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第205話 内部疲労――断り続ける重さ

断りが増えると、疲労は外より内に溜まる。外組が持ち帰る報告は淡々としているが、同じ文言が続くほど判断は摩耗する。善意、肩書き、例外。形は違っても、断る結論は同じ。それが続く。


夕刻、集会は短かった。数字は安定、越境停止は減少、成立は小口のみ。成果は出ている。だが、声が上がる。「心が持たない」「冷たいと言われる」。正しさと持続は別の問題だ。ミナは記録を閉じ、視線を上げる。「交代を入れよう」。断る役を固定しない。判断は共有、表に出る役は回す。摩耗は分散できる。


カイルは補足する。「理由を言わない運用を守る」。理由は感情を呼び、感情は交渉を長引かせる。紙と動作で終える。線は短く引く。続けるための工夫だ。


外組の配置も見直す。見聞役と連絡役を入れ替え、護衛役は二人体制にする。止める動作は同じだが、止める人を替える。疲労は蓄積しない。リアが地図に安全点を増やし、セリアが休止の合図を決める。ラウルは時間制限を提案する。「一席十五分」。長居は判断を鈍らせる。


夜、ミナは一人で帳簿を見返す。数字は嘘をつかないが、心は消耗する。そこへ短い報せが入る。周辺の共同体で、条件運用が回らず崩れたという。理由は一つ。例外を作った。助けたつもりが、戻らなかった。ミナは欄外に書く。「持続が先」。


翌朝、外組は新しい運用で出る。断る役は昨日と違う。紙は同じ。動作も同じ。だが、顔ぶれが変わるだけで、空気が軽くなる。相手も測り直す。強度は、常に一定である必要はない。一貫性があればいい。


昼、最初の席で断りが入る。短く、静かに。次の席で成立が起きる。小口、即時。見聞役は深く息を吐く。続けられる。連絡役が記す。「時間内成立一件」。護衛役は肩を回す。止める回数はゼロ。疲労は少ない。


夜、村。ミナは集会で共有する。「断るのは、守るため。守るのは、続けるため」。拍手はない。だが、頷きが揃う。同意は静かだ。


カイルは境界杭を見て言う。「線は、人を削る」。ミナは答える。「だから、削りすぎない」。運用は人のためにある。今日の調整は、小さいが効いた。


外はまだ試す。だが、こちらは回し続ける。断り続ける重さは、分ければ耐えられる。それが、次へ進む準備だった。


ーー第205話に続く

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