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:『幼馴染の美少女を俺好みに着せ替えたら、学園最強になってしまった件について』  作者: Studio CoMind


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2/5

「Fランクの『着せ替え係』と笑われたので、幼馴染を暗殺者(アサシン)にしてみた」

「おいおい、嘘だろ? こいつらが『特待生』扱いだって?」

 学園の初日。

 配属された1年Sクラス(特進科)の教室は、俺たちが入室した瞬間、嘲笑の空気に包まれた。

 原因は単純だ。

 俺とリコが、入学試験のスコアを意図的に調整したからだ。

 生徒会長・東雲葵の計らいでSクラス入りしたが、表向きの数値は平凡そのもの。

「『身体強化』しか能がない筋肉女に、『衣装付与』とかいう家庭科レベルの男……。なんで俺たち名門の席に、こんなゴミが混ざってるんだ?」

 机に足を乗せて絡んできたのは、西園寺さいおんじレオ。

 大手魔導具メーカーの御曹司で、炎属性の上級ギフト持ちだ。取り巻きたちが追従してゲラゲラと笑う。

「……ねえケイ。私、ちょっと殴っていい?」

 隣でリコが拳を震わせている。

 だが、俺は冷静に彼女の肩を掴んだ。

「待て。ここで暴れたら退学だ。俺たちの『目的』を忘れたか?」

 その言葉に、リコが唇を噛んで俯く。

 そうだ。俺たちは、感情任せに動くわけにはいかない。

 俺たちには、這いつくばってでも金を稼がなければならない理由がある。

 ◇

 ――2年前の、あの冬の日。

 俺の世界は一度、崩れ落ちた。

 女手一つで俺を育ててくれた母さんが、突如として倒れたのだ。

 病名は『魔力溶解症候群』。

 体内の魔力回路が自身を蝕む難病で、治療には希少なエリクサーが必要だった。

 その額、一億円。

 高校生に払える額じゃない。絶望で目の前が真っ暗になった俺の手を、強く握りしめたのがリコだった。

『私が稼ぐよ』

 病院の白い廊下で、リコは泣きそうな顔の俺に、力強く告げた。

『私は頭悪いし、難しいことは分かんない。でも、体は丈夫だから。ハンターになって、魔物をいっぱい倒して、絶対におばさんを助ける』

『リコ……お前には関係ないだろ。命を懸けることになるんだぞ』

『関係あるよ! ケイのお母さんは、私のお母さんみたいなもんだもん! ……それに』

 リコは少し顔を赤らめて、俺の目をまっすぐに見た。

『ケイが悲しむ顔、見たくない。ケイにはずっと、私の隣で冷静ぶってカッコつけててほしいの』

 その時、俺は誓ったのだ。

 俺の全ての知略とギフトを使って、彼女を世界最強のハンターにすると。

 これは俺たちの、命を懸けた共犯関係だ。

 ◇

「おい無視すんなよ、貧乏人」

 回想から引き戻されたのは、西園寺の放った炎弾が、俺の頬をかすめたからだった。

 ジュッ、と髪が焦げる匂いがする。

「ケイ!」

 リコが叫ぶ。

「……あーあ。つまんねえ反応。おい筋肉女、俺の靴を舐めたら許してやるよ。お似合いだろ?」

 教室が静まり返る。

 リコが悔しさに涙目になりながら、それでも俺のために耐えようと膝を屈しかけた――その瞬間。

 俺の中で、何かが切れた。

「……リコ。立て」

「え? でも……」

「退学にはならないさ。正当防衛だ」

 俺は眼鏡を外し、胸ポケットにしまう。

 俺の母を侮辱されるより、俺のために耐えようとするリコの姿を見る方が、一億倍腹が立つ。

「西園寺、だったか。模擬戦デュエルだ。負けた方が相手の言いなりになる。それでどうだ?」

「ハッ! 雑魚が吠えやがって。いいぜ、その女諸共消し炭にしてやる!」


 実習室、結界が働いている中向き合っている。

 西園寺が全身に紅蓮の炎を纏い、Sランク級の魔力を練り上げる。

