『それではご注文がお決まりになりましたらそちらのテーブルの上に置いてあります呼び出しボタンを押してくださいませ~♪』
『はい、わかりました。ありがとうございます』
『……』
またしても恋士ではなくアリシアが答える。
『それでは、ごゆっくりお寛ぎくださいませ~♪』
間延びしたウエイトレスさんはメニュー表を置いていくと店の中へと消えていった。
早速、恋士とアリシアはメニュー表を開くと、不意に恋士が苦笑をこぼす。
『……それにしても、ミートブースターに乗るだけでだいぶ時間がかかったね……うぅ……』
しゃべりつつも、まださっき乗ったばかりのミートブースターでの後遺症か頭の中をグルグルと回っている。
さっきから返事ができなかったのはついさっき乗ったばかりのミートランドNo.1の人気を誇る遊具。ミートブースターに乗ったためである。
……ああ、ミートボールが浮かんでる。
……あれ?……ミートボールが1個、2個、3個、4個──と、どんどん目の前にミートボールが浮かんでは消えを繰り返している。
あれがあの謎に満ちたミートボールの中身だったのか。ミートブースターのスタッフさんが入ってからのお楽しみ、と言っていた理由がわかった気がした。
ものすごくお楽しみじゃないですよ、スタッフさん……。
恋士は今ここにはもういないミートブースターのスタッフさんに、心のなかで訴えかけた。
『……もう……さっきまではあんなに頼もしかったのに……。ちょっとレイジには失望しちゃったわ』
そんなよくわからない幻覚を現在進行形でみている恋士を尻目にアリシアはため息をつく。
『そ、それはだって、ほら……堺さんが恐がってたから……その……漢を見せようかなって……思って、さ』
そこまで口にした恋士は口ごもるしかなかった。
だって、まさかミートボールの中身があんなことになっていたなんて夢にも思わなかったからだ。
『あ、あれは、ね。ほ、ほら。人間乗る前は誰だって怖いっていうじゃない。それよ』
人差し指をあげて説明するアリシア。
そのとき、アリシアが首にかけていたらしい、ペンダントが日の光で青白く輝いた。
そのペンダントの青白い輝きを目にした恋士の頭の片隅で、いつかはわからない景色がうっすらとよぎった。
『……ねぇ堺さん』
『なに?』
『その首にかけてるペンダント……結構古そうだけど、堺さんにとってとても大切な物みたいだね』
『……』
恋士の顔を見ながら、アリシアは嬉しいような、それでいて悲しいような複雑な顔をして、恋士から目を背けた。
『──やっぱり思い出してくれないのね』
『え?』
アリシアが意味深なことを口にしたのだけど、恋士にはその意味がいまいちわからない。
『……ううん。なんでもないわ。忘れて』
『……う、うん……わかった、けど───ッ!?』
口には出しつつも恋士は頭の中で、もやがかかった部分を探っていると、背中から恐ろしいほどの殺気に襲われた。
『どうしたの?』
『い、いや。今なんか背中にものすごい殺気みたいなのを感じてさ』
苦笑しつつも、両手で肩を押さえる。
『そう。まぁ、殺気かは別にしても、レイジが感じるのは当たり前だと私は思うけどね』
含みのある笑みを向けるアリシアに恋士は不思議に思った。
『なんで?』
『なんでって……はぁ……女の子への気配りはおかしいくらいにできるくせに。やっぱりにぶちんレイジね』
ハァ、とため息をつくアリシア。
『にぶちんって、俺結構鋭い方だと思うんだけどな……たぶんだけど』
『そう思ってるのはレイジだけよ。それにレイジの鋭いとワタシの思っている鋭いとは根本的に違うわ。今だって、ほら。まわりをみてみなさいよ』
アリシアはレイジに目配せをした。
『まわりって──うわっ!?』
まわりをみてみると、恋士とアリシアの二人が来る前から座っていたカップル(主に男)や男達の集団やらが二人の方をずっとみていた。
……といってもアリシアには可愛い女の子、綺麗な女の子をみたときの好機な視線で、恋士には羨ましいヤツ、憎たらしいヤツをみるような殺気づいた視線でまわりから注目を集めているという、なんとも言えない平男美女差別的な注目の集め方なのだが。
おかげでさっきから悩んでいた元現在進行形のミートボールの幻覚から目が少しだけ覚めた。
『さ、堺さん!?これって』
