表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

181/234

第181話 報い――線を踏み越えた者

深夜。


村の入口に打たれた木杭が、

月明かりに照らされていた。


誰もいない。

風だけが、

乾いた音を立てて吹き抜ける。


――そのはずだった。


◆越境


ギリッ。


木杭が、

意図的に踏み倒された。


音は小さい。

だが、

“偶然”ではない。


見張り役が、

即座に合図を送る。


松明が二つ、

静かに掲げられた。


◆侵入者


三人。


黒い布で顔を隠し、

武器は短剣のみ。


狙いは明確だった。


――倉庫。

――物資。


そして何より、

**「ルールが本物かどうか」**の確認。


一人が、

小声で笑う。


「……何も起きねぇじゃねぇか。」


次の瞬間――


◆カイル、出る


影が、

音もなく背後に立っていた。


侵入者が振り向く前に、

拳が落ちる。


一人目、

即座に沈黙。


地面に伏し、

息だけが漏れる。


残る二人が、

慌てて距離を取る。


「……な、なんだ……!?」


月明かりの中、

カイルの顔が見えた。


表情は、

驚くほど静かだった。


「線、越えたな。」

◆短い戦闘


二人が、

同時に襲いかかる。


だが――

遅い。


一人の手首を折り、

短剣を落とさせる。


そのまま、

身体ごと地面へ叩きつける。


最後の一人が、

逃げようと背を向けた瞬間――


足が払われた。


地面に転がり、

喉に靴底が乗る。


◆裁き


男は、

震えながら叫ぶ。


「……ま、待て……!

ただの偵察だ……!」


カイルは、

力を込めない。


だが――

逃げ場も、言い訳も、与えない。


「偵察でも、侵入だ。」


男が、

必死に訴える。


「……殺さないって……

言ってたろ……!」


カイルは、

首を横に振る。


「殺さねぇ。」


安堵が浮かぶ。


――その瞬間。


**「代わりに、


“戻れない”ようにする。」**


ゴキッ。


足首が、

正確に砕かれた。


悲鳴は、

途中で途切れる。


◆ざまぁ


カイルは、

三人を並べ、

村の境界線の外へ放り出した。


最後に、

低く言う。


「伝えろ。」

**「越えたら、


必ず出る。」**


**「次は、


もっと戻れなくなる。」**


侵入者たちは、

這うように闇へ消えた。


◆村の反応


物陰から、

村人たちが姿を現す。


誰も歓声を上げない。

誰も恐怖に叫ばない。


ただ、

納得した顔をしていた。


拒否派の若者が、

小さく呟く。


「……ああ……

本物だ……」


援助派の男が、

深く息を吐く。


「……守られたんじゃない……

“守る仕組み”が……

機能した……」


未定派の老人が、

静かに頷く。


「……線は……

生き物じゃ……」


◆ミナの視点


ミナは、

少し離れた場所で見ていた。


怖かった。

震えた。


でも――

目を逸らさなかった。


(……罰じゃない……

約束だった……)


カイルが、

こちらを見た。


「怖いか。」


ミナは、

正直に答える。


**「……怖い……


でも……

間違ってない……」**


カイルは、

短く頷いた。


「それでいい。」

◆外の世界への波紋(確定)


その夜。


帝国では、

評価が更新される。


《越境対応:即時》

《抑止力:実証》


王国では、

「力を持つ自治体」として再分類。


教会では、

「倫理線を持つ武力」として警戒。


黒星会では――

アズリエが、はっきりと笑った。


「……いい……

“罰”を理解している……」


◆静かな結末


夜が、

再び静かになる。


木杭は、

立て直された。


前より、

少し深く。


ミナは、

それを見つめながら思う。


(……これが……

守るってこと……

甘くない……

でも……

逃げてもない……)


──第182話へ続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