 対するリコは、制服姿のままおろおろしている。

「ケ、ケイ! どうするの!? あんな高火力、私の『身体強化』じゃ近づく前に燃え尽きちゃうよ!」

「問題ない。……リコ、俺を信じろ」

 俺はリコの背中に手を当てた。

 今回は「変身」のエフェクトを見せるわけにはいかない。

 だから――『インナー』を変える。

展開ドレス・アップ――『影縫いのレオタード』」

 魔力は制服の下、リコの肌に直接作用した。

 今、彼女の下着は魔力構成された漆黒のボンテージ・スーツに置換されている。

 機能は『気配遮断』と『超加速』。

「ひゃうっ!? な、なんか制服の下がすごい締め付けられて……スースーする!?」

「我慢しろ。そのスーツは摩擦係数をゼロにする。今のリコは、炎の揺らぎよりも速い」

「死ねオラァ!!」

 西園寺が極大の火球を放つ。教室を焼き尽くすほどの熱量。

 だが。

「行け」

 俺が囁いた瞬間。

 ヒュン。

 風すら起きなかった。

「は?」

 西園寺が間の抜けた声を出す。

 目の前にいたはずのリコが消え、放った火球は何もない空間を通り過ぎて壁に衝突した。

「ここだよ」

 冷ややかな声は、西園寺の背後から聞こえた。

 リコが、西園寺の首筋に手刀を突きつけていた。

 制服のスカートがふわりと遅れて揺れる。それほどの神速。

「な、いつの間に……!?」

「ケイが言った通りだもん。『炎の揺らぎより速い』って」

 リコは、俺に向けられた信頼と同じ強さで、西園寺を見下ろした。

「あんたがどんなにすごくても関係ない。ケイが私をデザイン(プロデュース)する限り、私は誰にも負けないから」

 ドンッ!

 軽いデコピン一発。それだけで西園寺は吹き飛び、黒板にめり込んで気絶した。

 静寂。そして、クラス中から湧き上がる驚愕と畏怖の視線。

「……はぁ。やりすぎだ、リコ」

「だって! ケイのこと馬鹿にするから!」

 ◇

 放課後。

 夕焼けに染まる屋上で、俺とリコは二人並んでフェンスにもたれていた。

 騒ぎは生徒会長の一言で不問となった。

「……ごめんね、ケイ。初日から目立っちゃった」

「まあ、必要なデモンストレーションだったと思おう。これで変な虫もつかない」

 俺が苦笑すると、リコがもじもじと制服の胸元を抑えた。

「で、でもさ……この『影縫いのレオタード』いつ消してくれるの? ずっと着てるの恥ずかしいんだけど……」

「あー、忘れてた」

 嘘だ。

 実は、制服の下で恥じらうリコの表情が可愛すぎて、解除するのを惜しんでいただけだ。

「……リコ」

「ん?」

「ありがとうな。あの時、俺のために怒ってくれて」

 俺の言葉に、リコはきょとんとした後、夕陽よりも赤く頬を染めて、ふわりと笑った。

「当たり前でしょ。私たちは『共犯者』なんだから」

 リコの手が、そっと俺の手に重なる。

 柔らかくて、でも剣ダコのある、戦う少女の手。

「絶対に、おばさんを助けようね。……それと、」

「それと?」

「私のこと、世界一可愛くて強いお嫁さんにしてくれなきゃ、許さないんだからね」

 最後の方は蚊の鳴くような声だったが、俺の耳には痛いほどはっきりと届いた。

 心臓が早鐘を打つ。

 分析スキャンするまでもない。俺の心拍数は、完全に許容範囲を超えていた。

「……善処する」

「もう! そこは『はい』でしょ!」

 夕陽の中、俺たちは笑い合った。

 1億まで遥か遠い目標。

 だが、この最強で可愛いパートナーがいれば、不可能なことなど何一つない気がした。

 俺たちの「カネ」と「恋」をかけた戦いは、まだ始まったばかりだ。

少しでも「面白かった!」「リコ可愛い!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、

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