第211話 混成――精鋭と数
朝の光が差し込む頃、森が動いた。
今度ははっきり分かる。混成だ。前に数、後ろに質。精鋭が数を盾にし、間合いを測る布陣。消耗を積ませ、最後に刺す。分かりやすい。だから、崩しやすい。
数が来る。十。走る。間合いが雑だ。カイルは前へ出ない。半歩下がり、通路を作る。踏み込んだ一人を受け、体を入れ替える。崩れた体が後続を止める。連鎖。三人が重なって転ぶ。立たせない。呼吸を奪う位置で止める。
その瞬間、後ろの精鋭が動く。二。静か。刃の角度が鋭い。狙いは首と膝。カイルは体を沈め、膝の線を外す。首への一撃を肘で弾き、間合いを消す。精鋭は下がる。賢い判断だが、遅い。体を回し、手首を叩き落とす。刃が地に落ちる。
もう一人が来る。フェイントからの突き。カイルは踏み込まず、受けて崩す。重心を見て肩を当て、地面へ。投げない。立たせない。数が戻ってくるが、足が揃わない。ミナの低い合図で足元が揺れる。半拍。十分だ。
残る精鋭が合図を切る。退く。逃げ道は一つ。追わない。戻す。数は混乱し、散る。短時間。終わり。
間を置かず、第二陣。今度は精鋭が前。三。後ろに数。八。質で押すつもりだ。カイルは中央へ。逃げ道を一つ残す。精鋭が踏み込む。越えた。止める。最短で中心を切る。腹。呼吸が止まる。崩れる。左右が遅れる。半拍。二人目を崩し、三人目の足を払う。後ろの数が詰まる。ラウルが道を塞ぎ、リアが距離を切る。セリアの眠りが一瞬、落ちる。十分。
撤退。
追撃なし。
死者なし。
しばらく、動きはない。評価の時間だ。こちらも動かない。呼吸を整え、体の重さを確認する。疲労はある。だが、動作は落ちていない。線は同じだ。
やがて、遠くで合図。今日はこれで終わりだ。混成は失敗した。数は減り、質は止められた。割に合わない。
村へ戻る。報告は簡潔。「混成二波、停止」。ミナは帳簿を閉じる。目は冴えている。「次は?」。カイルは答える。「一点突破」。どこか一箇所に、全力で来る。
境界杭は立っている。今日も越えられた。だが、すべて止まった。
次は、さらに重い。
それでも、線は変わらない。
ーー第212話に続く




