第96話 空戦開幕――ドラゴン級魔導兵器迎撃戦
爆風が街を揺らす。
瓦礫が落ち、人々が悲鳴を上げながら逃げ惑う。
空には巨大な影――
黒鋼の翼を広げた魔導兵器“ドラゴン級”。
砲塔が回転し、狙いが再びミナへ吸い寄せられる。
《追跡ロック完了。
対象逃走不可。》
リアが叫ぶ。
「動きが速い……!
自律制御じゃない――誰かが遠隔で操ってる!」
ラウルが拳を構え爆笑する。
「よし! ぶっ壊していいんだな!!」
カイルは滑らかな動作で剣を抜く。
「ラウル、前に出すな。
リア、迎撃式の準備。」
ミナは息を吸い、胸へ手を置く。
「――リンク開始。」
その瞬間。
全員の魔力が繋がる。
共有される感覚、反応速度、意識の向き。
四人が、“ひとつの戦闘体”へ変わった。
◆▶ 第一フェーズ:砲撃回避
ドラゴン級の砲塔が火花を散らし――
「発射。」
――ズドォォォォン!!!!
光線が街路を抉る。
石畳が捲れ、爆風が建物を砕く。
だが四人は既に動いていた。
ミナ(共鳴)→敵の照準意図を先読み
カイル→最短ルートで軌道から外す
リア→バリア展開
ラウル→爆風の死角で跳躍
動きに迷いがない。
呼吸すら揃っていた。
◆▶ 第二フェーズ:反撃開始
リアの声が響く。
「座標確定――“魔弾展開”!」
空間に魔法陣が並び、光球が十、二十、五十――
一斉射撃。
ドラゴン級の装甲に衝突し、火花が散る。
だが――貫けない。
《防御層:破損率3%。
反撃プロトコル起動。》
砲口が4→8→16に増える。
リア「武装展開増加……!?」
ラウル「いや増えすぎだろ!!?」
ミナは強く息を吸う。
「大丈夫。
見える――どこが痛いか、どこが怖いか。」
彼女の視界に――
兵器内部の魔力回路が浮かぶ。
まるで敵そのものの心の形を覗くように。
◆▶ 第三フェーズ:弱点発見
ミナが叫ぶ。
「右後方の推進炉!
制御魔力が不安定、あそこ押せば止まる!!」
カイルは即座に動く。
地面を蹴り、瓦礫を踏み、屋根を駆け――
跳ぶ。
敵砲塔が追尾し狙撃に移る。
《追尾――ロック完了。》
ミナが共鳴し、叫ぶ。
「――やめて!!!」
ほんの一瞬。
砲塔の照準が揺れる。
その隙――
カイルが刀身を振る。
「虚断――二閃。」
風だけが鳴った。
次の瞬間。
推進炉が爆ぜ、巨大な機体が姿勢を崩す。
◆▶ 第四フェーズ:強制着地
ラウルが拳を構え、
「落ちろォォォォ!!!」
地面を踏み砕き跳躍。
拳が機体中央へ叩き込まれる。
――ギィィィィィン!!!!
鈍い音とともに機体が落下。
地面へ突き刺さり、衝撃波が走る。
dust settles.
◆▶ 最終フェーズ:中枢制圧
砕けた機体内部から、黒い魔力線が走る。
リアの顔が険しくなる。
「……制御中枢、まだ生きてる。
命令――“それでも取り戻せ”と。」
中枢の魔力核が伸び、ミナへ襲いかかる。
ミナ「来る……!」
だがその瞬間。
カイルがミナの前に立ち、剣を静かに振るう。
――ほとんど動きすら見えない。
光が裂け、核が断ち切られる。
中枢は沈黙した。
◆戦闘終了
街に静寂が戻る。
遠巻きに見ていた人々の視線が、
恐れから――敬意と畏敬へ変わった。
リアが息を整えながら言う。
「……完全勝利。」
ラウル「お疲れぇっ!!」
ミナは胸を押さえ、小さく笑った。
「……守れた。」
カイルは剣を納め、静かに答える。
「まだ終わっていない。
これはただの“呼び水”だ。」
そして遠くを見る。
砂漠の方角――
敵の“本体”が待つ場所。
呼ばれた土地。
“刻印の砂海”。
そこから黒い煙のような魔力が、
風に乗りこちらを向いていた。
──第97話へ続く




