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:『幼馴染の美少女を俺好みに着せ替えたら、学園最強になってしまった件について』  作者: Studio CoMind


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1/5

「遅刻しそうなので、ちょっと本気出します」

「おいケイ! 急がないとマジで遅刻するってば!」

 春の陽気が降り注ぐ通学路。

 桜並木を切り裂くようにして、俺の幼馴染――夏目なつめリコが駆け抜けていく。

 輝くような明るい茶髪のショートカット。制服のスカートを翻し、健康的な太ももを惜しげもなく晒して走る姿は、まさに『活発系美少女』の具現化だ。

「リコ、落ち着け。今のペースなら、試験開始の15分前には到着する。心拍数を無駄に上げるな」

「あんたが冷静すぎるのよ! 今日は『ギフテッド・ハイスクール』の入学試験だよ!? 人生かかってるんだから!」

 俺、相馬そうまケイは、眼鏡の位置を指先で直しながら、ため息をついた。

 俺たちの目標は、この国最高峰の能力者育成機関に入学し、最短でプロハンターのライセンスを取得すること。

 そして、重病の母さんの治療費を稼ぐために、億単位の金を稼ぐことだ。

 だが、俺たちの焦りは、凡人のそれとは少し違う。

「……ねえケイ。もし合格したらさ、約束通り焼肉奢ってよね?」

「ああ。特上のカルビを腹一杯食わせてやる」

「やった! ケイ大好き!」

 無邪気に笑うリコ。

 俺はこの笑顔を守るためなら、悪魔に魂を売ってもいいと思っている。

 いや、実際には魂ではなく、もっと別のものをリコに捧げさせているわけだが。

 その時だった。

 ズゥゥゥゥゥゥン……!!

