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~第9話~○○○○の彼は彼女との想い出には気付かない

『記憶障害?』

『はい。ですが、分かりやすく言うなら〝記憶喪失(きおくそうしつ)〟と言った方がいいですね』

医師が冷静に説明をしてくれる。

今私達は恋士(れいじ)くんが事故でうけた障害のことを医師から説明をうけていた。。

『で、でも…先生』

『はい?何でしょうか』

恋士くんのお母さんが先生に疑問に思っていることを口にした。

『先生…今、記憶喪失とおっしゃいましたけど〝私や(みやび)ちゃんのことは〟忘れてませんよ…ねぇ、恋士?』

『うん、忘れてなんかいないよ』

れいじくんは当たり前のように口にする。

『だったらなんで…』

と、れいじくんのお母さんは私をチラッと見るなり医師に問いかけた。

『その…花怜ちゃんのことは忘れているんですか?』

そうなのだ、今私達が医師から説明されているのは記憶喪失といっても少し変わった記憶喪失(・・・・・・・・・・)らしく、私のこととここ最近起きた出来事全部をれいじくんは忘れてしまっているらしい。

『これはあくまで私の推測ですが、車に引かれる寸前に最近起きたことを思い出しながら、〝守りたい〟と願う思いが強すぎた結果、車とぶつかりその記憶がどこかえ消えた…もしくは、思い出せない状態になったと考えられますな』

医師は推測を説明をしてくれた。

強い思い。

れいじくんは私を助けるのに一生懸命だった。

今の私ならそれがれいじくんの優しさなんだってすごくわかる。

でも、それなのに…よりにもよって私のこと忘れてしまうなんて…やっとれいじくんの名前を知れて、あとは私の名前を彼に教えるだけだったのに…。

そんな私に気づいたのか、(みやび)さんが私に話しかけてきた。

『か、かれんちゃん大丈夫だよ!!きっとれいじくんは思い出してくれるから』

『…………………………ありがとうございます……』

少し落ち込みながらも雅さんが(はげ)ましてくれたので返事をした。

でも、やっぱり辛いものは辛い。

ここにいても辛いだけなので帰ろうとベッドの隣にある椅子から腰をあげようとした時、急に立った私にめをやったれいじくんが話しかけてきた。

『もうかえるの?…えー…と、かれんちゃんだっけ』

『…………』

顔をかきながら聞いてくるれいじくんに私はなにも答えられない。

そんな二人をみたれいじくんのお母さんはれいじくんの頭を叩いていた。

『こら!!デリカシーがないのあんたには!!…………ごめんね花怜ちゃん、れいじがこんなになっちゃって』

『…いえ、わたしはへいきですので───』

次の瞬間私はれいじくんから逃げるようにして病室から出ていった。

『あ、かれんちゃんまって────』

雅さんの制止の声が聞こえたけど、それを無視して走り去ったのだった。

・・・・・・

『……ここに、いたんだ』

病院の屋上にある手摺(てすり)を前にしてかれんちゃんが空を見上げていた。

『……みやびさん』

かれんちゃんは私に気づいてこちらに顔を向けた。

『かれんちゃん、このままでいいの?』

私は当たり前のように質問した。

『…それは…でも、れいじくんはもう…』

かれんちゃんは顔を伏せながら手摺に体を預ける。

『……かれんちゃん』

そんなかれんちゃんに私は緊急治療室(きんきゅうちりょうしつ)の前で言ったように真剣にかれんちゃんの方を向く。

『……私とれいじくんは小さい頃からずっと一緒で…簡単に言えば〝幼馴染み(おさななじ)〟でね、何をするにも一緒だったの』

私は今までのれいじくんとのことを語ることにした。

『そんな日常がお互い当たり前のようにも思えたし、本当のこと言うと私自身楽しかった。でもね……』

と、私は少しだけ(くちびる)を噛み締めて続きを口にする。

『ある日かられいじくんが一人で外に出掛けることが増えたの』

『……!?』

かれんちゃんは(うつむ)かせた顔を上げて、こちらの話に耳を傾けてきた。

『いつもは〝どこいこっか?〟ってお互いに決めていつも遊んでたのに最近になっていきなり〝ちょっとでかけてくる♪〟って……ねぇ、かれんちゃんならこの理由分かるよね』

『それは……』

『…ふふ♪そんなに口ごもらなくてもいいのに』

私は苦笑しながらかれんちゃんに問う。

『…………わたし…ですか?……』

『……!?……そう、よ…』

かれんちゃんの答えに対して少しだけ、ほんの少しだけ胸の奥がズキリ、としたのを私は気づいた。

けれど、今はそれを押さえてかれんちゃんを(なぐさ)める。

『…だから、ね。かれんちゃんは今のれいじくんになにができるか考えないといけないの』

『かんがえる、ですか……』

かれんちゃんは顔を伏せて、真剣に考え始めた。

私は考えているかれんちゃんを待つことにした。

多分、数分間しかたっていないだろうけど、だけど私には何十分にも感じた。

『……わかりました』

すると考えがまとまったのか、かれんちゃんは考えていたのをやめて、顔を上げた。

そんなかれんちゃんに私は問いかける。

『……考え、まとまった?』

『はい、まとまりました。でも……いまはれいじくんにはあいません』

『え?どうして?』

『それは……いまのれいじくんはわたしのことをわすれていますから』

私はかれんちゃんが何を考えているのか、正直なところ全くわからなかった。

そんな時だった。

屋上の扉がキィッ、と開く音がした。

『…!?………おとうさま、どうして!!』

かれんちゃんが動揺を隠せないほど、動揺しているのが私にはわかった。

『…帰るぞ。上部(うわべ)

