~第11話~彼はまだ彼女の本性にも気付かない
『到着っと………まだ、来てないわね』
アリシアは集合時間の30分前にミートランドの入り口前に到着した。
『……ちょっと早すぎたかしら』
ミートランドの入り口前の時計灯に背中を着けて、時計を見て時間を確認する。
『……レイジから見て、今の私ははしゃぎすぎに見えるのかしら』
なんだか落ち着かない様子なアリシアは手をそわそわしながら待ち人のことを考える。
『~~~~…で、でも!待ち合わせなんだから待ち合わせ時間よりも早く来るのは当然のことよね!!』
と、そわそわするのが恥ずかしくなってきたアリシアは言い訳がましく独り言を言う。
『そもそも私じゃなくて男のレイジが先に来るのが普通じゃないのかしら』
そう考えてみるとなんだか腹が立ってきた。
『レイジが早く来ないのが悪いのよ!!そうに決まってるわ!!』
アリシアはレイジよりも早く来たことに恥ずかしく思えてきて、どうにもならないこの恥ずかしさをまだここには来ていないレイジにぶつけることにした。
そんなことをしていた私は私に近づいてくる人影に気付かなかった。
『……あれ?堺さんどうしたのこんなところで?』
『!?』
アリシアは一瞬で話しかけてきた方向に目を向けると、その人影は同じクラスメイトの女の子の天海さんだった。
『あ、天海さん!?な、なんでここに!?』
アリシアは分かりやすいぐらい天海さんが来たことに動揺してしまった。
そんなアリシアを見た天海さんが首をかしげた。
『どうしたの?そんなに動揺して?』
『え!?な、なんでもないですよ!そ、それより天海さんは何処かへ行くの?』
アリシアは動揺しつつも気をどうにか落ち着かせて口を開いた。
『私?私は今から商店街行こうかな~って思って……と、それよりさ♪さっきも聞いたけど堺さんはどうしたのこんなところで?誰かと待ち合わせとか♪』
ギクッ、とアリシアは心の底で思ってしまった。
『……天海さんって案外鋭いのね……これからは気を付けなきゃいけないわね』
『何?』
聞こえてはいないと思っていた独り言に気付た天海さんが話しかけてくる。
『や、なんでもないなんでもない!!た、ただの独り言よ!!気にしないでいいから』
『そう?それならいいけど……。でさ、なんでここにいるの?誰と待ち合わせなの?』
『そ、それは…その……──あ!そうそう、えとね!!今日は聖夜祭準備の為の打ち合わせをするのよ』
『へえ~休日なのに大変だね』
『そんなことないわよ。自分で立候補した聖夜祭実行委員長だもの、するからにはしっかり委員長を勤めなきゃね』
『私には出来ないな~。堺さん頑張ってね』
ニコッと笑顔で言ってくれる天海さんにアリシアは正直にとても嬉しくなった。
『天海さんありがとう』
『エヘヘ♪そう言われるとちょっと照れるかな───て、そんなことはどうでもいいよ!聖夜祭の打ち合わせなのはわかったけど、誰と待ち合わせしてるの?そろそろ教えてよ!……あ、でもお礼言われたのは正直に嬉しかったからね』
天海さんは次こそはと言うようにアリシアに詰め寄る。
すると、アリシアは困ったような顔をしたが、誤魔化しつつも観念して口を開いた。
『待ち合わせをしている人は───』
・・・・・・
商店街を歩いてミートランドに行く途中で、恋士は三咲ちゃんの家に顔を出した。
『おばさんこんにちは』
『ありがとうございました~♪……あら?恋士君こんにちは。今日はどうしたの?買い出し?』
店に買い物に来ていたお客さんに御礼を言った後に、恋士に気付いた三咲ちゃんのお母さんこと八百屋のおばさんが笑顔で近づいてきた。
『いえ、今日は聖夜祭準備の為の打ち合わせに今から行くんですよ』
『そうかいそうかい♪それは難儀だね~♪』
肩をすくめて言う恋士に笑いながら言ってくる八百屋のおばさんはいつもこんな感じで、今日も元気だった。
『そんな元気のない恋士君には元気になる物をプレゼントしてあげるわよ♪ちょっと待ってなさいね』
八百屋のおばさんが家の中に入っていき数分後、出てきたと思ったら、なにやら前にも見たことがあるキャラクター物を持ってきた。
『はい、恋士君にはこれをあげるわよ』
恋士は今度はなんだと思い八百屋のおばさんが持ってきたキャラクター物を凝視する。
『タヌキ、ですよね?』
『どうみてもタヌキじゃない。はいあげるわよ』
八百屋のおばさんは恋士の掌に小さな布袋に入っているタヌキの何かをくれた。
