表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

恐怖の山小屋

まあなんやな。やっぱり蝉といえば夏やな。ワイら蝉人間は冬も生き続ける。せやけど、やっぱり命の危険ってのはあるわけで…


これは去年の話なんやけど、仲間と冬山に食事に行ったんや。街ではあまり樹液が吸えなくてな。ところが吹雪に巻き込まれてしまって…夜になってやっと山小屋を見つけたんでそこで朝まで過ごそうと考えた。ニンゲンの気配もないしエエ感じの場所やったんや。

壁に隙間ができとったからそこからなんとか潜り込んだんやけど小屋の中は真っ暗や。手探りで探したけど寒さをしのげそうな落ち葉もない。いくらワイらが進化した種族とはいえ、このままでは凍え死んでしまう。

さらに眠気が襲ってきた。四匹で体を寄せ合ってたけど限界が近づいているのがわかる。さすがのワイも命の危険を感じてきた。


そのときにいいことを思いついたんや。

四匹がそれぞれ小屋の隅に座り、ゆっくり左回りに移動して、仲間を起こして回る。起こされたヤツは起こしたヤツと交替して次の角に向かう。

こうすればほんの少しウトウトしてもすぐに起こしてもらえる。お互いに声を掛け合って何とか朝まで耐えようと考えた。


「ホナいくで…ミン」

「次は俺だな……ミン」

「あれ…隅ってどこだ?」

「おい、早く位置につけよ」

「あ、ここだ。すまない」

「……ミン」

「ミン」


ワイらはひたすらこのゲームを繰り返していた。そしたら外が静かになっているのに気づいた。

「吹雪はやんだみたいやな。お前ら、体力は残っとるか?」

「大丈夫だ」

「よし、外に出よう。森に入ってあったかい場所を探すんや!」

ワイらは入ってきたときと同じ隙間を探した。冷たい空気が入ってくるその穴から脱出したワイらは一目散に森のほうへと飛んでいった。

そこで木の葉にくるまって難を逃れたっちゅうわけや。



(まあ、そんなわけで蝉人間にもいろいろ苦労っちゅうもんが…)

「おい」

(なんや?)

「その話…ちょっとおかしいぞ」

俺は紙に四角形を書いてアイツに説明した。

「お前がここから出発して、こっちに来るだろ。それから……」

(その通りや。なにもおかしいところは…)

「…で、四匹目が移動して、誰を起こすんだ?」

(せやから最初のワイを…あれ?)

「そうだ。その場所には誰もいない。四匹でこのゲームをやるのは不可能だ」

(いや、コイツがぐるーっとまわって…)

「だったら何か言うだろう。誰もいないとか、自分だけ倍進むとか」

(うーん)

「もしかして、何かいたんじゃないか?」

(いや、生き物の気配は全くなかったぞ)

「それじゃもしかして…」

(ひえっ!まさか…)


いつの間にか紛れ込んでいたものの正体。答えはひとつしかない。

「きっとその山小屋には幽霊が取り付いていたんだ」

(アホ!怖いこと言うな!)

「お前を起こした声は本当に仲間の声だったのか?」

(ん…たぶん。そんときは眠くてボーッとしとったからなあ)

「やっぱり怪しい。死んだ蝉の霊がお前たちのそばに…」

(うわあっ!それ以上言うな!そんなことない。何かの間違いや!)

「いや、間違いない。お前を連れて行こうと…」

(だあーっ、やめい!)

「なんだ、怖いのか」

(こここ怖くなんかないわっ!そっ、そこまで言うならホンマかどうか確かめに行こうやないか)



日曜日。俺はアイツに連れられて話に出てきた山に行った。

(ほんでココを抜けて…あった。あの山小屋や)

「普通の山小屋だな。こういう話だとその場所には何もなかったなんてのがよくあるパターンなんだが」

(だからなんにもないんやって。わかったか。さ、帰るで)

「おいおーい。それはないだろう」

(な、なんやっ)

「ここまで来て帰るなんて変だぞ。ちゃんと中を確かめないと」

(そっ、それはせんでええやろ。な。もう帰ろうや)

「確かめるって言ったのはお前じゃないか。ほら、行くぞ」

(わーっ、やめろ!引き返せ!)


丸太でできた古い山小屋。確かに人の気配はない。

ドアには鍵がかけられているわけでもなく簡単に開けることができるようだ。

「この中に霊がいるんだな」

(やめろ!襲われたらどうするんや!)

「人間には影響ないだろ」

(無責任なこと言うな!)

「さあ開けるぞ。せーのっ!」

(うわあああっ!オバケ怖いぃぃっ!)


バン。ドアを開けると小屋に日の光が差し込んだ。

小屋の中を見渡す俺。

「なるほど、そういうことだったのか」

(…あ、これは)

弱々しくアイツが安堵の声を上げる。

(はぁぁ、よかったあ~~)

「よかったでちゅねー。オバケじゃなかったでちゅよー」

(おちょくんな!ワイは最初っから全然怖くなんかなかったんじゃ!)

「さっき怖いって言ってたくせに」

(言ってない!)



この山小屋には幽霊なんていなかった。そして、アイツの言っていたことも本当だった。

確かにここなら四匹であのゲームをすることは可能だ。

なぜならこの小屋は…




床が三角形だったのだから。

ツイッターで意味怖(意味がわかると怖い話)が流行っていたので乗っかってみました。

元ネタからオチまで完全にパクリです。

途中で位置についた蝉が最初の位置にいればOKってわけ。


でも一号さんって本当にこんな風にビビリそうw

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