『は。かしこまりました』

すると、スタスタと黒い執事服をきた老人がかれんちゃんの目の前までやって来た。

『花怜さま、帰りましょう』

『……上部、どうして…』

かれんちゃんはまだ動揺している。

『すみません花怜さま。実は数日前から花怜さまが習い事に来ていないと先生方から連絡をいただいておりまして、それが旦那様の耳に入ってしまい、このような処置をとることに』

黒い執事服をきた老人が申し訳なさそうにかれんちゃんに言う。

『わたしの力ではここまでの時間が限界でございました』

黒い執事服をきた老人はかれんちゃんに頭を下げた。

この人、知ってて黙ってたんだ…かれんちゃんのために。

『……ありがとう、上部』

かれんちゃんは上部という黒い執事服をきた老人にてを引かれて屋上の扉まで歩く。

その時、上部という黒い執事服をきた老人が私の方を見て軽く一礼した。

『…花怜さまのこと、ありがとうございました』

『……い、いえ…こちらこそ…』

私も頭を下げる。

そして、かれんちゃんはれいじくんに会わず、そのまま病院を後にしたのだった。

・・・・・・

夜8時を回った頃。

一台の(リムジン)が大通りの道を走っていた。

そして、その車の中には私とおとうさまと上部が乗っていて、上部は運転をし、私とおとうさまは後ろに乗っていた。

『……花怜』

おとうさまは冷たい(ひとみ)でこちらを見る。

『……今日のことだが、不問にしよう』

『……!?…いいのですか、おとうさま』

私はおとうさまの言葉に少し驚いた。

あのおとうさまが簡単に許してくれるなんて。

私は心の中で嬉しく思った。

『だが、一つだけ条件がある』

しかし、次の瞬間おとうさまがなにもなしに許してくれるはずもなかった、と私は改めて感じるのだった。

『あの子…恋士君と言ったか、あの子には金輪際会わない(・・・・・・・・・・・・)と約束してもらう』

『!?』

『どうした?怒らない代わりにあの子とは二度と会わなければいいだけだ。簡単なことだろう』

『そ、それはどういうことですか!!』

今までおとうさまの話をずっと聞いていたが、さすがにこればかりは反論せずにはいられなかった。

『花怜。よく考えてみなさい』

反論した私におとうさまは冷静に説明を始めた。

『恋士君は今、一部損傷の記憶喪失で病室にいるんだろう。その記憶喪失の原因を引き起こしたのは、他でもない花怜……お前だろう』

『そ、それは!……で、でも、でもでもでもでも!!』

こんなにもおとうさまに反論したのは私の知る限り、一度もない。

それほどまでに私の中でれいじくんは大切な存在だと、改めて認識させられる。

そんな始めて駄々をこねた私におとうさまは少し驚いていたけど、すぐにいつもの冷たい瞳に戻り、声音を上げた。

『ワガママをいうんじゃない!!』

『!?…………はい…すみませんでした、おとうさま』

おとうさまの声音に驚いた私はなにも言えずに謝ることしかできなかった。

今後一切(こんごいっさい)あの子に会ってはならん…もし、また会うようなことがあったら、その時は…わかるな』

『…はい、おとうさま』

こうして私はおとうさまにあの(れいじくん)とは二度と会わないと約束(命令)をさせられた。

これが私〝ふじくらかれん〟と彼〝れいじくん〟との二度と有りはしない遠い日の(あわ)初恋(はつこい)の思い出だった。


to.be.continued……




























どうもはじめましてまたはお久しぶりです勇者王です。

まずは色々駄弁る前に一言。この度は掲載が遅れて誠にすみませんでした。遅れた理由は、この時期は就活やら進学やらテストやらで色々バタバタしてしまって気づいたら、もう一ヶ月切るじゃないか!!っということになりまして、遅れて掲載した所存であります。今の年度は去年より厳しいらしくてなかなかてがつけられませんでした。

あ、知ってますか。今いい大学に行って卒業した人の方が貧乏らしいです、と最近TVで言っていました。自分は正直なところ信じていいか信じないかと問われるとわかりません。昔では、進学できないから仕方なく就職しようという傾向が強かったのに、今ではその逆で、就職できないから進学しようという考えが一般的になっています。いったいこのように真逆になったのはいつからなんでしょうね?。

(話の続きは次回の〝彼鈍〟でするかも)

それでは、難しい話はこれくらいにして、〝彼はまだ彼女の想いに気付かない〟略して〝彼鈍〟の花怜過去編最終話を掲載しました。これで一様花怜と恋士との過去編は終わりです。

ふ~、これでやっと過去編終わったか~っと思っている人もいるでしょう。何を隠そう私めもその一員です(笑)。

この過去編が終わりを迎えたので、次は待ちに待った聖夜祭(せいやさい)の話に入ります。自分は結構楽しみでいますが、皆さんはどうですか?。

『どうせまた掲載遅いんだろう』

とか、思ってるんじゃないですか。そう思っている人に言いましょう。

『次の掲載はギリギリかまたは遅れます!!』

はい、わかってますよ。早く書かないとせっかく読んでくださっている読者さんに愛想をつかされるんじゃないか、って。でも、こればっかりは私にもわかりません。ですので、できれば皆さん願ってください。

『どうか、一ヶ月以内に掲載されますように』と。

自分も心の中でそう願っています。

(自分で言ってて何だか目からオイルが…)。

まあ、そんなこんなで、次回の〝彼鈍〟をお楽しみくださいますと光栄でございます。

それでは、最後に謝辞を。

この作品を読んでくださっているまたは始めての読者の皆さん、これからもこの作品を読んでくれることを切に願います。

なんか、長々としゃべってしまいすみません。

それでは、次回の投稿で。


平成24年7月15日掲載





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