 突如、空間が歪むような重低音が響き渡り、俺たちの目の前――学園へと続く大橋の中央で、アスファルトが爆散した。

 噴き上がる黒煙。周囲の受験生たちが悲鳴を上げて逃げ惑う。

「な、なんだあれ……!?」

「『ゲート』の自然発生……いや、災害級カラミティか」

 黒煙の中から姿を現したのは、全長10メートルを超える巨体。

 全身が黒い金属質の鱗に覆われた、二足歩行の竜――『鉄甲竜アイアン・ドラゴン』だ。

 本来なら、プロのハンターが小隊を組んで挑むレベルの化け物である。

「うわ、マジかよ……試験前にこんなのと戦うの?」

 リコが顔を引きつらせるが、その瞳に恐怖の色はない。あるのは「面倒くさい」という感情だけだ。

 俺は腕時計を確認した。

 現在時刻、8時45分。

 迂回ルートを使えば30分のロス。試験には確実に遅刻する。

「……リコ」

「ん?」

「迂回は却下だ。突破するぞ」

「ええー……このまま行ったら制服ボロボロになるじゃん。私のギフト『身体強化』だけじゃ、あの鱗を殴ったら手が痛いし」

 リコのギフトは単純な『身体強化』だ。

 素の身体能力は高いが、鉄甲竜のような「物理耐性」の塊みたいな相手とは相性が悪い。普通の受験生なら、ここで詰んでいる。

 だが、俺がいる。

「リコ。俺のギフトを使う」

「えっ、ここで!? 人目あるよ!?」

「背に腹は代えられない。それに、通常装備で戦っていたら時間がかかりすぎる。……『最速』で終わらせるぞ」

 俺は眼鏡の奥の瞳を細め、リコの全身をスキャンした。

 骨格、筋肉の張り、今のバイタル、そして恥じらいによる体温の上昇。

 全てを理解インストールする。

 俺のギフトは『衣装付与ドレッサー』。

 俺が深く理解した人間に、魔力で織り上げた「概念武装」を着せる能力。

 理解度が深ければ深いほど、その衣装は強大な力を発揮する。そして俺は、リコの身体のホクロの数まで知っている。

「い、いいけど……! 今日はどんなやつ!? また変なコンセプトじゃないでしょうね!?」

「安心しろ。相手は硬い。だから『貫通力』と『瞬発力』に特化した。空気抵抗を極限まで減らし、魔力伝導率を最大化したデザインだ」

 もっともらしい理屈を並べる。

 嘘ではない。嘘ではないが――俺の趣味ヘキが9割だとは言わないでおこう。

「いくぞ、リコ」

「もうっ、ケイのえっち! 信じてるからね!」

 俺は指を鳴らした。

 「――展開ドレス・アップ

 カッ! とリコの身体が光に包まれる。

 制服が魔力の粒子となって霧散し、瞬時に新たな衣装が再構築される。

 光が収まった時、そこに立っていたのは、一人の『聖騎士』だった。

 ただし。

 白銀の甲冑は肩と腕、そして太ももの一部を守るのみ。

 胴体部分は、肌にぴったりと吸い付くような白のハイレグ・レオタード。

 その上から、腰のラインが丸わかりになるほど深いスリットが入った、半透明の聖布スカートが揺らめいている。

 防御力? 知らない。

 重要なのは、リコの鍛え上げられた肢体美と、絶対領域の輝きだ。

 そして、その背中には光の翼が生えている。

「ちょ、ちょっとケイ!? これ、お尻のラインですぎじゃない!? スースーするんだけど!!」

 顔を真っ赤にして抗議するリコ。

 だが、その身体からは、先ほどとは比較にならないほどの膨大な魔力が溢れ出している。

「『聖騎士パラディン・ヴァルキリーモード』だ。その布面積の少なさは、魔力放出の効率化のためだ。……似合ってるぞ、リコ」

「うぅ……ケイにそう言われると、断れないじゃん……バカ!」

 リコが覚悟を決めたように前を向く。

 その瞬間、彼女の雰囲気は「可愛い幼馴染」から「戦場の女神」へと変貌した。

 鉄甲竜が咆哮と共に、丸太のような腕を振り下ろす。

 だが。

「――遅い」

 ドンッ!!

 足元のコンクリートが踏み込みだけで陥没した。

 次の瞬間、リコの姿は消えていた。いや、速すぎて目視できない。

 すれ違いざま、リコの右脚が閃光のように跳ね上がる。

 レオタード越しに引き締まった臀部の筋肉が躍動し、白銀のブーツが鉄甲竜の顎を捉えた。

 ドゴォォォォォォン!!

 たった一撃。

 物理攻撃を弾くはずの鉄甲竜の首が、ありえない方向にねじ曲がり、巨体が宙を舞った。

 そのまま橋の向こう側、川の中へと豪快に吹き飛んでいく。

 轟音。そして静寂。

 リコがふわりと着地する。

 深いスリットから覗く白い美脚が、朝日に照らされて神々しいほどだ。

「……ふぅ。こんなもん?」

 リコが振り返る。

 周囲の受験生たちは、口をあんぐりと開けて固まっていた。

解除リリース

 俺はすぐに指を鳴らし、衣装を元の制服に戻す。

 リコが慌ててスカートの裾を直しながら駆け寄ってきた。

「もー! あんなの皆に見られたじゃん!」

「一瞬だ。誰も認識できてない」

「そういう問題じゃないの! ……でも、強かったでしょ?」

「ああ。最高だった」

 俺が頭をポンポンと撫でると、リコは「えへへ」と嬉しそうに目を細めた。

 チョロい。そして可愛い。

 俺たちは何食わぬ顔で、呆然とする群衆の中を歩き出した。

 ――だが。

 俺たちは気づいていなかった。

 その様子を、はるか頭上、校舎の屋上から見下ろしている人物がいることを。

「……面白い」

 学園の絶対王者。

 かつては無能と呼ばれ、今や伝説となった生徒会長――東雲しののめ葵だ。

 彼女は長い黒髪を風になびかせ、手すりに肘をついて笑みを浮かべていた。

 その瞳は、逃げ惑う生徒たちではなく、平然と歩く俺たち二人だけを捉えている。

「魔力を『衣装』という形で最適化する参謀に、それを躊躇なく受け入れて出力する筋肉バカ。……あれは、相当な『信頼』がないと成立しない術式ね」

 葵は楽しそうに目を細める。

「今年の1年は、退屈しなくて済みそう」

 ◇

「受験番号401番、相馬ケイ。402番、夏目リコ。……遅刻だぞ」

 試験会場の受付。

 強面の教師が俺たちを見下ろしていた。

 到着時刻は9時01分。わずか1分の遅刻。

「すみません、途中で事故があって……」

「言い訳は無用だ。時間は絶対――」

「通してあげなさい」

 凛とした声が響き渡る。

 会場の空気が一変した。

 教師たちが慌てて頭を下げるその先から、一人の女子生徒が歩いてくる。

 東雲葵、その人だ。

「せ、生徒会長……しかし」

「橋での騒ぎ、報告は入っています。彼らは避難誘導に協力していて遅れた……そうね?」

 葵が俺を見て、いたずらっぽくウインクをした。

 ……全部見られていたか。

 俺は内心で舌打ちをしつつ、表面上は殊勝な態度で頭を下げる。

「はい。その通りです」

「よろしい。特例で入室を認めます。……ただし」

 葵は俺とリコの横を通り過ぎざま、俺だけに聞こえる声で囁いた。

「(……次は、もっと可愛い服を見せてね? プロデューサーくん)」

 俺は背筋に冷たいものが走るのを感じた。

 リコは何も気づかず、「やったねケイ! ラッキー!」と小声ではしゃいでいる。

「……ああ、そうだな」

 どうやら俺たちの「実力を隠して平穏に稼ぐ」という計画は、入学初日から前途多難らしい。

 だがまあ、いい。

 リコが最強で最高に可愛いことだけは、俺が証明し続けてやる。

「行くぞリコ。実技試験、手加減して『Bランク』くらいを狙うぞ」

「りょーかい! ……でもさ、さっきの服、実はちょっと気に入ってたかも」

「……そうか。なら、次はバニーガール要素を入れてみるか」

「それは却下!!」

 騒がしい俺たちの、最強の高校生活が幕を開ける。

少しでも「面白かった!」「リコ可愛い!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、

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