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第219話 再編――静かに組み替わる手

静かな日は、長くは続かない。

包囲が解けて三日目、外の動きが整理され始めた。


まず、顔ぶれが変わる。これまで境界の外にいた者たちが引き、代わりに見知らぬ者が立つ。数は少ない。だが、立ち位置が正確だ。視線は散らず、距離は一定。試すための人員ではない。組み直しだ。


昼、外組から短い報せ。「連絡役が変わった」。肩書きは出ない。名も出ない。だが、話が早い。要求を並べない。条件を探る。ミナは答えを一つだけ返す。「越えなければ」。それで会話は終わる。終われる会話は、危険だ。


夕刻、境界の外で小さな訓練が始まる。刃は抜かれない。隊形だけを組み、解く。見せている。数は多くないが、動きが揃っている。カイルは動かない。動けば、焦りを与える。見せ合いの時間は、見せない方が勝つ。


夜、単独の影が現れる。越えない。距離の外で止まり、短く言う。「次は、無駄を省く」。意味は明白だ。消耗戦をやめ、一点に集める。質を揃え、時間を切る。勝てる形だけを持ってくるつもりだ。


ミナは帳簿を閉じ、配置を見直す。外組の動線、休息の間隔、交代の順。消耗を減らす。次は、短く重い。備えるのは量ではない。判断の速さだ。


深夜、境界杭の前。カイルは手を置く。「来る」。ミナは頷く。「でも、形は分かった」。分かれば、止められる。止められれば、続けられる。


遠くで、訓練が終わる音。

今日は越えない。

だが、次は越える。


線は変わらない。

越えなければ止めない。

越えたら止める。


静けさは、再編の音に変わった。

次は、短期決着だ。


ーー第220話に続く

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