『あ、ありがとうございます。でもこれってタヌキのなんなんですか?』
掌にあるタヌキのキャラクターの何かを見やる。
『それはタヌキマニアのなかじゃ有名な狸神社にあるタヌキの御守りよ』
狸神社?…そんな名前聞いたことないぞ。
恋士は一人悩みながら八百屋のおばさんに尋ねた。
『御守りなのはわかりましたけど、この御守りにはどんな御利益があるんですか?』
恋士はこの事が凄く気になっていた。
狸神社って名前なんだ、それはそれはとても良い御利益があるに決まっている…恋士はそう信じずにはいられなかった。
『御利益が…ねぇ…あると言えばあるけど…聞きたい?』
『ええ、ええそれは勿論ですよ!!聞かないとこの後の打ち合わせに支障を来すぐらいに!!』
恋士は真剣に気になったので八百屋のおばさんに聞く。
『わかったわ…そこまで気になるんだったら教えてあげる……それはね───』
・・・・・・
『ふぅ、恋士君も男になったね~♪』
八百屋のおばさんは店の野菜を並べ直しながら恋士ことを考えていた。
『あれは、絶対に〝デート〟と見たね』
恋士君の服装を見ると、一見普通の外用の服装だったけれど、場所が場所だけに間違いはないだろう。
さっき恋士君に場所を聞いたときは驚いた。
『まさか、ミートランドだとはねぇ…』
ミートランドは昔から色々な色恋で有名で、ミートランドに男女で一緒に行って、とある場所でお互いに想いを伝え合うと、その二人は永遠に結ばれる……なんて都市伝説級の話が本当に実在するのがミートランドの凄い所でもあるし、実際アタシら夫婦もミートランドのあの場所で(・・・・)……て、この話はしなくて良かったわね。
そんな独り言を言っていると店の中からひょこっと一人の女の子が出てきた。
『母ちゃんおはよう~…ご飯は~…ファァ~…』
目を擦りながらご飯を求めてくるのはアタシの一人娘の三咲だった。
『今さら起きたのかいあんたって子は』
『別に良いじゃん。今日は休みなんだしさ~…』
『……はぁ……全くあんたってどうしてこうもタイミングが悪いのかねぇ』
欠伸をしながら言う三咲にアタシはため息混じりに言った。
『……どう言うこと?』
欠伸混じりにアタシに尋ねてくる三咲。
『…あんたが出てくるちょっと前に恋士君が来てたのよ』
再び野菜を並べ直しながらアタシは三咲に説明してあげた。
『……それ…マジ?』
『こんなことで嘘なんかつきゃしないよ』
首をふりながらアタシはあきれていた。
『か、母ちゃん!!どうして教えてくれなかったのさ!!』
『仕事してんだから、起こす暇なんかありゃしないよ。それにその格好を恋士君が見たらどう思うかね』
アタシは三咲の服装を見やる。
『な、なに?』
三咲は、アタシの目が自分の服装を見ていることに気付いて、バッと両手で自分の服装を隠す。
だけど、隠しきれるはずもなく、アタシはそのまま指摘する。
『あんたね、恋士君がいつ来るかもわからないのに〝ジャージ〟で店に出てくるなんて…見ててこっちが恥ずかしくなるわよ』
片手で顔を押さえる。
三咲の今の服装は年相応の可愛いパジャマ姿ではなく、白のラインの入った緑のジャージ姿…簡単に言うと地味娘姿で、家にいるときはほとんどこの格好で過ごしている。
『べ、別にいいじゃん!いつどこでどんな格好をしていようとあたしの勝手でしょ!……そ、それに恋士さんにはこんな格好は絶対に見せないからもし、さっきバッタリ逢ったとしてもすぐさま店から出てたから大丈夫だもん!!』
と、残念な胸を張る我が娘にアタシはまたもため息をついてしまう。
『全くこの子って子は…恋士君の前では〝良い子設定〟なんだから』
『設定ゆーな!!恋士さんの前でのあたしは素直で可愛い女の子なの!!』
『でも、そんなこと言って恋士君からは良い子に見られているけど、本人は嫌われてるって思ってる見たいじゃない』
アタシの見た限りではそう見える。三咲は変に良い子になりすぎたせいで、恋士君には〝自分は三咲ちゃんに嫌われている〟なんて思われる始末。
アタシも少しは三咲の恋には協力したい気持ちはあるんだけど、本人がこれじゃ…ねぇ?。
協力しようと思ってもする気が起きなくなるってもんさ。
『……なに母ちゃん』
『……いや別に──あら?あれは椎名さんところの雅ちゃんじゃない?』
『え?……あ、ホントだ。雅さ~ん』
『…………』