まわりには聞かれない程度に声を潜めてアリシアに恋士は聞いてみる。
『そうよ。さっきから私達、目立ってるのよ』
『そ、それはみたらわかるんだけど…なんで?』
恋士には全く心当たりがないので不思議に首を傾げる。
『まったく、レイジの眼はどういう眼をしてるんだか……』
『どういう眼って……こういう眼だけど……』
突然変なことを聞いてきたので、恋士は椅子から腰を浮かせて、自然に自分の顔をアリシアに近づけた。
『も、もうっ!そういう意味じゃないわよバカッ!』
『ご、ごめんっ!』
アリシアに思いきり怒鳴られてしまった恋士は椅子にお尻をつけた。
『ねぇ、話してるとこ悪いけど、ちょっといいかな』
さっきから恋士とアリシアの二人をみていた男達の集団の一人が不意に声をかけてきた。
『なにかしら?今から食事をするところなんだけど』
男はみるかぎりにチャラチャラした服装をしており、年齢はおよそ二十歳前半ぐらいか。総合的にみた結果、ぞくにいうチャラ男に分類されるヤツだ。
恋士がそんなどうでもいい憶測をしているなか、ギャル男はそのまま礼儀をわきまえずにアリシアに話しかける。
『いや、ね。それならこんな男放っておいてさ、俺達とメシ食べない?』
ギャル男がいうこんな男とは、たぶんというか確実に恋士のことを指しているのだろう。
まったく、失礼なヤツだ。本当だとは認めたくない。
……うん?今、堺さんの眉がピクッとつり上がった気が……。
『ごめんなさい。こんな男だけどワタシの連れなの──行きましょレイジ』
こんな男の部分に強いアクセントをつけつつ、アリシアは席を立ち上がり、身支度を整え始めた。
『そうだね。 ここでのお昼ご飯は残念だけど諦めようか』
礼儀をわきまえずに喋ってきたせいかは知らないけど、ギャル男はアリシアを怒らせたみたいだ。
ここは堺さんの提案に賛同しよう。
恋士もアリシアの提案に賛同して席を立ち上がる。
このまま居座って食事を始めても、このギャル男達がいるからかえって食べづらいし、このままだとお店にも迷惑をかけてしまう。
なので、二人とも喫茶店から出ようとしたのだが。
『おい!? ちょっと話ぐらい聞けって』
ギャル男はいきなりアリシアの右手首を左手で掴みあげた。
『ちょっと気安く触らないでっ!へんな菌がうつるじゃないっ!』
アリシアはギャル男に一言浴びせながら手をほどこうとする。
『このっ!?てんめぇっ!こっちが下手に出てやりゃあ調子にのりやがってっ!』
ギャル男がアリシアの吐いた一言に激怒して、手を掴んでいない右手でオーバーアクションに手を振り上げる。
このままじゃ堺さんが危ないっ!。
そう思った恋士は咄嗟にギャル男の振り上げている右手を掴みあげようとした、そのとき。
『──ふんっ!』
ギャル男がオーバーアクションに振り上げた右手を掴んだのは恋士──ではなく、ギャル男に掴まれていたアリシアだった。
アリシアは、後ろに踵を返してギャル男の振り上げた右手を掴まれていない方の左手で掴みあげると、そのまま護身術の一例を披露するかのように、背負い投げをこの場にいる全員に見せつけた。勿論恋士にも、だ。
『ゴフゥッ!?』
情けない声をあげたギャル男は綺麗に背中から落ち、今自分に何が起こったのか、その事を考えているのだろう。ギャル男の目が点になっていた。
『──悪いけどワタシ、これでも柔道四段だから、ほら──』
アリシアは、バッグに入れていたポーチから国に認められた証。柔道四段の資格証をギャル男、そして恋士に見せつけた。
『……マ、マジかよ……おい……』
『堺さん、柔道してたんだ』
ギャル男は驚愕し、恋士はその逆で、アリシアをスゴいと思っていた。
『どう? これでわかったでしょ── あっ!?』
恋士を見られているのに気付いたアリシアは、突然なにかに気付いたかのようにバッグの中にそそくさと資格証をポーチに締まってしまった。
『い、いまの資格証はねっ!? じ、じつはワタシのじゃなくて……えと、そ、そうそうッ! あれは親戚の人から預かっててって言われて持ってるものなのよっ!?』
『いや、どうみても堺さんのでしょ? 名前のところに〝堺アリシア〟ってかいてあったし』
『あぅっ!? そ、それはっ!』
恋士の指摘にアリシアは言葉に詰まる。
『……へ、へんでしょ』
『うん? なにが?』
