表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

184/245

第184話 正義の代償――切り捨てられる現場

昼下がり。


行商が、

いつもより重い足取りで村へ入ってきた。


顔色が悪い。

目が、どこか焦点を失っている。


◆噂ではない、現実


焚き火の前。


行商は、

水を一口飲み――

震える声で語り出した。


「……西の集落……

懲罰隊が入った……」


空気が、

一気に張りつめる。


「盗賊と通じた疑い、だと……」


援助派の男が、

顔を強張らせる。


「……証拠は……?」


行商は、

首を振った。


**「……いらない、って……


“疑いがある”だけで……」**


◆“正義”の手順


行商の話は、

淡々としていた。


住民の武装解除


境界杭の撤去


指定された数名の拘束


抵抗した者への制圧


そして――


「……倉庫、

接収された……

冬前なのに……」


未定派の老人が、

目を閉じる。


「……生き残れん……」


◆切り捨てられた理由


拒否派の若者が、

低い声で問う。


「……なんで……

あの集落なんだ……?」


行商は、

答えた。


「……“従わなかった”から……」


沈黙。


**「……ここより、


弱かった……

それだけ……」**


その言葉が、

村に重く落ちる。


◆村の動揺


広場に、

怒りと恐怖が混ざる。


「……従っても……

切られる……?」


「……正義って……

誰の……?」


援助派の男が、

歯を噛みしめる。


「……あいつら……

正しい顔で……」


◆ミナの怒り


ミナは、

黙って聞いていた。


拳が、

白くなるほど握られている。


(……理屈で……

人を……

切る……)


その胸に、

初めて――

はっきりとした怒りが湧いた。


「……ひどい……」


声は小さい。

だが、

確かな温度があった。


**「……それは……


守る、じゃない……」**


リアが、

静かに言う。


「……秩序の維持、

という名の……

切り捨て……」


セリアが、

歯を食いしばる。


「……一番、

救いがないやり方……」


◆カイルの判断


カイルは、

村人たちを見回した。


恐怖。

怒り。

迷い。


すべてが、

混ざっている。


「見たな。」


静かな声。


**「これが、


国家の“正義”だ。」**


拒否派の若者が、

叫ぶ。


「……じゃあ……

どうすりゃいい!!」


カイルは、

即答しない。


だが――

ミナが、前に出た。


◆ミナの宣言


ミナは、

震えながらも、

はっきり言った。


**「……だから……


私たちは……

間違えない……」**


視線が集まる。


**「……力があっても……


切らない……

弱いからって……

奪わない……」**


援助派の男が、

声を震わせる。


「……それで……

守れるのか……?」


ミナは、

一瞬だけ目を閉じ――

答えた。


**「……守れない時も……


ある……」**


ざわめき。


**「……でも……


切らない……

選び続ける……」**


その言葉は、

綺麗ではない。

強くもない。


だが――

嘘がなかった。


◆選択の共有


未定派の老人が、

ゆっくり頷く。


「……それで……

後悔しても……

自分の後悔じゃ……」


援助派の男も、

拳を握りしめる。


「……切られるより……

選びたい……」


拒否派の若者が、

深く息を吐く。


「……なら……

最後まで……

付き合う……」


◆外の反応(伏線)


その夜。


王国の一部では、

「想定外の自治拡散」が報告される。


教会では、

「秩序外の倫理」が議題に上る。


帝国では、

影の男が短く記す。


「……比較対象、

成立……」


黒星会では――

アズリエが、

珍しく眉を寄せた。


「……怒りを、

飲み込んだか……」


◆静かな決意


焚き火の前。


ミナが、

小さく呟く。


「……怒ってる……」


カイルは、

隣で答えた。


「それでいい。」

**「怒りは、


選ぶ理由になる。」**


ミナは、

炎を見つめる。


(……次は……

逃げない……

黙らない……)



──第185話へ続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