三咲が遠くにいる雅ちゃんに声をかけたが反応を見るに全く気付いていない。
『『?』』
気付いていない雅ちゃんをアタシと三咲の二人で見やる。
『……ちょっとあたし行ってくる』
『…わかったけど、その前にあんたその格好のままで行くの?』
『別にジャージなんだからこの格好で出歩いたって問題ないじゃん。それじゃ行ってくるね』
アタシの補足も聞かずに三咲は雅ちゃんのところまで走って行ってしまった。
『……さっきあんなに恋士君には見せないって自分で言ってたのに、あっちに行ったら恋士君に会うんじゃないかしら?』
アタシは普通にそう思った。
『……まあ、あの子が自分であの格好のままで行ったんだから、アタシが心配してあげることもないわね……さ~てっと、仕事するかね♪』
アタシは雅ちゃんを追いかけていく三咲を遠くから見つめた後、仕事に戻るのだった。
to.be.continued……
お久し振りです、または初めまして勇者王です。
まず始めにこの作品をお読みになってくれている皆様へ。
この度は投稿が遅れてしまって本当にすみませんでした。
実は9月13日に投稿する予定だったんですが、運悪く学校でケータイを先生に見つかってしまいケータイを没収されてしまい投稿ができませんでしたのでこんなに遅くなってしまいました。
本当にすみませんでした。
ですが、今は無事ケータイも戻ってきて投稿ができた所存です。
さて、謝罪をもっとするべきなのですが、あまり謝罪だけしてもあれなんで謝罪はここまでにしたいと思います。
話を切り替えて〝彼はまだ彼女の想いに気付かない〟略して〝彼鈍〟第11話を投稿させてもらいました♪。
お読みになった読者様はわかると思いますが、『あれ?次回予告(仮)と違うくね?』と思っているんではないでしょうか。
でも、よく見てくださいね次回予告を!!
〝次回予告(仮)〟ですからね!(仮)!!
でも安心してください。次回はその次回予告(仮)の内容が出てきますので。
それと、今回の回に天海さんがまた出演しました♪。いや~まさか自分でも天海さんをこんなところで出すなんて予想外でした(笑)。
前々回までが花怜過去編だったので忘れているかたがいてもおかしくない出演の少ない天海さんですが、これからはちょくちょく出していきますので天海さんにこうごきたい、です!!(自分も少し前までは天海さんのこと忘れてました(笑))。
と、ここまでが今回の感想にして、ここからは読者の皆様にお願いがあります!!。
『どうか…どうか感想をください!!』
こう言うと大抵の人がこう言うんですよね。
『は?お前の書いてる小説なんて感想を書く価値すらねえよ』と。
えぇ、わかっていますよそりゃあ…でも、でもですね。やっぱりほしいじゃないてすか感想♪。
いつも他の人の作品を観察していて思うんです。
『感想あっていいな~…』って。
ですから、面倒でなければでいいので感想をくれると凄く嬉しくなります。
どうかよろしくお願いします。
(あ、でも悪い点ばっかり書かれると、心弱いのでガチで凹むんでお手柔らかにお願いします(笑))
と、このぐらいですかね今回は。
あ、ちなみに今回は次回予告(仮)はありませんのでそのつもりで。
また今回のように次回予告(仮)にも関わらず最後の最後しか次回予告(仮)に触れないという始末…なので今回書きませんすみません。
それではこんくらいにしておきましょうか♪。
と言いたいところですが、まだありましたよ大事なことが。
なんとなんと!!〝彼はまだ彼女の想いに気付かない〟略して〝彼鈍〟のお気に入り登録者数がなんと30人になりました~♪パチパチパチパチ♪
やっと…やっと30人ですよ。
長かったです、本当に。
これも彼鈍を読んでくださっている皆様のおかげでございます。
この調子でめざせ!!お気に入り登録者数100人いけるかな?を目標に頑張りたいと思います。(まあ、主に自分の欲の塊の小説なんですけどね(笑))
それでは本当に最後に謝辞を。
始めてお読みになってくれた読者の皆様、またここまでお付き合いくださってくれている読者の皆様、誠にお読みになってくれてありがとうございます。
これからもこの作品を暖かい目で見守っていてくれると私目も幸せでございます。
それではまた次の投稿で。
(感想をよろしくお願いしますね!!)
…………あ、また経済的な話するの忘れた…ま、いっか♪。
平成24年9月25日掲載