『だ、だからっ!……そ、その……ワタシが柔道できるなんて』
『なんで? 俺はそんなこと思わないけど?逆に堺さんのことスゴいって思ったし』
恋士は本当のことなので、率直にアリシアに言った。
『で、でもでも! 柔道四段だし……』
『もっと凄いじゃん』
『……本当に?』
『本当にもなにも本当にそう思ったから。スゴいって』
言っててなんだか恥ずかしくなる。
今自分で言ってて思ったのだが、よくこんなキザなセリフが言えたものだ、と恋士は内心思った。
『……嬉しい、けど、どうせなら……って言ってほしかった、かな』
『うん?今なんて言ったの?』
『う、ううんっ!?な、なんでもないなんでもないっ!? ……そ、そっかそっかっ!カッコいい、ねっ!確かにカッコいいわよねっ、はは……』
アリシアは少しひきつった笑顔を作って、どこか残念そうにしていた。
『……あ、あの~……』
さっきから一言も喋らずに二人のことを傍観していたチャラ男が痛い背中を押さえながら起き上がり、アリシアに話しかけてきた。
もちろん、さっきの一撃をくらったからなのか、チャラ男はさっきよりおとなしくなっていた。
『なに? まだやるつもり?』
『そ、そんなことするかっ!──いや、しません、 だからその構えをどうかやめてくださいお願いします』
威張った言動で反論してきたので、アリシアが構えをとると、ギャル男がおでこを地面に擦り付け、土下座をした。
なんとも情けない格好だと、恋士は内心思った。
『じゃあ、違うんだったらなによ?』
『いや、その……そろそろ出ていってもいいかな~……なんて思ったり思わなかったり……はは……』
ギャル男は早くこの場から出ていきたいのか、目を横にチラチラと逸らしながら言っている。
『……そうね。勝手にすれば?』
『そ、そうですかっ!……それじゃあっ!』
アリシアはさっきからギャル男が放置されていることに今気づいたようだ。
土下座をしていたギャル男はそそくさと、一緒に来ていた他の集団達と出ていく。
『そ、その……お騒がせしました~……』
『ふんっ。次から女の子を誘うときは気を付けることね』
『は、はいっ! 心にとどめておきますっ!』
ギャル男達は会計を済ますと、店から次々と出ていった。
・・・・・・
『なんか嵐のような人達だったね』
恋士は苦笑しながら、メニュー表をみる。
うん。 さっきのギャル男騒動事件で少しは時間がたった。そのおかげか、だいぶ恋士の脳と目には完全に安らぎが戻り、ミートボールの幻覚を一切見なくなった。これはギャル男達に感謝しよう。
恋士は口には出さずに心のそこで思った。
『ところでレイジ。 そろそろ注文しない?おなかすいちゃった』
『うん、そうだね。 堺さんはもう何にするか決めた?』
『そうね……ワタシはこれにしようかしら』
堺さんはメニュー表から食べるものを決めたらしく、テーブルの上に置いてある呼び出しボタンをポチっと押した。すると、数秒後にさっきのウエイトレスさんがやってきた。
『おまたせいたしました~♪。早速ご注文を承らせていただきます~♪』
笑顔のウエイトレスさんが伝票用紙とボールペンを取り出す。
『すみません。この〝ミートボールinハンバーグ〟を一つと、あとライスとウーロン茶も付けて下さい』
アリシアに頼まれたメニューをウエイトレスさんが伝票用紙に書き込んでいく。
『……ご注文を繰り返させて頂きます。〝ミートボールinハンバーグ〟をお一つと、ライスとウーロン茶をお一つでよろしいでしょうか?』
『はい、ワタシはそれで。 レイジは? もう決めた?』
『え~と……じゃあ、この〝ミートボールinチャーハン〟を一つと、 飲み物はコーヒーをお願いします』
さっきのアリシアのときと同じくウエイトレスさんが伝票用紙に書き込んでいく。
『……ご注文を繰り返させて頂きます~♪。〝ミートボールin*チャーハン〟をお一つと、お飲み物はコーヒー、でお間違いありませんでしたでしょうか?』
『はい。それでお願いします』
『それでは~♪お料理をただいまご用意致しますので少々お待ちください~♪』
間延びしたウエイトレスさんは、一度お辞儀し、踵を返して、店のなかに入っていった。
ウエイトレスさんが店に入ったのを確認すると、ふと恋士がメニュー表をみた。
『それにしても、ここのメニュー表に書かれている料理はビックリするほどミートボールだらけだね』
『当たり前じゃない。 ここをどこだと思ってるの?天下のミートボールによるミートボールのためだけの楽園なのよ。 こんなの普通よ普通』
『普通、なんだ』
ポリポリと頬をかきながら、恋士はちよっと動揺した。
さっきも思ったけど、ここ(ミートランド)に来てから堺さんの様子があまりにもおかしい、というかウキウキと楽しそうにテンションが上がっている。
それほどここが好きなんだろうな、と恋士は思うのであった。
・・・・・・
『たく、ついてねえぜ。 なんなんだよあの女!』
道中に置いてあった空き缶箱をでたらめに蹴りながらギャル男はぶつくさとボヤいていた。
『でもあれはかっこわりぃよな』
さっきのことで、ゲラゲラとギャル男以外の男達が笑う。
『てめえら笑うんじゃねえよ! たくっ……うん?』
ギャル男達の前に突然知らない大男が立ちはだかった。
『なんだよアンタ? そこ邪魔なんだけど』
『──こちらデルタ-2。これより掃討作戦兼制裁を開始する、オーバー』
『──こちらデルタ-1。 速やかに任務を遂行せよ、 オーバー』
『──こちらデルタ-2。 了解』
ピッと無線機を切って、ズボンのポケットにしまうと、大男はギャル男達を睨み付けた。
『な、なんだよ。 俺達とやろうってのか』
ギャル男達が大男に構えをとる。
『フンッ、貴様達みたいな雑魚を相手にするのはシャクだが、貴様達はやってはならないことをした。 よって今から貴様達に制裁を下す』
大男は、指をポキポキ、と鳴らしながら不適な笑みを浮かべる。
『俺達が何したって言うんだよ! ──もう構わねえ、お前らやっちまうぞ!』
『『おう!』』
ギャル男達は、意を決して大男に襲いかかろうと勢いよく迫っていった。
『何をした、だと? 貴様達は自分のおかした過ちにも気付いていないのか。 本当に愚かな輩だ』
『さっきからうんせえんだよ!。 この──』
ギャル男は勢いよく右ストレートを決めに入った、がしかし。
『おそい』
『やろ! てめ──ヘブシッ!?』
ギャル男の右ストレートは軽々とかわされ、逆に大男からのラリアットを懐に思いきり入れられた。
『かはっ、かはっ……』
ギャル男は、おなかを強くおさえて地面に転がり込む。
『お、おい! 大丈夫か!』
ギャル男の次に殴りかかろうとした男達が、ギャル男の回りに集まり、ギャル男に肩を貸し、自分の足で立たせた。
『……この程度の覚悟であのお方に触れるとは。 貴様達、覚悟はできたか?』
『ヒ、ヒィィィッ!?』
ギャル男達が、大男から後ずさる。
『も、もうやめようぜ、な?……こ、こんなことしてどうなる──』
『──笑止!』
『『────イィィィヤァァァァァァァァッッッ!?』』
ミートランドの道端に、ギャル男達の悲鳴が高々と響き渡るのだった。
to.be.continued……
お久し振りです、または初めまして、現在絶賛放送中のアニメのラブライバー活動で多忙な毎日を送っている勇者王です!!。
〝彼はまだ彼女の想いに気付かない〟略して〝彼鈍〟第14話を投稿させていただきました!。
皆さん♪待っててくれましたでしょうか?。
待っててくれていただけていたならば、とてもとても嬉しいです♪。
さて、今回の彼鈍は、今までの話での文章力が、あまりにも恥ずかしいものだったので、文章力を上げるべく少し勉強をしました。
ちょ、ちょっとは良くなっている……と思います(震え声)。
聖夜祭準備編は、このままでいくと結構長くなります。実際まだ打ち合わせもまだですしね。
読者の声『あと何ヵ月で聖夜祭準備編終わるんだ!?』
……(´▽`;)ゞ
それでは早いですが、長々なってもあれなんでここで謝辞を。
始めてお読みになってくれた読者の皆様、またここまでお付き合いくださってくれている読者の皆様、誠に読んでくださってくれてありがとうございます。
こんなはたからみたらただの駄作にしか思われない彼鈍ではありますが、これからもこの作品とデビルズ・リバースをどうか暖かい目で見守っていてくれると私目も幸せでございます。
それではまた次の掲載で。
か、感想なんて……ぜ、全然ほしくなんかないんだからねっ!!(PS.悪ふざけが過ぎました。なので、どうか嫌いにならないでください(震え声))
平成25年3月16日掲載